隠れてていいよ

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アニメ『すのはら荘の管理人さん』 男女逆の設定なら楽しめてしまうのだろうか

twitterにて『すのはら荘の管理人さん』というアニメの存在を知り、軽い気持ちで見始めたら思いの外、いろいろ考えさせてくれたので記事に。
アマゾンプライムビデオで現在10話まで配信されており、私はまず、5話まで視聴しました。

本作品は公式サイトでも説明されているように、20歳を超えているお姉さんが、中学校へ進学したばかりの小さな男の子にあんなことやこんなことをする作品です。
私はそれほどおねショタ属性持ちではないので、露骨なおねショタのネタに対して、そこまでは惹かれていません。

それどころか見ていて少々イライラしてしまったのです。今回はその当たりについて言語化して考えてみようと思います。

主人公には人権がない

「人権がない」というのはネットスラングなのであまり積極的に使わないほうがいい言葉かと思いますが、とはいえこのアニメには主人公に対する人権が殆どありません。
どういう意味かと言うと、主人公の「こうやりたい」とか「それはやりたくない」という気持ちがないがしろにされ、全ては管理人さんを含む女の子たちに良いようにされていきます。
それがある意味おねショタの醍醐味の一つだとは思うので、否定してどうするんだという話はあるのですが。

どのあたりに私がイライラすんだろうと考えた時、1つは徹底的な人権無視イベントが続くこと、そしてもう1つは主人公が雰囲気に流されてしまいがちなところだと思っています。

人権無視イベント
  • お風呂に入っていたら、管理人さんが勝手に入ってくる
  • お風呂に行っててくれますかと言われてお風呂に入っていたら、髪を切られることになっている
  • 運動会の練習と称して、長時間拘束される
  • 断れないことを良いことに、無理やり女装させられる
  • とにかく抱きつかれて、胸を当てられる、抱きつかれる
  • 痴女のようなチアリーダーのコスプレで、勝手に応援される
  • 夜、部屋に無理やり侵入するように仕向けられる
  • 服を着替えさせろと命令される

具体例をあげれば枚挙にいとまがないのですが、有り体に言えば、まだ判断力がそこまで伴っていない中学生になりたての男の子を寄ってたかっていじめている感じ。
まぁおねショタはそんなものかもしれませんが、人によっては、嫌悪感を抱くレベルでのイベントラッシュかもと。

主人公が雰囲気に流されてしまいがち

こういったイベントに対して、主人公がもう少し抵抗すれば良いのですが、この主人公さん結構甘んじて受け入れてしまうんですよね。
主人公は本作の設定的には、これまで見た目のせいで男の子扱いされてこなかったことを克服するために頑張ろうとする、です。なのでこの奮闘がもう少し描かれるかなと思って期待していたのですが、ある意味普通の中学生の男の子らしい反応を見せてくれるので、拍子抜けしちゃいました。

女の子扱いされてきたことはトラウマレベルのものかなと思っていましたが、可愛い女の子たちには抗えないよー、っていう内容を見せつけられるわけです。ある意味では健全なのですが、パンチは弱い。
主人公、もう少し頑張るんだ、君が頑張らないとずっと受けに回ってしまうぞ。

バランスをとるための装置としての会長だが……

すのはら荘の同居人に、雪本柚子(ゆきもと ゆず)というキャラクターが居ます。主人公が通う学校の生徒会長です。
幼児体型で、自分が小さいこと(主に胸)にコンプレックスを持っている女の子(案の定、この子を溺愛している同居人が居ます)。

本作のように主人公がやられ役としてメインで機能する場合、ずっとやられっぱなしではマンネリが起きるために、それを打開するための装置が導入されることが多いです。主人公がやり返すイベントが発生するなどが、一般的です。
本作では上述した生徒会長さんが、その役です。普段は恥ずかしがらされてしまう主人公が、反対に恥ずかしさを与える役割に回るわけです。具体的には、両足の間に生徒会長を座らせて一緒に漫画を読むとか、下着姿を見てしまうとか、そういうイベントのことです。
これによって、やられっぱなしのバランスが取れるわけです。しかし本作においてはその割合が非常に少ないです。主人公がやられる方がメインなんだぞ、という強い意志を感じます。


このように、おねショタのいい部分がある意味で全面に押し出され過ぎているために、過剰な属性成分が付与され続ける結果、イライラに繋がっているのだろうと推測しています。

設定が逆ならイライラしないのか

ただ、こういったイライラについては、結構都合のいいこと言ってるんだろうなという気はするんですよね。つまり、例えば本作の男女関係が逆の設定だったら、めっちゃ楽しんで見るんじゃないの、的な。

見た目のせいで女の子扱いされてこなかったことを克服しようとすのはら荘にやってきた中学1年生のボーイッシュな女の子が、管理人さん含む同居人の男性たちに良いように弄ばれる……。少女漫画にありそうだけど、偏見だろうか。

属性が合う合わないは、もちろん大事なこと。私におねショタ属性がないから、イライラすんでしょうと。とはいえ、属性という皮をかぶせることで、どこまで人権を無視するようなイベントを展開してよいかは難しい問題だなと。普段自分が「おお、これはめっちゃ素晴らしいイベントだー!」って声を大にして褒め称えていることが、別の人から見れば「流石にそれはやりすぎだろうし、ありえないわ」となっている可能性も全然あるわけで。

終わりに

6話以降、もう少し登場キャラクターが増えるそうなので、引き続き見ていきたいと思います。
なお、おねショタ属性持ちの方にとって、本作はどういう評価なのだろうということについては追って調べてみようと思います。

ちなみに、イライラするのに何で見るのって言われそうなんですが、そういうものこそちゃんと見て判断をしたいのですよね。