2年目に突入しても勢いが全く衰えないどころか飛ぶ鳥を撃ち落とす勢いのアイカツにおきましては、いかがお過ごしでしょうか。
スターライト学園が手薄な、鬼の居ぬ間に勢力を拡大したライバル校ドリームアカデミー、略してドリアカ。まさかのライバル校出現に、1年目とは違った緊張感が漂うのかと思いきや、相変わらずアイカツらしい微笑ましいライバル関係となっていて胸をほっとなでおろしています。悪い空気にならないというのが実にアイカツらしいです。
さて第58話では「ダンシング」という言葉が入っています通りダンスをテーマとしたお話でしたが、特に振り付けに焦点を置いた内容でした。
ドリームアカデミーのアイドル音城セイラと冴草きい、二人が同じステージに初めて立つ記念すべきライブ(ファッションショー)、であるならば「最高のステージにしたい」ということでダンスの振り付けを自分たちで考えようということで、ジョニー先生ことジョニー別府の元へ振り付けを教わりに来るという流れ。ライバル校の生徒相手でも笑顔で振り付けを教えるジョニー先生は素敵ですが、ライバル関係とは何だったのかというツッコミを入れざるを得えないという微笑ましさ。これだからアイカツは素晴らしい。
アイカツのダンス(ライブ)パートは原則1話の中の最後に挟まれますが、ではそれまで何やっているんだというと、「アイカツ」しています。アイカツとはアイドル活動の略で、つまり「特訓」をするわけです。こういったアイドル系のアニメだと、きちんと練習をするシーンというのは軽視されがちなのですが、アイカツはそこを丁寧に描きます。むしろそっちが本編だろうというぐらいにきちんと描かれます。
58話では、振り付け特訓が丁寧に描かれました。ジョニー先生がプロとして教える振り付けの4つのコツを順に聞きながら、物語の後半で踊るであろう振り付けをセイラときいが完成させていきます。
何が楽しいかって言うと、ジョニー先生のコツを聞きながら一歩ずつ、しかし時には独創的に前に進みながら、自分たちの振り付けを自分たちの力で完成させていく過程が描かれることと、その努力の成果がきちんと、最後のダンスパートにつながっている点、ここがほんとうに素晴らしいです。
今回初登場の楽曲「マジカルタイム」は、セイラが「可愛すぎないか」と評するようにかわいい曲で、振り付けについても出だしのロボットダンスが愛らしいものでした。アニメ本編では、通して一度しか聞けないにもかかわらず、本編とのつながりが抜群だったわけで、一気に好きになってしまいました。
振り付け特訓のお話
ジョニー先生は振り付け師、ダンサーとして超一流ではあるものの、アニメ本編ではどちらかと言えば裏方の役回りが多く、活躍する機会が少ないです。1期では最終回の直前になってジョニー先生回(第46話「リスペクトJ☆」)があったり、また凄さを伝える描写(例えば学園長にダンスのダメ出しをするなど)が多めに挟まれたりしましたが、やはり少ない。
とは言え、その少ない登場シーンでも私達視聴者を圧倒的に満足させてくれるかっこよさがあります。ジョニー先生の教育・指導は、理屈と精神論どちらにも納得感があるのですが、それは私達視聴者がジョニー先生をずっと見ていて「いい先生だなぁ」という思いを持っているからだと思います。裏方に回っていたとしても、その「良さ」がにじみ出ているのだと思います。
「ジョニー先生はすごい人なんだから」ということを示す回想として挟まれたカット。ジャージ姿の美月さんはレアカットかも。
さて58話でジョニー先生は、プロの視点から振り付けの4つのコツを教えてくれました。
- まずはとにかく歌詞カードを見ながら曲を聞くべし
- 歌詞の横に絵を書き込んでいく
- 振り付けを書いたメモを見ながら、体を動かしてみる
- 誰が味方か、よく考えること
小学生の低学年くらいまでは替え歌づくりにハマったものですが、振り付けについては遊びでもほぼやった記憶が無い私です。実際の振り付けがどのように作られていくのかは全く知らないのですが(作詞についてだってもちろん門外漢)、ジョニー先生の振り付け指導は理にかなっていると感じました。
これは絶対に取材とかしているんじゃないのか……というところでネットで検索していますと、58話の脚本を担当された加藤陽一さん(https://twitter.com/yoichi_kato)が以下のようなツイートをされていましたので引用します。振り付けについて、スタイルキューブ所属で現在はStylipSのユニットとしても活躍中の能登有沙(のと ありさ)さんに取材をされたそうです(今更気づいた事実ですが、RO-KYU-BU!の振り付けにも関わっていらっしゃるそうです)。
きちんとした取材が、アニメに反映されているんだということが分かったのでした。
記事冒頭で、アイカツは努力の過程をきちんと描くことが素晴らしいと書きましたが、これは「単に描いていること」が素晴らしいという意味ではなく、面白おかしく、時には厳しく、努力している様子が私達視聴者に伝わってくるような丁寧な描写がされるという意味です。
第58話では、指導を受けながら伸び伸びと振り付けを作っていくセイラ・きいの等身大の努力がこれでもかと伝わってきました。だからこそ、ダンスパートもより一層映えて感じるのです。
まずはとにかく歌詞カードを見ながら曲を聞くべし
早速、真剣な顔をしながら曲を聴き始めるセイラたち。何でこの子たちはこんなにジャージ姿が似合うのでしょうか
歌詞の横に絵を書き込んでいく
歌詞に書き込まれる棒人間たちは、シャーロック・ホームズの踊る人形を彷彿とさせました。
ふわ〜 ふわ〜
振り付けを書いたメモを見ながら、体を動かしてみる
実際に体を動かしてみると、新たなアイディアが生まれるということがよく理解できるシーン。僅か15秒にも満たないシーンだけれど、こういうシーンをきちんと描くことがどれだけ大事かということがよく分かる
誰が味方か、よく考えること
渋い。このカットでさえ多少冗談めかしているのだけれども、こういうシーンが時折挟まれるからこそ私はジョニー先生の株が上がっていく
誰が味方か、について私は、一緒に踊るメンバーのことを指しているのだと最初は考えていました。ユニットのメンバー同士が良いと思ったものが良いものになるんだ、ということを言いたかったのかなと。セイラたちが考えた振り付けをいちごたちに見せたときに、いちご達は「いいと思うよ」と言うのだけれどもセイラたちは「なんか違うんだよねぇ」という、そういうシーンが挟まれたことも関係しています。
ただし、正解はもっと明快なものでした。「味方がダンスを最高のものにしてくれる」という言葉通り、それは観客、ファンのことでした。
「ダンスに不安なところがないと言ったら嘘になるけれど」と、ライブ前に弱気になりそうになったセイラではあるものの、観客の、ファンの声援を聞くことで「よし、やってやろう、最高のものにしてやろう」と自然に感じていることに気づいて、レッスン4の答えを理解しました。
素晴らしい物語の流れ、としか言いようがない。これだからアイカツはやめられません
ダンス(ライブ)パート
ところで新楽曲「マジカルタイム」は、チャイコフスキー作曲「くるみ割り人形 行進曲」のサンプリング*1となっているという情報を見たのですが、「くるみ割り人形」ってどんな曲だったっけと調べてみたら、あぁホントだ、まさしくそうだ……と。
(あまり無節操にYoutubeなどから動画を紹介するのはよろしくないと、よく理解しているつもりです)
何で言われるまで気づかなかったんだろうという。
こんなに有名な曲であっても言われないと気づけない自分に驚きながらも、これまで聞いてきた音楽の中にもサンプリングされたものが沢山あったのかもしれないなぁと今更ながらに思うのでした。音楽を聞くって、単純であり複雑ですな。
1年目の中盤からカメラワークに凝りだしたアイカツのダンス。今回のダンスも全体的に素敵なのですが、この画像の部分、ぐるりと回りながら下角度からのアングルにドキッとさせられました
近いうちに、お気に入りダンス特集の記事も書きたいと思います。
スペシャルアピールもバッチリ決まる! もう可愛すぎ! 可愛すぎやろ!
終わりに
というわけで、アイカツは毎週毎週こんなに内容が濃いことをやっているんだよということをお伝えしたく記事を書かせていただきました。アイカツに少しは興味を持っていただけたでしょうか。女児向けだから、なんてバカにしていたらビッグウェーブに乗り遅れてしまうかもしれませんよ!
テレビ東京系6局で毎週木曜日夕方6時から、BSジャパンでは毎週月曜日夕方5時から放送中(その他の放送局もあり)。詳しい放送局情報は以下リンクからどうぞ。
テレビ東京・あにてれ アイカツ!
また今回紹介した58話について、12月2日までは、あにてれしあたーで無料試聴が可能ですので、ぜひぜひお時間のあるときに見ていただければと思います。
アイカツ!:あにてれしあたー:テレビ東京
余談ですが、「あにてれしあたー」というサービスはアニメ配信サイトだと思っていたのですが、どうやら厳密には、運営しているテレビ東京の「アニメ配信ポータルサイト」で、インフラについては各配信サイトが請け負っているようです(動画を見るためには、どこかの配信サイトに飛ぶ必要がある、ということですな)。
そういえば今回、ダンスの振りが小さい、という弱点を克服するために行ったジャンボジェットの誘導特訓がありましたが、こういうぶっ飛んだ内容がさらっと挟まれても驚かなくなってきた自分を振り返って、改めてアイカツ空間に毒されているなと感じました。
さぁ、みなさん、アイカツのヒロインたちと、熱いアイドル活動、はじめましょう!
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