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隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

NHK『知られざる“コミケ”の世界』を見て感じたこと

戯言

去る1月12日18:10-18:45にNHKで放送されました表題の放送を、リアルタイムで視聴しました。
知られざる“コミケ”の世界 - NHK
色々と言いたいことはあるものの、一言で表せば「丁寧な内容」でした。

コミックマーケットを始めとするオタク界隈の話がテレビで取り上げられるとき、良くも悪くも「気持ち悪いもの」「忌避されるもの」「見下されるもの」という編集側の意図が見え隠れすることが多いです。テレビの影響力はやはり小さくなく、それを見た世の「オタクを知らない人達」にとっては「それが正しいもの」として受け取られている可能性が少なくありません。わたしあなたを始め、視聴者もバカではありませんから内容を判断し自分で何が正しいかを考えることはできるでしょうが、とは言いつつも、全くの畑違いのものに対しては受動的になることも多く、特にテレビという受動的な情報受取手段を持ってすればそうなる可能性も少なくないでしょう。つまり、オタクというものに対して、意図しないレッテルが張られ喧伝される恐れがあるということです。

そんな中、NHKで放送されたコミケ特集は、コミケやオタクというものに対して敬意が感じられ、また受け取る側に誤った認識を与え過ぎないような構成になっていたと思いました。幾つか感じるところがありましたので、つらつらと書いてみたいと思います。

コミケの歴史を紹介したこと

そもそもコミケが発足したのが結構な前のことであること、当初はいわゆる文章系同人誌が同人誌の常であったことが、簡単にではあるものの取り上げられました。コミケといえばイコールでオタク・萌えとしか紹介されない中で、創作物を表現できる場であることを取り上げてくれたことは嬉しい事でした。

ジャンルを紹介したこと

コミックマーケットは現在3日間開催であり、各日にジャンルというものが割り振られています。
コミックマーケット87ジャンルコード一覧
このページの下の方にある、ホール別ジャンル配置がほぼそのままテレビで紹介されました。個人的に、これは画期的なことだと思いました。一つ一つのジャンルが何か分からなくても、「いろんなジャンルがある」ということを伝えることができるからです。一覧にすることで、視聴者はざっと眺めることができるので「へぇ、こんなものもあるんだな」と思うことができます。
繰り返しになりますが、テレビでコミケが取り上げられるときは殆どが男性向けエロやBLがフォーカスされるため、ジャンルを紹介するという行為だけでもとても素晴らしいことだと私は思うのです。

熱い思い

「それでも戻ってきちゃう、そういうところ」「気が付いたら来てる感じ」という、参加者の生の声、それもコミケに対して「なるほど、楽しそうやな」って思わせてくれるような声を紹介したこと。
繰り返しになりますがテレビでコミケが取り上げられるときは、恣意的なコメントが取り上げられることが多いので、これも画期的だと思いました。いい加減、テンプレみたいなオタク捕まえて「ほら、この人達キモいでしょ」みたいに取り上げるのはおかしいと思えよ。

絵本サークルを取り上げたこと

コミケに何度か足を運んだ人でも、こういったサークルさんが存在するということを知らなかった人もいるのではないでしょうか。また、プロにつながるきっかけとしてコミケが機能していることを、サラリとではあるもののフォーカスしたことも良かったかと思います。
例えば、自分の子供がコミケを始めとした同人誌即売会に本を出していて不安に思う親御さんも居るのではないかなと思うのですが、そういった層にも「ふーん、こういうのもあるのね」と思わせるだけでも、ずいぶんと変わってくると私は思うのです。

税金について明記していると伝えたこと

言うべきことはきちんと言っていますよ、ということをきちんと伝えたこと。運営側を擁護していたといっても過言ではないでしょう。コミケに参加している人にとっては当たり前に考えていることでも、そうでない人にとっては当たり前ではないのです。

設営まで取材したこと

これも、コミケを一面的な見方以外から眺めた稀有な例だと思います。コミケの設営をあそこまで取材したのはこれが初めてなのではないでしょうか。私自身、設営には2回しか参加したことがないので大きな声で何かを言えるわけではないのですが、それでも、設営はコミケの良い文化だと思っているのでそれを好意的に取り上げていただいたことは嬉しい事でした。コミケというのは、多くの人が集まって、そして協力しているから成り立っているんだよ、と。
実は今回取材が入ったコミックマーケット87の設営にも参加していまして、放送の中で棟梁(メガホンで説明していた方)が話していたシーンに映り込んでいなかったかハラハラしていました。C87ではサークル参加もしていまして、自分のサークルの机を自分で設営するのを楽しみにしていたのですが、NHK(とニコニコ動画)が東456にのみカメラを入れるという情報が設営前に発表されましたので、万が一のことを考えて東123に逃げました。

その花びらにくちづけを、の痛車を紹介したこと

同人サークル「ふぐり屋」さん、今では商業に行かれて「ゆりんゆりん」としているところから登場した「その花びらにくちづけを」という百合エロゲー、そのキャラクターを痛車にしている方を取り上げ且つ好意的に紹介したこと。
このシーンは、先の震災で被害にあわれた方が、震災で車が心配だったという少しシリアスなシーンではあったものの、がっつりと痛車が映されて且つその花が映ったことは衝撃でした。映していいんだ、と。
いや別にやましいことがあるわけではないです(とはいえエロいです)が、R-18の且つ百合エロエロゲーががっつり画面に映ったのは……嬉しい事でした。
皆さん、その花びらにくちづけをは素晴らしいゲームですのでプレイしましょう。このサークルさん、今は商業ですが、素晴らしい百合ゲーを作ってくださいますよ。百合でかつ、ちょっとエロをしっかりと見たい、という方には最適です。

プロの漫画家が同人誌を出すということを取り上げたこと

畑先生が取り上げられました。それが声優のステマかな? などとツイートしまくっていました。ハヤテのごとく!のアニメ映像をものすごく久しぶりに見たなぁと思っていました。
同人誌即売会にプロが参加していると知っている人はそれなりにいらっしゃるとは思いますが、いわゆる「スタッフ本」以外でもきちんと本を出されている方がいるという取り上げられ方をされたのは良かったですね。

コスプレ

「私服でコミケにやってきて、お着替え。作品に生まれ変わります」というナレーションだけで、本当に好意的に取り上げてくれてるんだなぁと分かりました。基本的に即売会でコスプレが行われる場合は、会場外からコスプレで参加することは禁止されています。参加者一人一人とはいえ、それらが周りからどう捉えられ、そして開催するイベントにまで影響を与えてしまう可能性があるということを私達は忘れてはいけません。
わずか5秒ほどのナレーションだったと思いますが、さらっとこれを流せるというのは、ほんとうに素晴らしいことです。

大阪在住の渋いおじさんコスプレイヤーさんたちを紹介したこと

人類皆オタク!

見本紙チェックを紹介したこと

コミックマーケットでは、必ず見本紙チェックというものがあります。サークル参加者はもちろんご存知だと思いますが、準備会が、コミックマーケットで初めて頒布される本の内容をチェックして、コミックマーケットの場で頒布するに値するかどうかを確認する作業です。
こういうふうに書くと「検閲だ」とか「表現の自由が」と思われるかもしれませんが、全くの逆です。見本紙チェックによって私達は守られているのです。見本紙チェックを通ったということは、運営側が「頒布に値する」と理解をし、そして頒布側に味方をしてくれるということなのです。
「この本は、やましいことはない。頒布するに値したと我々も確認している」という手段が取れるということなのです。

良い所を良い所として紹介していること

国外からの参加者への案内とか、救護室には開業医が居ることとか。
資格を持ったきちんとしたお医者さんがいらっしゃること自体は知っていましたが、筋金入りのオタクの開業医さんがいらっしゃるとは存じ上げませんでした。
救護室に運び込まれないように、参加者一人一人が体調に気をつけなければならないのは当然ですが、とは言えきちんとしたバックアップ体制が敷かれているというのは心強いことです。

高校生サークルと中学生

ものを創って発表すること、そしてそれを手に取ることに貴賎などないことを改めて感じました。高校生のサークルさんが創ったゲームのグッズを、中学生のファンが、頑張ってお金をためて手に入れにくるという構図は、すごくグッときました。

「店」「出店」「お客様」という言葉に敏感になり過ぎるのはやめよう

ところでTwitterなどを見ていると、「店」とか「お客様」という言葉を使うのはやめようという声がありましたが、テレビという性質上それは仕方ないとも言えるでしょう。文章を読んでいるわけじゃないので、見ている人全てに前提を説明することは難しいわけです。多くの人に、わずかの時間で出来る限り適切に伝えることを伝える、ということを考えれば、正しい表現方法だったと思います。もちろん、もにょるのはいいと思うんですよ。でも、それはそれ、これはこれですよ。もし、生身でそういう人に出会ったら、そこであなたの熱い思いをぶつけてあげればいいんですよ。

終わりに

と、つらつらと書いてみました。細かなところをいえばもっとあるのですがこのあたりで。今までのコミケ特集と比較すると、本当に好意的に取り上げられており、且つ丁寧な取材がなされていたように思います。

私がコミケに初めて参加したのはC71で、それから今までほぼすべて、全日参加してきました。私にとってコミケは、もう手段と目的が入れ替わっています。手段と目的が入れ替わることはマイナスに捉えられがちなのですが、私にとってはとても誇らしいことです。
同人誌即売会コミックマーケットだけではありません。私も、コミケ以外にも参加しています。だけども、初めて参加した即売会がコミックマーケットだったこともあり、コミケは特別なものという思いがあります。

コミケってどんなところなんだろう、なにをしているんだろう」と思っている人は、私達が思っている以上に沢山いらっしゃると思います。そういった人たちと、積極的に関わる必要はないと私は思います。ただ、変な誤解を持たれたり偏見を持たれたり先入観を持たれていると、生きづらいというのも事実です。
だからこそ、今回のコミケ特集は非常に有意義なものであったと個人的に思います。あなたにとって、NHK特集はどんなものでしたか?