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「原作超えアニメ」なんてそんなに存在しただろうか。コンテンツは「原作付きアニメ」に殺されるのではないだろうか

コンテンツは「原作超えアニメ」に殺される - ふわふわスマイル

上記事を読んで感じたことを少し。

追記ここから:2015/05/10
関連:コンテンツは死なない。原作者が死ぬ - 主ラノ^0^/ ライトノベル専門情報サイト
追記ここまで

そもそも原作超えアニメってなんだっていう。どうやったら超えられるんだろうね。
原作を超えることはほんとうに難しい。なぜなら原作だから。ポイントは、原作超えだと判断できるのは原作に触れたものだけだということです。
多かれ少なかれ原作に親しんだファンにとって、その原作を超えることは難しい。アニメ化にあたって「原作の○○を改変するとかありえない」「もうちょっと□□に気を配ってくれたらなぁ」と思うことは多々あれど、「原作にはない△△を追加して、原作を超えるような演出になった」というのは早々お目にかかれない(と強く言い切れきれないけれども、心情的には言い切っておきたい)。

原作が好きで、アニメ化したものも好きな場合、心情的には「どちらも面白い」と捉えたい。元記事のブコメにありました『ぱにぽにだっしゅ!』という作品は私の人生を狂わせた作品の一つですが、アニメから入りその後原作を読んだ私にとっては、「原作も」面白かったです。
ファンが皆して原作を貶めるから作品が続かなくなるんだ……それはある一面から見れば正しいと私は思います。元記事はどちらかと言えばファン目線からですが、作家側の問題も十分にはらんでいると思うからです。

思うに、原作超えをしたかどうかよりも、原作があるものをアニメ化することそのものが持つ問題だと思います。
とても昔、とは言っても2011年の始まりにですが、ライトノベルのアニメ化に関して以下の様な記事を書きました。

上記記事は、アニメ化は必ずしもうれしくない!?――作家とメディアミックスの微妙な関係 (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン という記事を解釈しながら書き記したものですが、元記事を今読んでも、原作付きアニメの「作家側」の問題についてよくまとまっていると思います。メディアミックスと原作付きアニメはイコールではありませんが、メディアミックス展開とは切っても切れない関係だと私は思うので、ここではそう解釈させてください。
さて、今更ながら上記事を乱暴にまとめると、「コンテンツは「原作付きアニメ」に殺される」となるのかもしれません。

ここでは3つ目の記事から、以下引用致します。

  • 「アニメの出来不出来=原作の出来不出来」として扱われてしまうこと。
  • 「アニメの終了=原作の終了」ということになりがち。
メディアミックスのメリットとデメリット―アニメ化後の創作活動の停滞

これは、ITmedia ビジネスオンラインの元記事において、作家の松智洋さん(代表作は『迷い猫オーバーラン!』、『パパのいうことを聞きなさい!』(何れもスーパーダッシュ文庫)など)が、アニメ化もされた『迷い猫オーバーラン!』の経験を例にメディアミックスの功罪を語ったものを私がまとめたものでありますが、まさにこの2つがコンテンツが作家側から見る「原作付きアニメ」に殺される理由として考えられると思います。
一応自分の名誉のために書いておくと、私はコンテンツに対して殺す殺さないという言葉を使うことがあまり好きではありません。結局は、そのコンテンツを愛する私達たちが、そのコンテンツをどう思うかに集約されると思うからです(だからこそ、作家側からの作品の解釈のネタバレとか、自作品に対する嫌悪とかは死にたくなるのでやめていただきたい)。


気になる方は元記事や私の書いた記事を読んでいただきたいのですが、例えば松智洋さんが「アニメの終了=原作の終了」については以下のように話されていてます。私は当時この記事を見て、切実な問題だと感じていました。

  • アニメ化の最大のデメリットは、アニメ化後に作家が新作を発表することの難しさと生みの苦しみではないか。
    • アニメ終了後に販売部数を伸ばす作品はまれで、途中でのアニメ化が作品の寿命を短くしてしまう。
    • アニメ化された作品の次回作というのはどうしてもハードルが上がる。
      • 読者側からの期待。
      • アニメ化された作家という気負い。
  • アニメ化されると考える時間というのが生まれてしまう。
    • 一時的な販売部数の伸びから収入増加。それにより貯金が増加。
    • それに伴い、「1年くらい暮らせるな」と思うと、「いい作品を書くために、もっと時間を使うべきではないか」と考える。
    • 結果、創作活動の停滞がアニメ化の後に発生しやすい。
メディアミックスのメリットとデメリット―アニメ化後の創作活動の停滞

(他にも、「涼宮ハルヒの憂鬱」、「紅」、「とらドラ! 」の3作品を取り上げて自分なりに考察もしているので、もし興味があればご覧になってくださいませ)。

さて、つまり、その後の作品が「興味を持たれなくなる」というような問題もあるけれども、そもそも「作品が続かなくなってしまう」という問題もあるということです。こればかりは作家ご本人に聞かないと分からない問題なので、踏み込みすぎることは避けたいのですが、とは言えメディアミックス展開によって原作作品が壊されてしまったと感じた経験をしたことがある方には共感いただけるのではと思っています(「紅」とか、「紅」とか、「紅」とか。ようやく発売された最新刊を未だ読めておりません)。



話を少し戻して、それでは「アニメ化するな! 全部オリジナル作品だけにしろ」なんてことを言うつもりはありません。元記事で、

しかし原作厨と呼ばれる人種がどれだけ食いつくかのための宣伝媒体でもあって欲しい。僕自身がアニメ見てぴんと来た作品は原作から調べるために金落とすタイプだからこそなのかもしれないけれども。

コンテンツは「原作超えアニメ」に殺される - ふわふわスマイル

のように記載されているように、私も原作付きアニメから原作を知り、そして原作も好きになるというメディアミックス戦略にきちんとハマるルートを取ることが多いためです。アニメを見ていなければ知らなかったマンガ・ライトノベルが死ぬほどあります(冗談ではなく、私が所持している漫画・ライトノベル合わせて900冊程度の8割以上はアニメから入ったものです)。



ではどうすればよいのかというと、私個人としては、ファン一人一人が声を上げていくしかないと思います。まとめサイトがアニメ界の世論を作れるのならば、個人ブログやSNSであっても、その反対の潮流に持って行くことだってできるはずです。
つまり、もし元記事を読んで思うことがあれば、ぜひ文章にしましょう。ブコメもいいけどブログもね。増田でもいいじゃない。一つ一つ声を上げていかないと、絶対にマスの意見に取り込まれてしまうことは明白で、というかもうまとめサイトにまともに勝つのは無理だけれども、でもそれでもやるしかないわけですよ。

終わりに

というわけで、天邪鬼なので最初の元記事を読んで「何か矛盾があるに違いない」と仕事中、頭の隅で考えていたことを垂れ流してしまいました。繰り返しになりますが、ネガティブな記事タイトルとは反対に、私はコンテツの力というものをとても信じています。
皆さんは、原作付きアニメが好きですか?