隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

延々と毎週スケジュールに従って録画されてHDDに溜まっていくアニメたちは何を想っているんだろうか

追記:2013/03/10
もっとアニメが見たい もっとアニメが見たい もっとたくさんのアニメに出会いたい


今クールが始まる頃に購入した2TBの外付けHDDの録画残り時間は60時間ほどになりました。今期はハッキリって殆どアニメを見れていません。言い訳するわけではないですが、仕事忙しすぎて、土日もちょっと油断するといつの間にか終わってる生活を続けてる。

そんな中、レグザたんの連ドラ予約機能を使って、毎週アニメはきちんと録画しています。でも殆ど見れていない。

HDDの容量が残り100時間を切った頃から、まずいなぁと思いだした。それは、これ以上溜めるとまずいなぁ、という思いからでした。
でも60時間を切りそうになった今、ふと、録画されているアニメについて思いを馳せてしまった。

延々と録画されてHDDに溜められていくアニメたちは一体何を考えているんだろうな、と。


アニメAの1話「とりあえず1話は何とか見てくれたみたいね」

アニメBの1話「だねー。この人はいつも大体全部のアニメ見てくれるから、2話以降も大丈夫なんじゃないかな」
アニメAの2話「ちゃんと2話も見てくれたよ。でも放送されてから3日後とか、いつもよりペースが落ちている気がする」

アニメBの2話「俺も俺も。見てはくれているんだけど、次の日とかじゃないんだよね」
アニメAの3話「録画されてから1週間立ったけど、実はまだ再生ボタンが推されず新着ラベルが付いたままなんだ。これは『まずい』かもしれない」

アニメBの3話「一部のアニメのやつは、リアルタイムで視聴されているので再生されていないだけらしいんだが、どうも俺達はリアタイ視聴はされていないみたいだ」
アニメAの7話「なぁアニメBの7話くん。どうやら僕達だけでなく、多くの仲間達がまだ殆ど再生されていないらしい」

アニメBの7話「聞いたよ。俺の知り合いも今期は再生されていない奴が多いし、再生されても途中で止まっているものも多いらしい」

アニメCの7話「はじめまして。どうやら今期の傾向として、再生されにくくなっているようですね。私達ができることは殆ど無いのですが、このまま私たちはHDDさんの中でプールされていく運命なんでしょうか」
アニメAの8話「なぁHDDさんよぉ。俺達はただ録画されるコンテンツに過ぎねぇ。でもHDDさんお前は違うはずだ。お前は俺達を管理している立場だ。確かにお前だって指示に従って録画された俺たちを溜め込んでいるだけかもしれない。でも他に何かできることがあるんじゃないのかい?」

アニメBの8話「俺達はただのコンテンツ。再生されるのも消化されるのも削除されるのも結局は人間さん次第ってことになる。でも、本当にそれでいいんだろうか? もっと何か、できることがあるんじゃないのか?」

2TBHDD「お前たちの言いたいことも分かるが、俺もお前たちを溜め込む場所でしか無いからな。それにお前たち、確かに再生されないっていうのは悲しいことかもしれないけれども、それ以上に『録画されている』ということをもっと幸せに思ってもいいかもしれない」

アニメCの8話「どういうことです?」

2TBHDD「世の中にはな、理由は様々だが『切られている』アニメが存在するんだ。録画されないどころか見もされないんだ。熱い想いを持って作られているお前たちが、切った人に対しては全く日の目を見ずに去っていくんだ。これの寂しいことったらない。」

アニメCの8話「……」

2TBHDD「ただまぁ、俺も溜め込む立場とはいえ思うんだ。放送されるアニメが凄く多いなって。そりゃ俺は淡々と溜め込むさ。でも、お前たちの言うように、再生されないっていうのは、本当にアニメにとって幸せなことなんだろうかって思うんだな。」


ネガティブな意味ではなくて、もっとアニメの放送数を減らしてください。もっとアニメを楽しませてください。アニメってとんでもなく面白いんですよ。つまらないかもしれないし悲しいかもしれないし肌に合わないかもしれないし、もうどうしようもなくどうしようもないアニメかもしれないけれど、そのことと「アニメを楽しむ」こととは別なんです。どんなアニメも、良くも悪くも楽しいんです、少なくても私にとっては。だからもっともっとアニメを楽しませてください。これは地域によってアニメの放映数が少ないとかそういう問題じゃなくて、あるスパンで見た時に、放映数が多すぎることによってアニメ一つ一つが、分散されすぎるという意味なんです。これは視聴者数もそうだろうし、ネットの話題もそうだろうし、そして一つのアニメに対してどれだけの人がどれだけ深く考えるのかという深さの点でも。
もっとたくさんのアニメと出会いたいという気持ちと、でももっと真摯にアニメと向き合いたいというジレンマがある。



(出展:日本動画協会 - 日本のアニメ業界・アニメ市場の近年の動向 2012年版


2011年に放送されたタイトル数は220。2011年に限らず毎年、1クール深夜アニメだけでも30本とか余裕。1年のスパンで見ると分かりにくいだろうから週換算しよう。大体今年の1月開始新作アニメは深夜アニメだけでも30本程度。そこに前期からの持ち越しを含めると多分40本〜50本くらいになると思う。
1週間に40本っていうのはどのくらいかっていうと、2クールを26話としたら1周間で1.5クールくらいである。1日5話みても間に合わない計算だ。ちなみにアニメを本気で多量見している人というのは1クールに70本くらい見ているので1週間で2.7クールくらいみているわけだ(1日10話って、殆ど1クールじゃない)。

深夜アニメと一部の朝アニメとか夕方アニメに絞ったとして、本気で全部見れると思いますか? いや、見れるんですよこれが。大学時代は、毎日リアルタイムで見れるアニメ全部見ていた時期もありました私は。もちろん全部録画して、被ったものは後から全部見て。
でもそれって、やっぱり特殊な例なんですよ。アニメに命をかける、とまでは行かなくても、所詮娯楽なわけで、楽しむものは楽しむ、興味が無いものつまらないものは見ない、それが普通だと思う。


「今期はどのアニメを見て、どのアニメを切ろうかなぁ」ってどんなに贅沢な悩みやねん、という。別にアニメに命かけていない普通の人でさえ「今期はどのアニメを見て、どのアニメを切ろうかなぁ」って言えるぐらい、沢山アニメが放送されているんです(映らない地域の話は据え置かせてください)。

それって本当にアニメというコンテンツ、作品にとって幸せなことなんだろうかなぁ。私はもっともっとアニメに対して真摯にもっともっと時間をかけて向き合って、いろいろ考えて考察したりバカみたいに騒いだりしたい。もっとキャラクターを掘下げたい。でも、一点に絞って、一つの作品に絞り過ぎるともう他の作品がフォローしきれなくなる。
これを贅沢な悩みだと仰る人も居るかもしれない。でもそうじゃない。こんな良質なアニメというコンテンツを、どうしてこうも湯水のように私たちは消化しなければならないのでしょうか。
「私は1クールに数本しか見ないし」。その裏では何十本という作品が存在していて、あなたが触れなかった作品はもしかしたらもう一生触れることがない作品になるかもしれないんです。それって、アニメにとって本当に幸せなことなんでしょうか。私はそうは思わない。


アニメって素晴らしいものなのに「切られる」「見られない」という事態が発生し、しかもそれが「数が多いから」というのが理由の一つになっているなんて、それはアニメにとって本当に幸せなんでしょうか。



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