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隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

だけど椎名ましろはよっぽど人間らしい

さくら荘のペットな彼女

椎名ましろが怖い。絵に打ち込むほど少女は人では無くなっていくようだ(さくら荘のペットな彼女) - おすすめを猫箱に

上記記事に直接言及するわけではないのですが、なんとなく感じたことがあったので。


そもそも私は『さくら荘のペットな彼女』についてはアニメのみで、且つ途中で視聴中断してしまったので言及する立場に無いのかもしれませんが2012年の話数単位選でも選んだ第3話に感銘を受けたことは事実なので、主にその時の感情を再度整理してみたいと思います。
『さくら荘のペットな彼女』3話 よほど誠実に生きていたのはましろだったのだ


本作品は、才能がない主人公が才能がある奴らの巣窟で、もがき苦しみながら成長していく話だと記憶しています。その中でも、椎名ましろというヒロインは特に才能があるという設定で、同時に、誤解を恐れず言うと「頭のおかしい」キャラクターです。
最初に紹介した記事から引用させてもらえれば

彼女の絵はとんでもなく巧いものの、しかしそのせいなのか一般常識から生活能力に関わる全てが欠落していた。コンビニに行けば陳列棚の商品を金銭を払わずむさぼり食い「貨幣経済」について全く教わったことがなさそうな素振りであるし、服の着替え、入浴、髪を乾かす事……そういった些事も一人ではこなせなくいつも神田空太に面倒を見ていもらっていた。
まさしくタイトル通り「ペット」なのである。手助けが必要な少女であり、周りの人間が意識的に「介護」してやらねばと思わせるほどに椎名ましろは一人では生きていけない。

椎名ましろが怖い。絵に打ち込むほど少女は人では無くなっていくようだ(さくら荘のペットな彼女) - おすすめを猫箱に

のように、いろいろと破綻しているのです。
しかし、悔しいのは、ましろは誠実に生きていることです。「こういうことをやりたい」と思ったことに真っ直ぐで、努力を惜しまず、誠実なのです。多くの才能を持たない人が口にする言い訳など無く、とにかく行動します。漫画家になるために、寝る間も惜しんで書きまくります。
本能を持っている。やろうとしていることに対して真っ直ぐなのである。

上記第3話の記事内でも特に取り上げた、ラブホテルの取材に関連したシーンの会話は今でも私の心を捉えて離しません。3話は椎名ましろと、さくら荘に住んでいる三鷹仁がラブホテルに行くお話で、ましろに好意を抱く主人公と、三鷹仁に好意を抱く上井草美咲が「なんで! どうして!」と勘違いする……シチュエーション的にはベタなお話。ベタと書いている通り、これはましろが漫画の取材のためにお願いしたという話です。

「待て待て、分かってんのかこの状況。ラブホに、男と女だぞ」
「分かってるわ。今日はここに泊まるのよ。」
「おまえな、全然わかってないだろ。いいか、椎名、おまえはもっとよく考えて行動しろ。こんな場所に男と来て何かあったらどうする気だよ」
「意味ないわ」
「あ?」
「考えても。私は取材に来たもの。これは書くために必要なことよ。だから私はここへ来たの。」
「へ…?」
「空太は。空太はどうしてここにいるの?」
「どうしてって……」
「忙しいって言ってたのに。猫の飼い主、見つかったの?」
「見つかってない。」
「なら、どうして? わかってないのは、空太の方ね。 さよなら」

アニメ『さくら荘のペットな彼女』第3話「近すぎて遠い…」より

会話が、状況が、声が、映像が蘇ってきて胸が締め付けられます。
端的に言えばましろは、自分がなそうとしていることが大事であり、それ以外には興味がありません。大なり小なり、さくら荘のペットな彼女ではこういったエピソードが多々描かれるのですが、変な子だと思うよりも「誠実である」と感じることが殆どでした。

誠実だと感じる理由は、主人公の神田空太が一般人サイドにいて、ましろと対比的に描かれることが多かったこともあります。これまた私の心をグリグリえぐりました。3話では空太が、ゲームクリエイターになるという夢を改めて捉え行動を起こそうと、「どうすればクリエイターになれるのか」と、チャット上で赤坂龍之介(引きこもりプログラマー)に聞こうとするシーンがあります。

このシーンで空太は、赤坂龍之介に質問しようとします。「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」、と。そしてキーボードで画面上に「ゲームクリエイターになるには」までタイプするのですが、ごく僅かの時間を置いて、バックスペースで消して、そして「いや、やっぱりいい」とタイプして確定させる。

ゲームクリエイターになるには」の続きはもちろん「どうすればいい?」が補完されるのだろう。しかし空太は「〜なるには」までしかタイプできなかった。

『さくら荘のペットな彼女』3話 よほど誠実に生きていたのはましろだったのだ

少なくとも自分はおそらく、空太の側にいると思う。でもそれは自覚したくない。にも関わらず、本作品ではそれを容赦なくぶつけてきます。辛い。同時に、ましろの天才性を改めて認めなければならない。だから「誠実」という言葉で表現したくなる。

椎名ましろは人間としては破綻しているはずなのに、自分よりよっぽど人間らしいと感じてしまう。

終わりに

さくら荘のペットな彼女の原作は完結したそうなので、そろそろ原作を読もうとは考えています。確か過去、放送当時の最新刊までは一気買いした記憶があるので、積んである本たちから探しだしてやろうと思います。


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