隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

小学館の著作権問題や、ブログにBDのジャケット絵を載せることについて

概要

昨日の深夜でしたか、Twitterのタイムラインで、突然著作権の話題が出ました。第一発生源は特定していませんが、誰かが、画像使用・著作権 | 小学館小学館)について取り上げ、それが一気にTwitter上で拡散したようです。なお、大まかな流れについては、Togetter - 「小学館の画像使用・著作権について」、にまとめましたので、一読していただければと思います。


小学館がエライことをやってくれた」「二次創作終わったな」等々、悲観的なワードも飛び交いました。しかし、ちゃんと調べると小学館では以前(少なくとも10年前)からずっとこの表記がなされていたことが分かります。これの経緯については、突如再燃した小学館の著作権騒動(わぱのつれづれ日記)という記事が詳しいです。ご一読をお勧めします。


さて本記事では、古い情報が突然拡散した事象についての私見、「BDのレビューを書く際に、BDのジャケ絵(自分で撮影)を参考に載せる」ことの是非、著作権法の引用に関連したAmazonアソシエイトについて記述しています。

なお、本記事の法律解釈については素人意見であることをお忘れなきよう、お願い致します。間違いなどあれば、コメント欄やメール等で指摘していただければと思います。

古い情報が突然に拡散した件

上記のToggeterまとめにおいてTwitterのコメントを呼んでいますと、情報ソースとしては古いのに、「突然この問題が発生したかのように捉える人」が多いようでした。「緊急事態、小学館が規制を強めたぞ!」という感じですね。一次情報をよく確認せず、他人の伝聞を頼りに情報を拡散していく現象は、Twitterに限らずですが、ネットでは度々起こります。


ITリテラシー云々の問題については散々議論が行われているでしょうから、本記事では割愛します。なお、上で紹介した「わぱのつれづれ日記」さんの記事で端的に指摘されていますので、気になった方はそちらをどうぞ。
本記事では、今回の騒動(と言えるほど大きくありませんが)における、メリットを強く主張したい。

問題提起というメリット

私が思うメリットは単純明快で、多くの人が著作権について関心を持ったことです。危機感を持った人や、「今更この問題かよ」と思った人、著作権ってなんぞや?って思った人…様々な感じ方・捉え方があったと思いますが、頭の何処かで著作権について考えたと思うのです。

一次情報を確認しない情報拡散を肯定するつもりは、もちろんありませんソーシャルメディアが台頭してくるだろうこれからの時代、ITリテラシーについて私たちは議論していく必要があるでしょう。

しかし今回の一件については、百害あって一利以上あったと個人的には思います。こういった事象から、学ぶことは多いと思うのです。これを契機に、著作権について勉強しようと思う人が増えたら良いな、と単純に思います。

BDのジャケ絵をブログ載せること

実はこの小学館問題が盛り上がる少し前に私は、偶然にも著作権について調べ、大量にツイートしておりました。というのも、購入したBDのジャケット絵を撮影した画像を、ブログに載せることの是非を考えていたからです。

以前、これはゾンビですか? BD1巻のオーディオコメンタリーから感じる、こだわりという記事を書きました。この記事では、当初は購入したBDのジャケ絵の画像を載せていました。しかし、ふと「これ、著作権違反なんじゃないか?」と思い、画像を削除(サーバー上から消去)し、その後はAmazonアソシエイトを利用して画像を掲載するにいたります。


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ここからは、私が調べた範囲で「ブログでBDのジャケ絵を載せること」についての著作権について簡単に解説します。なお、芳文社の著作権の主張を考察するプログラマーの脳みそ)という記事で、著作権の概要について明快に説明されているので、こちらもご一読いただければと思います。

公正な慣行に従う必要がある…つまり、どういうことだってばよ?

私がやろうとしたことは、「ある作品のBDの感想を書く際に、BDのジャケ絵(自分で撮影)を参考に載せる」です。これは、「書評ブログを書く際に、本の表紙画像を載せる」と同様の行為だと思います。雑誌の表紙なども同様でしょう。
さて、これらの行為は著作権法における「引用」に関連しています。


著作権法第三十二条では、他人が作成した著作物を「引用」する場合は、著作権による規制を受けないと書かれています。ただし、正当な引用と認められるには、公正な慣行に従う必要がある、と記載されています。この公正な慣行とは何か?

引用 - Wikipedia から引用いたします。

ア 既に公表されている著作物であること
イ 「公正な慣行」に合致すること
ウ 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
エ 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
オ カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
カ 引用を行う「必然性」があること
キ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

引用 - Wikipedia


これらから、「BDの紹介記事が主であり、掲載しているBDのジャケ絵(自分で撮影)の画像が補足的に使われている場合、この画像使用は『引用』にあたる」と解釈できるのではないか?と考えました。

そこで、この解釈を元にネット上を検索しました。

著作権侵害ではない! ※ただし表現の仕方による

まず、レンタル品の著作権 - 悩み解決ナビ(Q&A)(All About プロファイル)という記事が見つかりました。この記事では、「フリーペーパーで書籍等の表紙を掲載することについて」を相談されています。
この質問に対して、弁護士の方が答えておられますので、上記サイトから引用します。

(略)
特にフリーペーパーの表紙や記事内容などにそのまま書籍DVDのカバーを掲載すると、複製権の侵害となる可能性が高く、せっかくのフリーペーパーの意味がなくなってしまうかも知れません。

一方、フリーペーパー内の記事として、書籍、DVDの紹介をすること自体については、表現の仕方にもよりますが、書籍やDVDの内容を引用せず、記事執筆者の方の独自の表現による紹介記事を掲載する限り、著作権の侵害にはあたらないと思います。

レンタル品の著作権 - 悩み解決ナビ(QA)


もしもこの弁護士の方を信じるとするならば、独自の表現による紹介記事なら、BDのジャケ絵をブログに掲載することも著作権侵害にあたらないと解釈できます。
しかし、そんな単純な問題ではないようです。

主従関係、明瞭区別、出所表記の有無

続いて、ゲームサイトと著作権 −「引用」の可能性と法−(HIKAのゲーム備忘録)、というサイトを見つけました。こちらのサイトでは、ゲームのパッケージや書籍の表紙の画像を、紹介記事に添える形でネット上に掲載することはできるのでしょうか? という質問を、(社)著作権情報センター(以下、CRIC)に問い合せておられます。
なお、CRICとは著作権思想の普及に関するさまざまな事業や著作権制度の改善に資するための調査研究を行い、文化の発展に寄与しているそうです。その活動の中には、著作権テレホンガイドというものがあり、著作権等々について電話で相談できるそうです。上記サイトの方は、このテレホンガイドを利用して質問されたそうです。

以下、重要部分を上サイトから引用いたします。なお、見やすさの観点から文字装飾(太字)しています。

──インターネットのホームページで、TVゲームの評論と関連書籍の書評をしている者です。ゲームのパッケージや書籍の表紙の画像を、紹介記事に添える形でネット上に掲載することはできるのでしょうか?
著作権上は、パッケージあるいは表紙に文字だけが記載されている場合は可能です。それ以外のイラストや写真が入った場合は、無断での掲載は認められません。」


──つまり、デザインの有無が問題ということですか?
「そうなりますね。六法全書といった文字だけの固い本なら表紙の掲載も可能でしょう。文字だけの背表紙も大丈夫です。ですが、表紙に絵がある絵本、タレント写真が大きく写った週刊誌となると、著作権の上では問題が出てきます。」


──新聞や雑誌の書評欄では、表紙写真の掲載に際して特に著作権表記はありませんが・・・・
「それでも許可を取っているでしょう。」


──そうは見えないのですが
「出版社の側が宣伝と思っているのであれば、特に問題にしないということではないですか。」


──公正な慣行の範疇だと
「そうなるんでしょうかね。」

ゲームサイトと著作権−「引用」の可能性と法−(HIKAのゲーム備忘録)


このやり取りをみると、先程の弁護士の方の主張は間違っているように思えます。一体何が正しい解釈なのか?

うーん、と悩んでいると、同サイトの続きにこんなやり取りがありました。以下、同サイトより再び引用します。

──ゲームを評論する際、ゲーム内の画像が評論と不可分と判断した場合には、画像を引用することは可能でしょうか?
「画像と評論とが本当に不可分であると信じているのならば構わないとは思いますが・・・・これについては法律も抽象的な記述しかないので何とも言えないですね。」
「実際、引用の妥当性という件だけで一年中裁判が行われている状態です。”主従関係”、”明瞭区別性”、”出所表記の有無”といった厳密な条件を問われることになります。」

ゲームサイトと著作権 −「引用」の可能性と法−(HIKAのゲーム備忘録)]


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以上の情報から、ブログでBDのジャケ絵を載せることは、「著作権を侵害していないかもしれないが、最終的な判断は裁判に委ねられる」と私は解釈しました。ジャケ絵の掲載が「公正な慣行の範疇」であるかどうかが争点になるわけです。

著作権親告罪であり、グレーゾーンであるという議論もありますが、今回の私の解釈とは違う気がします。グレーゾーンだと理解しながら画像などを転載している(グレーゾーンは著作権を侵害している)のか、引用であると理解して画像を使用している(正規の引用をしているつもり)のか、この2つには違いがあると思うのですが、皆さんどう思いますか?



ただどちらにしても明確な基準がない以上、自己責任である、ということがよく理解できました。


合法的に画像を使用する方法がある

ブログでレビューを書く際に、合法的に商品画像を使用する方法が1つあります。それがAmazonアソシエイトに代表されるアフィリエイトです
アフィリエイトは、アフィリエイト・プログラム(成功報酬型広告)とも呼ばれます。以下、Wikipediaから引用します。

成功報酬型広告(せいこうほうしゅうがたこうこく)またはアフィリエイト・プログラム(Affiliate Program)とは、特にインターネットのWWW上における広告形態をさし、ある広告媒体のウェブサイトに設置された広告によってウェブサイトの閲覧者が広告主の商品あるいはサービス等を購入し、生じた利益に応じて広告媒体に成功報酬を与える一連の形態をさす用語。

成功報酬型広告 - Wikipedia


超意訳すると、広告主が用意した画像を使用するので、著作権を侵害する心配がありません、ということでしょうか。
なお、画像掲載をするためには各種アフィリエイト・プログラム(例えばAmazonアソシエイト・プログラム)に参加する必要があります。またブログサービスによっても規約が様々であることは付け加えておきます。以上、自己責任でお願いします。規約等々に従わないで無断で画像を使用する等すれば、当然著作権の侵害になります。


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アフィリエイトは単に「ちょっとしたお金を稼ぎたい」という理由だけで行われていると思っていましたが、なるほど、著作権の侵害を回避するために使われることもあるのですね。この事実を、頭の片隅においておく必要があると、強く感じました。


ちなみに、はてなダイアリーでは有料プランに加入しなくても、幾つか制限はありますがアフィリエイトを利用可能です。
参考記事:はてなの書けない「はてなダイアリーでアフィリエイトをはじめよう」ぼくはまちちゃん!(Hatena))

最後に

ネットで少し調べるだけで、著作権についてこれだけの情報が手に入る現代は恵まれているのかも知れません。著作権については、これからも継続して勉強していこうと思います。
なお今回の記事の私の解釈は、サンプルがあまりに少なすぎるため信憑性は殆どないでしょう。しかし、著作権について考える、何かのきっかけになればと、私は思います。

最初にも書きましたが、本記事の法律解釈については素人意見であることをお忘れなきよう、お願い致します。間違いなどあれば、コメント欄やメール等で指摘していただければと思います。