隠れてていいよ

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『坂道のアポロン』 完全に物語に没入した

ストーリーがグイグイと引っ張っていく。

これは本当に事実で、もしかしたら最終的にはひとつのゴールを目指しているのかもしれない、だけど、少なくとも2話まで見た時点では、私はストーリーに完全に引っ張られていた。
これは他でもなく褒め言葉だ。

完全にアニメという中に没入できていた。すーっと、いったい誰に感情移入していたのか分からないけれど、すーっと、物語の中に入っていた。


一つの「物語」として、完成度が高いのだと思う。この「物語」とはいろんな意味を持つけれど、本作品の意味としては「リアルさ」というものを強調したい。



1話で主人公は、吐き気というもので自分の感情を現していた。私は1話の時点では、この吐き気は、ゲロアニメとして定着させたいがための下品なネタとなりうるのだろう、という妄想をしていた。
しかしご覧になっただろうか、主人公は、西見薫は、いつの間にか吐き気を催さなくなっていた。なぜ吐き気を催さなくなったのか。


ヒロイン、迎律子の笑顔を見ると吐き気が止まったのだ。川渕千太郎と出会ったから吐き気が止まったのだ。2話では、吐き気のハの字もでない。どういうことなのか、これは間違いなく主人公西見薫の変化なのだ。

すごい、僅か2話という中で西見薫は成長をしている。

今までクラシック一筋だったはずの西見薫が、ジャズに手を出している、しかも適当にじゃない。たった2週間で「やるなぁ」と言われるほどには、真剣になっていたのだ。



川渕千太郎は、多分迎律子と両思いなのだろうという漠然とした想いがあった、しかし2話の最後を見ただろうか。確かに西見薫の客観的な言葉と、千太郎の表情から想像するしかないが、迎律子ではない女性に一目惚れしたのである、恋に落ちたのである。

これは凄い。
ストーリーの流れを追っていると、誰しも「次はこうなるに違いない」「多分こうだろう」と想像しながら見る。そして大体の想像と合っていることを確認し「安心」する。この「想像」と実際のストーリーの流れが違った時、人は違和感を感じ、ともすれば「すごい」という感情を抱く。自分の思い描いた想像と、実際が違えば違うほど、時には恐怖という感情さえ生まれる。



さて、話を戻すと、そういう意味で『坂道のアポロン』という作品は上手く想像から外させてくれる作品だ。そして想像を外させてくれるからこそ、完全に没入してしまう。これは一種の「リアルさ」といえるのではないか。





音楽も絡む。丁寧な絵も絡む。CGがあるからこそ、あの丁寧な演奏を描くことができる。演奏だからといって「見ていられない!」と思うとは正反対、すごく音楽とともに映像にも引き込まれる、演奏の雰囲気が伝わってくる。


完全に物語に没入する。ストーリーがグイグイと引っ張っていく。

終わりに

今期ノイタミナ枠第一部、『坂道のアポロン』。ぜひご覧あれ。

現在、フジテレビオンデマンドで1話2話が無料公開されています。見逃してしまった方は、ぜひ。
坂道のアポロン - フジテレビオンデマンド