隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

BPOに取り上げられる、アニメに対する意見とか表現規制問題とか


俺妹という個別案件は置いておくとして。BPOの判断は本当に分からんところが多いので、鵜呑みにしてはいけない。まなびストレートOPの校舎にスプレーで落書きする表現を強制か任意で規制させた罪は重い
上記記事についての私のはてブのコメントです。

さて、今回の記事の内容をざっくり言うと「BPOが取り上げている意見はもっともらしいが、でもやり過ぎは程々にしておいてね。実際に表現規制がかかることがあるから」ということです。私が最も憤りを感じるのは「作品の命と言っても過言ではない演出が、そう簡単に変更させられていいものなのか。」ということです。
BPOの苦情話をする度に私が持ち上げるのは、まなびストレートの件です。もしかしたら知っておられる方もいるかと思いますが、簡単に説明もしようと考えています。

BPOの視聴者の意見は、読めば読むほど興味深い

アニメとは直接関係ないですが、以下の意見を御覧ください。これはBPOで公開されている視聴者の意見ですが、様々な項目の中に以下のようなものが毎回存在します。

【視聴者意見への反論・同意】

  • ちょっとしたことで「放送するな」「規制しろ」「悪影響だ」といった意見が多い。確かに見ていて不快な番組はあるが、過剰反応する人が多すぎる。何を見て影響されようと行動と決断をするのは自分自身だ。例え子どもでも例外ではない。子どもに悪影響だと思うなら保護者がしっかりと助言、指導すればいいのではないか。
  • 毎月「視聴者からの意見」を読んでいるが、放送倫理や、権利侵害、名誉棄損など、BPOが取り組むべき事案とは関係のない意見が多い。「画面のワイプが目障り」「芸人の関西弁が不快」などといったことで、誰かの権利が侵害されたり名誉が傷つけられているのか。これらが子どもに悪影響を与えるとは到底思えない。こうした意見は受け付けるべきではないのではないか。
2010年度10月 視聴者の意見

ちゃんとこういったそもそも論的な意見を取り上げているところは評価したい。そんな前置きをしまして、以下2010年10月のアニメに関係するものをピックアップ。なお、どういった意見が集約されているかも引用しておきたい。

10月に電話・FAX・郵便・EメールでBPOに寄せられた意見は1,459件で、9月と比較して106件増加した。意見のアクセス方法の割合は、Eメール68%、電話28%、FAX2%、手紙ほか2%。
男女別では男性73%、女性24%、不明3%。
世代別では30歳代30%、40歳代28%、20歳代16%、50歳代13%、60歳以上10%、10歳代3%。
視聴者の意見や苦情のうち、番組名と放送局を特定したものは、当該局のBPO責任者に「視聴者意見」として通知。9月の通知数は545件[41社]であった。
このほか放送局を特定しない放送全般の意見の中から抜粋し、36件を会員社に送信している。

2010年10月に視聴者から寄せられた意見

ところで引用する場合は、引用記事は副で、執筆者の意見が主でなければならないという決まりがあったような気もするので、気をつけて書いていきたい。

アニメの中で、未成年がアダルトゲームなどを大量に購入しているという設定・表現が極めて不適切だ。また、作中に出てくる実在のアダルトゲームのメーカーがこの作品に対して公式に協力しており、未成年に対する配慮を軽視している。深夜番組とはいえ、インターネットの動画サイトでも配信されている。未成年がこの作品に触発され、アダルトコンテンツに安易に手を出す恐れもある。

2010年度10月 意見概要

深夜のアニメだが、18歳以下の視聴を制限しなければいけないような過激な性描写が見られる。問題のシーンは不自然な光源や黒枠などで若干の規制をかけてはあるものの、激しい男女の絡みがあることは確実に分かる。あえて過激な描写を入れることを売りにしているようだが、制作者は成人指定の意味と必要性を理解していただきたい。

2010年度10月 意見概要

アニメ番組の放送中に宝くじのCMがあった。人気番組で幅広い視聴者層があることは分かるが、未就学児も見るような番組で、射幸心を煽るCMを放送することは問題ではないのか。

2010年度10月 意見概要

まなびストレートのOPは修正された

アニメ、まなびストレートのオープニングは、主人公達が自分たちの通っている学校の校舎等に、スプレーで落書きをして回る(スタッフ名や監督名など、いわゆるクレジットがスプレー文字で書かれる)、というものです。軽やかなオープニングテーマに合わせて、軽快に進んでいくアニメーションストーリーは素晴らしいの一言。まさに主題歌で、非常にマッチした映像であります。

さてそんな素晴らしいオープニングですが、7話の放送からは6話までのそれとは変化しました。具体的には、スプレー文字が書かれ画面に表示された後、次のカットに行くまでにその文字が消えてしまう、というものです。

私が最もイライラしたのは、オープニングという、作品の顔というべきもので、さらには作り手が細部にまでこだわって作ったであろう描写を、やめさせてしまった、ということなのです。特にまなびストレートでは、最終回まで見ていただけると分かるのですが、校舎にスプレーで文字を書くというこの演出は、伏線になっているのです。だからこそ、そんな重要なものが、変えられてしまっていいのか!と憤ってしまうのです。
7話からスプレーが消えることになったのは、演出ではないのか?という意見があると思いますが、DVDに収録された6話までのオープニング映像は全て、規制後の消える演出のものに差し替わっています。よって、演出の可能性は殆ど無いでしょう。

時系列で確認すると

7話が放送されたのは、大体2007年の2月中旬です。BPOへの苦情が来た日時は同1月15日だそうで、BPOさんの記事の公開はおそらく2月に入ってからだと思います。製作者側に、BPOにそういった意見が載るといつ頃一報が入ったか分かりませんが、かなり迅速に対応したんだなぁと感じます。なお、まなびストレートに寄せられた意見を引用いたします。

アニメ番組。オープニングでスプレーでそこら中に落書きする演出があるが、こういう演出はやめたほうがいい。なぜならば、これを見た子供は真似をする可能性があるからだ。次に本編の中で、ミゼット型の車に女の子の生徒を荷台に乗せて先生が買い物に行くシーンがあるが、そもそも車の荷台に人を乗せて走行するのは、交通法に違反するはずではないか。ましてや教師がその車を運転して行くというのはとんでもないことだと思う。(同様意見1件)

2007年度1月 視聴者の意見(36歳 男 埼玉)

他責NG

予防線を何も張らずに言いますが、BPOで紹介される意見はあまりに他人に責任を押し付けすぎていると思う。

その表現媒体が、まだ年端も行かない子供でも、造作もなく触れることができる環境のものなのか

昨今、インターネットが発達し、ニコニコ動画など各種動画投稿サイトでアニメが配信されるようになりました。それでも「パソコンを使ってアクセスし…」という手段が必要です。昔に比べれば小学生でさえも容易にアクセスすることが可能になりました。しかし、もし子どもにそういったものを見せたくないのであれば、親がパソコンの使用を制限したりフィルタリングを書けるなどして、規制してやればよいと思う。それは親の教育方針で済む話。

こういう話をすると、子どもはどこかでパソコン使ったりして結局は見てしまうだろと言われるが、それはいつの時代でも同じだと思う。束縛されれば、何としてでもやってやろうと思うのが常だと思うし、この件を語る上で議論する余地はないと思う。
BPOで取り上げられる物に限らず)最近のアニメに関する意見には「インターネットで誰でも簡単に見れるようになって」という言葉が、枕詞のように並べられることも多い。

影響は?

アニメを見てやった、漫画を見てやった、映画を見てやった…。私は犯罪社会学とか心理学の専門家でもなんでもありませんが、短絡的にイコールで結びつけられるとイライラします。特に実験結果や統計結果が明示されないことに対する一方的な意見が押し通され、世論が形成されてしまうというのは、非常に寂しい。

一体誰がフィクション作品の中の二人乗りに影響されるのか?

宙のまにまにという作品では、作中で、自転車の二人乗りをするシーンがあり、テレビ愛知では、二人乗りシーン等で「二人乗りは道路交通法で禁止されていますが、原作を尊重しています」旨のテロップが流れたという。
この話を聞いて「作中だろうがフィクションだろうが、犯罪行為を堂々と放送するとは何事か」という意見が出る自体は、もっともらしいと思います。というのも突き詰めれば、犯罪行為を堂々とテレビでやっていいのか?という意見に集約されると考えるからです。例えば未成年が堂々とタバコを吸うシーンがあれば、私も多少嫌悪感を抱くと思います。
ただしイコール「そんなものはやっちゃいけない!」ではないと思います。なぜならば何も表現ができなくなってしまい作品が成り立たなくなってしまうし、新たに創造性のある作品が作りにくい状態となると考えるからです。

さて、今、タバコを吸うシーンについて、皆さんはアニメ作品を思い浮かべましたか?それとも映画でしょうか?ドラマでしょうか?もし、アニメ以外を考えていた方は、フィクション作品であり二次元の作品であるアニメ作品で、未成年がタバコを吸っているシーンを思い浮かべてほしい。

特に二次元規制について意見がかわされる理由はこの辺りにある

少し話は違いますが、二次元のキャラクターの人権云々という議論が盛んに行われる理由は、この辺りにもあると思います。つまり、言葉は悪いですが、所詮は二次元でフィクションで…そんなキャラクターに一体彼らは何を求めているというのか、ということです。

私個人の意見として。二次元に人生を狂わせられるほど、のめり込んでいます。そんな私でも「二次元キャラクターにも人権があり、規制しなくてはいけない」というフレーズには違和感があります。違和感があることに違和感がある人がいるかと思いますが、つまりは別問題ということなのですよ。

一方では「二次元なんかに夢中になってどうするの?現実を見なさい!」と言い、もう一方では「二次元キャラにも人権はある」と言う。

まなびストレートの表現を規制させるような意見を取り上げるBPO

BPOのように、世の中を良くしていこうと活動している団体は嫌いではないし、大事なことだと思います。様々な番組に対する視聴者からの意見を自分たちの審議に反映させたり、また当該局等に連絡、時には自主規制をさせるというのは、ある一定以上の力を持った団体にしかできないことだと思います。
だからこそですが、中立性は非常に大事で、中身が見えないので、私たち個人は団体を信用することしかできない。世論形成など簡単にできてしまう。

今回記事の最初の方でも引用しましたが、「【視聴者意見への反論・同意】」と言う形で、そもそも論を取り上げることもあるようですが、バランス的には足りないように思います。
ただし、完全に封殺せず、ちゃんと載せていることに対しては、評価できます。

こんな意見でも、送ったら取り上げてくれそうで怖い

深夜のアニメだが、18歳以下の視聴を制限しなければいけないような過激な描写が見られる。問題のシーンはアニメ作品ということでギャグとして見せているが、異星人との激しい触手の絡みがあることは確実に分かる。あえて過激な描写を入れることを売りにしているようだが、制作者は成人指定の意味と必要性を理解していただきたい。また登場人物が、喋るたびに特殊な語尾をつける演出があるが、こういう演出はやめたほうがいい。なぜならば、これを見た子供は真似をする可能性があるからだ。