隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

心温まる、うみねこのなく頃に翼

本記事は、うみねこのなく頃にシリーズの完全なネタバレとなっていますので、まだ未プレイの方は、絶対に読まないようにしてください。ネタばれ記事はあまり書かない性分ですが、グーグル先生で検索しても、翼に関してはあまり感想が出ていなかったので、自分で残して、誰かが見てくれれば、と思います。以下、「続きを読む」からどうぞ。なお、個別エントリで読んだ場合や、RSSで読まれている方は、はてなダイアリー「続きを読む」記法が動作しないことがありますので、ご注意ください。



続きを読むが動作しなかった用の緩衝材。


このゲームは何?

続きを読むボタンをクリックして、此処を見ておられる方に今更、説明するまではないと思いますが、うみねこのなく頃に翼、正確には「うみねこのなく頃に翼 〜これまでの贈り物、全部。詰め合わせ〜」とは、これまでのイベントなどで、07th Expansionで頒布された小冊子をまとめ、ゲーム化したものです。基本的には、イベントに参加しないと手に入らない「本」媒体のものであり、イベント限定という意味合いが強いものです。

私は、うみねこシリーズに関して言えばコミケ会場で(1つを除き)すべて手に入れているので、その時の小冊子はすべて持っているのですが、他イベントでの小冊子は関西で行われたイベントに一度参加したのみです。ですから、今回EP8と同時に、このような形ですべての小冊子が、しかも演出付き(スクリプト化)で読めるのは、とても嬉しいのです。

以下では、個別のエピソードで特に印象に残ったお話について、感想を書いています。もし翼をプレイし終わった方で、他の方がどんなふうに思ってるのかな?と思って知りたくなったら、このページを見つけていただければ幸いです。

魔女達の七夕は甘くない

ゲロカスエンド。EP8をプレイし終えた後だと、更に酷いお話だと感じます。
絵羽が縁寿を実の娘のように接しようとしたが、縁寿は絵羽を母親と思うことを拒んだ。それどころか、笑顔を見せることをやめた。それらは全てベルンカステルの仕業であった…というもの。

ただ、同時に思うのは、こういったゲロカス的な、救えないエンドは、自分は好きだということ。こんな救えない話なんて、ひどすぎる!と思う一方、こうでなくっちゃねぇ、と。
EP8までで、好きなエピソードは救われないエンドのほうが多いです。

ゲームマスター戦人!

コメディタッチのお話は、ほんとうに面白い。小冊子はメタ視点、メタキャラクターで語られるものが多いですが、これが好きなんだなぁ、とシミジミ思います。様々なキャラが入り乱れイベントが起こる、と。

このお話は冊子でも読んでいましたが、演出がついて、さらに面白くなったように思えます。笑える、という意味では、全お話中一番だと思います。

朱志香の母の日プレゼント

ゼパルとフルフル登場。朱志香との噛み合わなさが心地良い。
母の日に、夏妃に送った魔法の花は、一日だけ夏妃から"トラブルや病気から守ってくれる"、らしい代物。しかし実際は、ただの「魔除け」のものだったのだ。では、なぜ朱志香にトラブルや頭痛が…というお話。

いやぁ…もう、素晴らしい。なるほど、と。夏妃の頭痛がひどい理由、それは朱志香が生まれたときに、夏妃が朱志香のトラブルや病気を全て引き受けると契約したからでした。すごい親子愛…。

過去、朱志香が蔵臼のことを、ちゃんと父として尊敬していたというエピソードもありましたね…。蔵臼家族は、みなお互いを愛しあってますよね…。素晴らしい。本当に。

このお話に限らずですが、裏設定を聞くことで、更に感情移入をしてしまうことが、うみねこでは多々あります。EP1からもう一度プレイし直したくなります。いやぁ親子愛…いいですねぇ…。

ある料理人の雑記

郷田のお話。彼が、料理人として一流であり、そして良い人であると分かるエピソード。六軒島のベアトリーチェ伝説を混ぜつつのお話で、郷田の過去にしんみり、ベアトリーチェ伝説にゾクッと、とバランスが良いです。朱志香の母の日プレゼントと同じく、これを知ってから各エピソードの郷田の振る舞いを見返すと、面白い。見方が変わってしまいます。

ベアトリーチェのホワイトデー

ホワイトデーをぶち壊すベアトのめちゃくちゃな行動と、それに釘を刺す戦人というバランスが良すぎる。戦人から絶対にお返しをあげないと言われたベアトの落ち込むシーンは、とてもとてもとても、しんみりしてしまいました。実に、いいお話…。

新人司祭コーネリア

個人的には、今回の翼の中では一番のエピソード。コーネリアが異端審問官になるために配属されたばかりのお話。このお話は当然に、コーネリアのことを描いているわけです。しかし同時に、読む人にとって様々な受け取り方ができると思います。実際に社会で働いている人、今就職活動をしている人、まだ若い人…それぞれに、百様の受け取り方ができるのです。

理想と現実。若さ故に、苦悩するコーネリア。そしてガートルードというキーパーソン。理想は高い。だが、その理想を実現するためには、一体どうすれば良いのか。一番印象に残った、ガートルードさんのセリフを引用します。


人は、理想には、耳を貸さない。
人は、他人には、耳を貸さない。
人は、友人には、耳を貸さないこともない。

そして友人が理想を語ったなら、力を貸さないこともない、かもしれない。

私は、竜騎士さんが書く、こんな文章が好きなんだと思う。もちろんこれだけじゃない。ひぐらしから続き、うみねこまで。ずっと竜騎士さんの文章を読み続けたいという理由の一つは、間違いなく、こんな文章に出会えるから。

Arigato for 556

シエスタ姉妹近衛兵の、設定や成り立ちのお話。シエスタ45と410の密接な関係が、丁寧に描かれます。どうしてうさ耳なのか、という理由も本編と多少は絡むところがあり、面白い。

シエスタ45と410の関係を描く上で、エッセンスとなったのがシエスタ556。そして物語は、「ありがとう」の、感謝を伝えることの大切さへと進む。シエスタ556は言う。


「突然訪れたその日に、慌ててそれまでの感謝を伝えようと思っても、もう、それを伝えることは出来ない。………その時、相手は私のことをどう思うのでしょうね。……私はそれを思うと、……悲しいのです。」
ありがとう、感謝の大切さというメッセージ。これは普段の私たちの日常でも言えることだし、そしてシエスタ姉妹達に密接に関わることでもある。ある日突然、556は死んでしまうのである。きっと、シエスタ姉妹達は、556に感謝されていた、という思いを持ち続けることができるのでしょう。きっと。

その後、thanks for all peopleという曲が流れ出します。00のセリフと相まって、感動的。thanks for all peopleという曲は、全うみねこ曲の中でも、個人的に上位に入る曲です。daiさんの曲は本当に良曲が多いなぁと思います…。

シエスタ姉妹の和気あいあいエピソード、お涙頂戴エピソード、みんな仲良くエピソードは、二次創作で素晴らしい物が沢山あります。このお話を読んでから、シエスタ姉妹本を読み返したくなってきました。シエスタ姉妹本は良作が多いですよ、本当に。

まとめ

  • 冊子ではなく、ゲームで演出付きでプレイすることで、また違った感じ方もある。
  • もう一度プレイし直したくなるような設定がたくさん出てくる。
  • 笑いあり、感動あり、そして啓発的でもある。
  • うみねこのなく頃にを全てプレイした後、是非とも、プレイしてほしい作品です。