隠れてていいよ

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『さくら荘のペットな彼女』 頭のおかしさを売りにするようなキャラ付けをあなたはどう思いますか?

タイトルはちょっと釣りなんですよ。

さて、『さくら荘のペットな彼女』というアニメに、椎名ましろというヒロインが居ます。


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『さくら荘のペットな彼女』アニメ公式サイトより



本論に入る前に、ちょっと簡単にストーリーを説明してみます。
本作品を知っている人には今更の説明ですが。


本作品は、主人公の神田空太(かんだ そらた)が「さくら荘」と呼ばれる、学園の問題児の巣窟に住んでいる場面から始まる。この「さくら荘」には、一見変わっているんだけども、能力は天才級または天才が集まるという伝統がある(らしい)。具体的に言えば、アニメ創れる人だとか脚本できる人だとか、プログラマーだとか……まぁ一癖も二癖もある奴らがなぜか集まっている場所なのである。そこにまぁ、とある理由から主人公が住んでいて、普通の学生寮に住みたい主人公が、さくら荘から脱出してやろうぜ! みたいなお話です。
椎名ましろさんっていうヒロインは、突然その「さくら荘」にやってきた天才画家さんです。本職は画家さんみたいだけど、今は漫画家を目指して頑張っています。



ここまでのあらすじを読んで察しの良い方は気づかれたでしょう。本作品は、(多分)才能がない主人公が才能がある奴らの巣窟でもがき苦しみながら成長していく話だと想定できます。

主人公は、才能がある奴らにリードされてるし、主人公自体も自分が弱いことを認識していることが2話までで描かれました。



さて、ヒロインである椎名ましろは、非常に「謎」な少女です。簡単に言えば常識がありません。いわゆる「静かだけども言動が不思議で変人である」タイプのヒロインです。突然服を脱ぎだしたり脱がそうとしたり、コンビニで突然売り物のバームクーヘンを食べていたりします。主人公に「なんでバームクーヘン食べてるんだよ!」って言われたら「好きだから」みたいに天然で答えるタイプの変人ヒロインです。
ひどく、そしてあえてジャンル分けすれば「頭のおかしいヒロイン」タイプです。

こういった「頭のおかしさを売りにするようなキャラ付け」をあなたはどう思いますか?(煽り気味に)

落とし穴がたくさんある

椎名ましろを見て「とりあえずこういう特殊なキャラ付けして、シチュエーション萌えさせとけばオタクは喜ぶだろ」という言説があってもおかしくはないと思う。確かに昨今は、「あざとい」シチュエーションやキャラが目立っていないとは言いがたい。
今期で言えば『中二病でも恋がしたい』の小鳥遊六花だとか、『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』のヒロインズだとか、『リトルバスターズ!』のヒロインズだとか、そして『さくら荘のペットな彼女』のヒロインズだとか。
冷静に考えれば頭おかしいじゃないですか。突然コンビニでバームクーヘン食いだすキャラってなんだよ。「一人では人間らしい生活を営めない」って、どういう形容詞だよ、説明文だよ。中二病が抜けきらず、高校でも痛い子設定の六花とかなんだよ。現実にあんな可愛い子がいるはずがないだろ。お兄ちゃんが好きすぎて休み時間も教室に来るってどういうことだよ。ピッチングしたら必ず変な方向にボールが飛んでいくとかおかしいだろ、突然グランドでずっこけてアピールとかおかしいだろ!
みたいなね、そういうツッコミは凄く分かる。


とは言っても、例えば本作品の「椎名ましろ」は別に頭の弱いだけのキャラではないことが分かります。シンプルに言えば、天才だからこそちょっと抜けているキャラクター、と言えます。それが、少なくとも2話では描かれました。
キャラ付けがなされてからストーリーが作られているのか、ストーリーがあってキャラ付けが行われているかは知りませんが、少なくとも、視聴者が、作品を見て「こういう理由だからこういうキャラなんだな」と、理解できるキャラクターだと思います。つまり、「才能がない主人公が才能がある奴らの巣窟でもがき苦しみながら成長していく話だと想定できます。」という理由付けを私はできる。だから、椎名ましろをただの変人キャラとは思わない(変人だけどね)。



そのへんのバックグラウンドっていうのかな、そういうのを理解できて尚おかしいと言うのならば、理解できる。例えば私は『中二病でも恋がしたい』という作品にとてつもなくイライラしています。だって、とりあえず「中二病」ってタイトルをつけておいて、主人公の中二病はあまり生かされず、単に中二病である六花の「おかしさを」描いているんですよ、おかしいじゃないですか。気持ち悪くないですか? あんな可愛い子が、しかも中二病抜けていない子が、元中二病の主人公のもとに現れてイチャラブするっておかしくないですか? 私はおかしいと思いますよ、だからイライラします。でもだからといって、その作品自体がおかしいわけじゃないでしょう? だって作品は面白いから。「作品は面白いけどそこは納得いかん」って想いなわけです(このへんも難しいけど)。

確かに私は、『中二病でも恋がしたい』という作品を「イライラする」と表現しますが、それを例にとって「最近の作品はとりあえず中二病っていう、ライトオタクに受けそうなシチュエーションを出して媚を売っている」という言い方はしませんよ。いや、言いたいけど。確かに『さくら荘のペットな彼女』の椎名ましろはあざといとは思うけど。でも可愛い。

このへんの、作品自体に納得がいかないから「最近の作品は」という括り方をすることは楽なんですよ。だって、多くの人がそう感じざるをえない様な「雰囲気」にはなっているから。だから説得力があるように見える。だけど、作品を楽しんでいる人にとってはそんなこと関係ないわけですよ、極論。その作品の、そのキャラクターを楽しんでいるって最高じゃないですか。いや、素晴らしいことだと思います。本当に愛の無いキャラクターなんて淘汰されていきますよ、ほんと。


いいじゃないですか、変人キャラ、頭のおかしさを売りにするようなキャラ付け。エロゲとかに比べると可愛いもんじゃないですか。必ず一人は語尾に訳のわからんものがついてたり、はぅ〜☆とか言うんだから。

終わりに

論理があろうがなかろうが、感情的な意見はどんどん聞きたいですが、それが本当に作品の評価なのか、個人的な意見というか主義主張なのかは分かるように教えて下さいね! 混ざっているようなのも好きですが!


ちなみに「変人キャラとかマジイライラするわー」とか思っている人は、薄い本に期待すれば良いと思います。まだ当落出てませんから。



関連:
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