追記:現在は公開が停止されています
Other voices-遠い声- » 「だれかのまなざし」YouTubeにて全編公開
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僅か7分程度の作品ですので、ぜひまずは見てほしいと思います。
いやぁ……何と嬉しいことか。公開当時からずっとずっと好きで、どんなに高くてもいいから本作品を手に入れられるようにしてほしい、と願っていたけれど本当に実現するとは思わなかった。
たった7分ぐらいの時間なのに、ホントに素晴らしい作品で、すごいと思う。言の葉の庭も素晴らしいんだけど、この「だれかのまなざし」も本当に素晴らしい。最初からクライマックス。どういうこった。どんなに高くてもいいから本作品を手に入れられるようにしてほしい。お願いします。そうじゃないと、目に焼き付けるまで映画館に通わなければならなくなってしまう。いや、手に入ったとしても映画館に通うだろうけれど。
雨は降らなかったけど『言の葉の庭』をもう一度見てきた
本作品は新海誠監督の最新作『言の葉の庭』と同時上映されたもので、元々は野村不動産の展開するマンション「プラウド」のコマーシャル用作品として制作されたものです。「場所」がモチーフとなっていたりします。
本作品は、これはどんな作品でもそうなんだとは思うんですが、見る人にとって感じ方が全く正反対になるのだと思う。「ほっこり」する人もいれば、私のように、もうどうしようもなく泣きたくなって、しんどいけれど何度でも見たい! と思うような人もいると思う。
僅か7分程度の作品なので、まずは見てほしい。そして感じてほしいと思う。
とは言っても、私個人の感想を言えば、この作品は疲れた社会人が見て、いろいろとぐしゃーっとなって、泣いたり感動したり心を動かされたりするのだと思う。以前の感想の記事にも書いたのだけれど、感情移入する部分が多くて、本当に見ているだけで引きこまれてしまう。
仕事終わりのあーちゃんが、電車の吊革に繋がってぼうっとするシーンの描写が、あまりにも自分に重ねるところがあって、1回目に見た時よりも感情移入してしまって、そして泣いた。これは吊革の手の話ではない。もちろんそこも非常に感情移入するのだが、それ以上に感情移入したのは、ナレーションの内容だ。ちょっとうろ覚えだけど、「批評じみた記事を確認する気力もなく」という部分。疲れている時って、何かをしようとする気力が失せるんですよね。何かをしようとは思うんだけど、だけど何かをしようとは思えない。特に、世の中の批評じみたネットの記事とかそんなんを読む気力に全くならない。泣きそうになるほど読みたくならない。私の場合、最近はパズドラを無意識にプレイしたりTumblrで淡々とリブログするか、もしくは本当に何も考えずにぼうっと佇むかをしている。だから、そういうことをまた思い出してしまって、2回目を見て、泣いてしまった。
雨は降らなかったけど『言の葉の庭』をもう一度見てきた
言の葉の庭の感想でも書いたけれど、電車という乗り物は、東京の人にとってはかなり身近なものだと思う。私は元々京都出身で、もちろん電車は乗るのだけれど、頻度はそれほど高くなかった。私にとって新海誠さんの作品で見る電車は「綺麗だなぁ」というものだった。だけど、社会人になって、東京に出てきて、毎日満員電車で通うようになって、電車は「辛い」という形容詞をつける分類に入るものになってしまった。
――監督の作品には、駅のホームや電車の中から見た景色など、電車にまつわるシーンがたびたび登場する印象があるのですが、電車がお好きなのでしょうか?
新海:狙ってと言うよりも、生活に密着した移動手段が電車で、東京に住んでいるほとんどの人にとってそうだと思うんですね。当たり前の日常を描こうとすると、必然的に入って来るという感じなんですね。背景美術も「できるだけきれいに描こうよ」という気持ちが皆の中にありますので、ディティールを追及して行くと「こんなに細かく電車を描いてるんだから電車好きなんでしょ?」っていうふうに思われがちということでしょうか。
アニメーション映画『言の葉の庭』新海誠監督インタビュー - ニュース - アニメイトTV
そしてこの作品は、もちろん社会人という部分以外のも沢山感情移入できる場所がある。猫のミーさん、お父さん。娘を思う気持ち。大切な「家族」を亡くすこと。娘が父を思う気持ち、変遷。未来的なガジェットと、しかし繋がる心……上げだしたらキリがない。この作品を見れば、何かが心に突き刺さると私は断言できる。それほど、素晴らしい作品です。
昨今のアニメや映画、歌詞は「説明し過ぎ」と言われることが多い。わざわざ説明しなくても分かるだろ、という。本作品は、実は結構説明がある。猫のミーさんがナレーションをしているけれど、娘のあーちゃんとお父さんの心情をきっちり説明するシーンが存在する。
しかしそれを見て私は全く蛇足とは思わなかった。むしろこれはこの作品には必要とさえ思ってしまった。なぜだろう。この作品には、このナレーションが必須だと思ってしまう。私達が、グググッと画面に引き寄せられ、心も引き寄せられ、全てが頂点に達しそうになった時に、ナレーションで優しく包み込んでくれるのだ。「あぁ、そうなんだよ、そうなんだよ」と優しく作品に対して感情移入し語りかけることができる、その力があのナレーションにはある。
僅か7分の作品だけど、私はこの作品に人生を救われている。言の葉の庭が公開されていた前後、私は精神的に本当に落ち込んでいて鬱一歩手前だった。だけど、この作品を毎週のように見に行って、救われた。言の葉の庭を貶す意図は全く一ミリほども無いけれど、『だれかのまなざし』の方を楽しみにしていたと言っても過言ではない。それぐらい私は救われていた。
ほんとうに良い作品です。是非見てほしい。
終わりに
欲を言えば、BD画質で見たいです。盤で欲しいです。所有したいです。