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劇場版『僕のヒーローアカデミア』はオールマイトの活躍を見れてしまう

劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』を見てきました。

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引用:http://heroaca-movie.com/news/


週刊少年ジャンプで連載中の『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平)、通称ヒロアカはとても好きな作品です。とは言っても連載開始からずっと追ってきたわけではなく、連載途中で猛烈に読みたくなって読んだらめっちゃ面白くてハマった、という感じです。
ジャンプを買っているくせに読まない漫画があるのはどういうことか、と怒られそうですが、案外そんなものですから仕方がない。
話の途中から読むっていうのは、個人的には結構力がいることなので、これまで避けてきてしまっていたのです。ただ、評判がそれなりに良いのは知っていたのでどこかで読みたいと思っていたのですよね。

というところでいろんな記憶を辿ってみると、去年の4月ぐらいにおそらくコミックに手を出したっぽいようで、そこから原作にも追いつき、今はリアルタイムで楽しんでいます。

さてそんなヒロアカの劇場版が公開されると知りまして、ぜひ見ておこうと劇場に足を運びました。
公式サイトでも記載されていますが、本作は原作の期末試験の後から林間合宿が行われるまでの間の、いわゆる空白の夏を描いた作品となります。原作者も監修しているオリジナルストーリーだそうです。正史でいいのかな。

本記事では僕のヒーローアカデミアのネタバレを含む記載があります。続きを読むのは、原作の11巻まで、またアニメであれば今放送中のアニメの第50話まで目を通した方におすすめします。

若き日のオールマイト

さて、この映画、一言で感想を言うなら楽しいけど辛かった、でした。ヒロアカを好きな方であればあるほど、この気持ちは多少はあったのではと思うのです。
何かっていうと、オールマイトがまだ活動することができた時代を描いているんです。

前述したとおり、時系列的には「期末試験の後から林間合宿が行われるまでの間」ですので、オールマイトはまだ50分程度活動することが可能な時代です。
まだオール・フォー・ワンとの対決前ですので、ワン・フォー・オールの最後の残り火はまだ消えていません。出久に力を譲渡しているわけですが、まだ戦えたわけです。

本作品の屈指の戦いであり、また第一部(といっていいかはわかりませんが)の区切りがついたオール・フォー・ワン戦。この戦いを期に、オールマイトは前線からは足を洗います。
ヒーローとしては活動ができなくなったためです。以後は、指導者として出久を見守ることになりました。

原作11巻の盛り上がりは、オール・フォー・ワン戦の後の、全寮制になった部屋披露大会まで含めてとても濃密で、何度読み返しても涙が少し出てしまう私。
オールマイトというヒーローを失った影響はとても大きい、それは読者も同じだと思っています。

オール・フォー・ワン戦の後に、オールマイトに海岸に呼び出され、開幕一番オールマイトに殴られるシーン。

頬に残る
弱々しい痛みが
僕に
オールマイト”時代の終幕を

じんじんと告げていた

引用:漫画『僕のヒーローアカデミア』11巻 No.95 「始まりの終わり 終わりの始まり」


このモノローグが本当に好きで。好きというか泣いてしまう。ワン・フォー・オール譲渡のために、オールマイトと共に特訓をした同じ海岸にて、オールマイトがもう終わってしまったということ、この事実が伝えられることは本当に辛いし悲しい。ここだけに限らず、オールマイト引退に伴う描写が私はとても辛くてですね。オールマイトロスとでもいうのでしょうか。


そういった気持ちがやはり残っているわけですから、若き日のオールマイトの姿であるとか、また映画時間軸での現在におけるオールマイトの活躍する姿なんかを見て、もう嬉しかったし、同時に悲しくてですね。
あぁ、そうか、このときのオールマイトはまだ動けるんだって無意識に思ってしまってですね。こういうふうに言うと映画に悪いのですが、別の世界線の作品のように思えてですね。パラレルストーリーだったっけ、みたいな。

映画って難しいですね。あの時描かれなかった○○を描く! 手法って難しい。
漫画の中での回想ならば「これは回想なんだ」って読者は意識することができるので、気持ちの落ち込みはそこまではいかない。だけれども本作のように、描かれてこなかった空白の夏という形で、回想という形ではなくリアルタイムで存在している、というような形で見せられうと結構辛いな、と。これは、空白の夏が訪れたその時に見ておきたかった、見たかったなと。

ストーリーは勧善懲悪でよかった

やっぱりヒーローものはこうでなくっちゃ、と。多少ごり押し感のあるストーリーでしたので、物足りない方はたくさんいらっしゃるのではと思うのですが、それもまたよきかなと。一応、ターゲットは子どもたちでしょうから。
この映画に登場するオリジナルキャラクターでヒロインであるメリッサさん。個人的にはこの映画のMVPとして推したい。

何かって言うと、ヴィランに立ち向かうために高層タワーの屋上まで登っていくというのが今作のハイライトだと思いますが、無個性のメリッサが割と早い段階で靴を脱いで、以後はずっと裸足でタワーをアクションしながら駆け上がってきたこと。本編には関係がないところなのに、やけに気になってしまってですね、メリッサさんマジ裸足ヒロイン、とか後半心の中でつぶやいていました。


さてもう少し真面目に感想を書きますと、クラスのメンバーが多かれ少なかれみんな登場していたのは好印象でした。残念ながら主要メンバーに選ばれなかった面々もいましたが、登場させてくれたのはいい仕事。
とはいえ爆豪や轟、飯田くんや八百万さんなどはやはり動かしやすいキャラクターなんでしょうね、癖が強いので。本編でもストーリーを動かす中心ですし。

詳細をきちんと覚えていなかったため、以下のブログにて主要メンバーを再確認させていただきました。ありがとうございます。

ただ≪I・エキスポ≫プレオープンのレセプションパーティに招待されいるメンバー10名が主に活躍していました
僕のヒーローアカデミア Vol.Origin」の表紙に描かれている10名ですね!

緑谷 出久(みどりや いずく)
爆豪 勝己(ばくごう かつき)
麗日 お茶子(うららか おちゃこ)
飯田 天哉(いいだ てんや)
轟 焦凍(とどろき しょうと)
上鳴 電気(かみなり でんき)
切島 鋭児郎(きりしま えいじろう)
耳郎 響香(じろう きょうか)
峰田 実(みねた みのる)
八百万 百(やおよろず もも)

映画『僕のヒーローアカデミア』の感想と考察まとめ!【ネタバレ有】 - がるシーク

(太字は原文ママ)

押せ押せな爆豪、霧島、上鳴はとにかく暴れ役としては適任。ヒロイン枠な麗日さんは居るだけでOK。強さと冷静枠の轟さんは安定感。統率役の飯田くんは安心感。諜報には便利な能力、耳郎さんはピンポイント諜報担当。エロ担当峰田。何でも作れる便利な八百万はいろいろ作って派手なアクションにも貢献できる担当。
結果論かもしれませんが、やっぱり動かしやすいメンバー、映画映えしやすいキャラクターが選ばれたのだろうと思います。

能力増強装置の是非

望まないことを無理矢理にでもできてしまう、という観点でみると、本作においては容認できる装置ではなかったのだとは思います。
ワン・フォー・オールは、押し付けられるのではなく自分で勝ち取ったことに意味があると何度も作中では強調されていますし、またもう少し最近の話にはなりますが壊理ちゃんとその「使われ方」、またそれに対してヒーローたちが取る態度などを見ていれば、本作がそういったことは許さない立場だということが分かります。

これは受け売りだが
最初から運良く授かったものと
認められ譲渡されたものでは
その本質が違う!

肝に命じておきな
これは君自身が勝ち取った力だ

引用:漫画『僕のヒーローアカデミア』1巻 No.2 「うなれ筋肉」

とはいいつつも、無二の親友であるオールマイトを助けたい一心でやったデヴィット・シールド博士の行為を否定することは私には中々できません。彼も彼なりに悩んだ末の行動だったでしょうから。

倫理を超えた想い、という装置に私は惹かれてしまう性分なので。その人が考えて考えて考えて辿り着いた答えなのならばそれは否定されるべきものではない教、とでもいいますでしょうか。
引用させてもらうなら、出久が死柄木弔に言った「おまえの事は理解も納得も出来ない……ヒーロー殺しは納得はしないけど…理解は出来たよ」が近いでしょうか。

終わりに

ヒーローアカデミアを好きな人は、見て損はしないかなと。ただ、とんでもないカタルシスがあったかと言われると、そこまではという感じでしょうか。
もちろんこれは上述したように、オールマイトロス的なところも大いに関係しているのですが。

後これは最後になりますが、ED後に日常シーンなんかが描かれたら嬉しかったなと。私、ED後の日常シーン大好きなんですよね。
こちらからは以上です。


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