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隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

西尾維新さん原作のドラマ『掟上今日子の備忘録』はエンターテイメント性に優れた良ドラマになりそう

ドラマ

2015年10月10日の土曜日21時から、日本テレビ系で放送開始されたドラマ『掟上今日子の備忘録』を見ました。
寝て起きると記憶をなくしてしまう探偵、掟上 今日子(おきてがみ きょうこ)と、世界一運が悪くいつも事件に巻き込まれるという隠舘 厄介(かくしだて やくすけ)が織りなすミステリーで、初回放送は15分拡大スペシャルでした。
1日で記憶は無くしてしまうけれども、1日でどんな事件も解決してしまう……公式サイトのイントロダクションにもあるように、「謎解きの面白さ」と「忘却の儚さ」が同居したストーリーが展開されるようです。公式サイトは 掟上今日子の備忘録|日本テレビ


ご存じの方も多いと思いますが、本作品の原作は2014年10月に講談社BOXより出版された『掟上今日子の備忘録』を始めとする「忘却探偵シリーズ」で、著者は西尾維新さんです。私のブログを読んでいただいている方には今更説明不要かとは思いますが、2002年にメフィスト賞を受賞してデビューされ、以後、ありえない執筆速度で次々と作品を発表し続けている、気鋭の若手作家です(とは行っても私のほうが年齢が全然若いですが)。今クールでは同作者の物語シリーズ最終章である「終物語」がアニメ化されています。公式サイトは TVアニメ「終物語」公式サイト


普段ほとんどドラマを見ていない私がなぜこのドラマを見ようと思ったのかといえば、先日放送が終了しました仮面ライダードライブのヒロイン詩島霧子を演じた内田理央さんが出演されると聞いたからです。もちろん西尾維新さんの作品がドラマ化するという軸で興味があったことは間違いないのですが、「見なきゃ」と思った理由はドライブでした。また放送直前に知ったのですが、1話には同ドライブの敵役のハートロイミュードを演じた蕨野友也さんがゲスト出演されるということで俄然テンションが上がっていたのでした。
ドライブに出演されたキャストの方々は、仮面ライダー放送終了後も着実に仕事があるようで、仮面ライダードライブ人気をあらためて実感しているところです。ブレンロイミュードを演じた松島庄汰さんが主演のドラマ「馬子先輩の言う通り」も楽しみにしておりましたが、関西では放送されず、見逃し配信でのネット視聴をするしかないことが最近分かりまして若干のショックと希望を見出していました。公式サイトは 馬子先輩の言う通り - フジテレビ

西尾維新さんの文章の映像化について

さて、話を戻しまして掟上今日子の備忘録についてですが、原作は未読です。現在アニメが放送されている終物語の原作を読んでいたころに「そういえば掟上今日子の備忘録なんていう新作が出るんだなぁ」と知ってはいたのですが、終物語をしばらく積んでいたこともあり、手を出しておりませんでした。そうこうしているうちにドラマ化が決まって、なんとなく急いで読み始めなくてもいいかと思っていたのでした。


というわけで内容を知らない状態でドラマを見たわけですが、結果的には面白かったという一言です。エンターテイメント性に優れた作品だと思います。ミステリーですので、事件が起きてそれを爽快に解決していく様が描かれるわけで、そういう意味でエンターテイメント性があるのはもちろんなのですが、それ以上にテンポが良かったことがそう感じた理由でした。

掟上今日子の備忘録の原作を読んでいないので、西尾維新さんがどんな文体・テンポで執筆されているかは分かりませんが、もしこれまでのような物語シリーズやそれらに類するシリーズに近い文章の書き方だとすると、映像化することは結構難しいのではと思っていました。
西尾維新さんを評するとき「言葉遊び」というワードがよく挙げられます。これを一言で説明することは難しいですが、私の理解で言えば、思わずくすっときてしまうような日本語の上手い使い方でしょうか。文章の流れ、掛け合い、セリフ回し、独特な名前……一度でも西尾維新さんの作品を読んだら、良くも悪くもその世界観に圧倒されることでしょう。
この言葉遊びは、悪く言うと文章で読まないと面白さが分からないとよく言われてきました。また日本語をこねくり回したりするので「くどい」と言われることもありました。西尾維新さんの作品をアニメ化することは非常に難しいのではと言われていました(少なくとも私はそう思っていました)。

しかしそんな気持ちを覆してくれたのは2009年にアニメ化された『化物語』(物語シリーズ)でした。監督は新房昭之さんでアニメーション制作はシャフト。化物語放送までに新房昭之さんとシャフトのタッグで作られた『月詠 -MOON PHASE-』『ぱにぽにだっしゅ!』『ネギま!?』『ひだまりスケッチ』『さよなら絶望先生』といった作品群を見ていた人にとっては「化物語はすごいものができるかもしれない」という期待があったと思います。なぜならそれほど、新房昭之さんとシャフトのタッグで作られたアニメ、そしてそのアニメ内で多用される独特で新しい表現方法は群を抜いていたからです。
唐突に挟まれる実写シーン、文字そのものを画面内に表現する、一見関係がないようなカットの差し込み、めまぐるしい場面の切り替え……上げればキリがないですが、見ていて思わず楽しくなる、笑ってしまうようなアイディアが詰まっていました(参考:【ぷらちな】アニメ新表現宣言!新房監督作品の奥にアニメ表現の最先端を見た!『さよなら絶望先生』シャフト《前編》)。
そんな期待の中放送された化物語は、本当に面白いものでした。あの西尾維新さんのあの文章を、こんなにも面白おかしく映像化できるなんて……と。文章をそのまま映像化したのでは絶対に辿りつけない表現方法がありました。特にテンポがすごかったのです。感情の動きとシンクロするかのように、映像にスピードの緩急がつくのです。だから、見ていて飽きないのです。

掟上今日子の備忘録はテンポがいい

と、アニメ化においてはある種の様式美が完成された感はあったものの、実写化においてはどうなんだろうという興味はありました。不安もありましたが、結果的にはとても満足できる内容でした。
ある作品を評する際に他の作品への評価を持ち出しすぎるのは良くないのですが、まるで西尾維新さんの作品をアニメ化したような印象を所々に受けました。
現在、第1話が見逃し配信されておりますので、いくつか本編から画像を引用させてもらいながら話したいと思います。
掟上今日子の備忘録 第1話(10月10日) | 日テレ無料 by 日テレオンデマンド
ちなみに見逃し配信は10/17の20時59分までですので、見ようと思っている方は期限に注意です。

文字を映像化する際のギミック

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例えばこの画像のシーンは、アバンタイトルにて作品のイントロダクションを説明する際に利用された表現方法です。「誰もが消し去りたい記憶を持っている」というナレーションが流れながら、パソコンの周りに消し去りたい記憶の断片のワードが次々と現れるという表現方法です。これを見てすごくアニメーション的な表現だなと直感的に思いました。
イントロダクションは多くの場合は単調な文章になりやすくて、出来る限り短くしかし分かりやすく飽きさせずに視聴者に伝えたいものですが、そのための表現として上記の表現は非常に有用だと思います。なぜなら視覚に強く訴えられるからです。ぜひ見逃し配信から動画で見てみてください。わずか数十秒の表現ですが、飽きないという意味が分かってもらえるかと思います。


また次の画像を御覧ください。
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文字が画面上に表現されています。もちろんスタンド能力などではありません。これらの文字の表現は、ストーリー展開に影響をあたえるものではありません。しかし視聴者の感情を動かしうる表現です。動きがつくんですね。



このように文字が次々と浮かび上がっては消えるという表現方法や画面上への文字表示表現は、いろんなアニメを見ている方には比較的馴染みがある表現で、特に西尾維新さんのアニメ化作品においては顕著な表現であることは説明不要かと思います。思わず「シャフトっぽい」と思った方も多いのではないでしょうか(こんなまとめも早速:ドラマ「掟上今日子の備忘録」がシャフトっぽい - Togetterまとめ)。

説明を映像化する際のギミック

次に以下の画像を見てください。
20151011150424


このシーンは、主人公の隠舘厄介が早速事件(SDカード紛失事件)に巻き込まれ、掟上今日子に依頼をして彼女が現場に到着した時に、事件の流れを説明する時に利用された表現方法です。まるでコラージュ画像を見ているような感覚になります。
何時に誰が会社に出社したのか、SDカードの紛失に誰がいつ気づいたのか、事件発覚後に身体検査を行ったのか……そういったことを隠舘厄介がモノローグで説明をするシーンなのですが、上記コラージュのような映像が小気味良く動きながら展開されますので、飽きることがありません。

このような回想シーン・説明シーンにおける表現の変化は化物語シリーズに多く見られます。化物語における主人公阿良々木暦が長いモノローグに入ると、画面上では突然表現が一変するのです。

20151011152306
via 化物語 : ひとりごと
ドラマにて隠舘厄介のモノローグシーンになった瞬間、思わず「化物語っぽい」と思った方も多いでしょう。


このように、表現一つ一つが丁寧に作られているんで、テンポが良く感じ、楽しく見られるのです。

ストーリー展開の早さがいい

このように面白い表現方法が随所に見られるのですが、あたりまえですが全編通して多用されるわけではありません。となると、それ以外の部分で視聴者を惹きつけるなにかがあるのか、ということになるわけですが、それに対してはストーリー展開の早さに着目してお話してみたいと思います。


第1話では大きくは1つの事件が取り上げられますが、その1つの事件の中に複数の事件が内包されています。最終的には「あぁ、そういうことだったのね」と1時間強を通して私達視聴者はカタルシスを得るわけですが、1時間強の中で主要の舞台を大きく移すレベルでの場面転換が多用されるので、飽きないわけです。
この「場面転換はクルクル行われるものの、本質のストーリーは進んでいて、結果的に綺麗に落ち着く」という構成の仕方が、アニメ化物語シリーズを最も彷彿とさせました。もちろん化物語の専売特許ではありませんが、上述したような独特な表現方法と合わせてのこの内容だったので、ついついそういう発想になっていました。
「おっ」「なるほどっ」「ほうほう」「なんでやろ」「どういうことやろ」と、実況しながらでなくてもテレビに呟いてしまうようなストーリー展開の楽しさがありました。

まとめ

というわけで、もともとミステリーという爽快感を得やすい装置に加えて、視聴者を飽きさせない工夫が散りばめられているという意味でエンターテイメント性に優れた内容になっており、まだ1話とはいえ期待ができる内容でした。
冒頭に取り上げたとおり、見逃し配信 掟上今日子の備忘録 第1話(10月10日) | 日テレ無料 by 日テレオンデマンド がありますので、もし興味があれば視聴されてみてください。作業しながらでもぜひぜひ。

ちなみに内田理央さんは殆どセリフがなかったですが、可愛い姿を確認できたので満足でした。そして蕨野さんは身長が高いし体つきもがっしりしているなぁとあらためて感じたのでした。



ちなみに、この記事を3分の1ぐらい書いたところでガッキー主演「掟上今日子の備忘録」ドラマを観る3つのポイント - あざなえるなわのごとし の記事を見つけてしまって少し泣きそうになったのですが、いやいや、自分にしか書けないこともあるんだと奮い立たせてなんとか書ききりました。上記記事は、私のようにダラダラ書いていないのにピリッとした批評内容になっておりますので、一読をオススメ致します。