アニメ『神達に拾われた男』を4話まで見ましたが、感想を一言でまとめるならばタイトルのようになります。
以下4話までのネタバレを含みますのでご注意ください。
主人公はどんな人なのか
異世界転生系の本作品、個人的には良くも悪くも感情の抑揚を感じることが少なめです。おそらくなのですが、主人公に感情移入しきれていないところがその原因なのではと推察しています。
主人公は転生前はブラック企業に努めていて、朝帰りは当たり前、仕事の成果も中々出ない、そんな中一緒に住んでいた母も亡くなってしまう……という非常に辛いところが重なった上で転生となったわけですが、
基本的にその過去を感じさせない立ち回りを行うので、時々転生前をフラッシュバックされても、普段の主人公があまりにも普通で淡々としているものですから、すっと感情移入できないのかもしれません。
ただ、主人公が淡々と仕事を行ったり人助けをしているのは、それこそが転生前の彼の当たり前のことだったのかな、とも少し感じます。
正しいと思ったことをちゃんと正しくやる、ということをやってきたけれども成果が全然でなかったり理不尽に怒られたりしていた、それに対して辛いと感じつつも会社を辞められもせず毎日同じことの繰り返しをしていた、それが彼の本質なのかもしれないと。「どうせあのまま働いていたら遅かれ早かれ早死していただろう」と達観しているところもあることから、転生後はやったことに対して皆がちゃんと理解し褒めてくれるというのは、本当に本当に嬉しいのでしょう。
と、要素的には感情移入できそうな感じはあるのですが、見せ方というか深堀りの仕方が唐突すぎる印象を持っているのかもしれません。主人公が重きをおいている場所というか、何を大切にしているのかがよく見えてこないのですよね。上で書いた考察も精度が低い気がしてなりません。アニメだと尺の関係で大幅に削られている可能性もありそうですが、アニメでももう少し主人公の心の丁寧な掘り下げを期待したいところです。
そんなことより可愛い
抑揚がないなどと言っていましたが、継続して4話まで見れている理由の一つはやはりヒロインであるエリアリアの存在です。まだ幼いため疑うことを知らない純粋だからこそというのもありますが、とにかく肯定しまくってくれる様は癒やされます。なんというか「リョウマ様 リョウマ様! リョウマ様!! すごいです!」みたいな感じです。
小学生レベルの初恋みたいな描写しかまだないので、数年経過させて、できればこの二人の具体的な絡みをもう少し描いてもらえないかなというのが今の私の希望です。
「またオレ何かやっちゃいました?」
本作品は主人公が謙遜しているというか、自分がやったことがすごいことでも「またオレ何かやっちゃいました?」と言わないタイプです。反面、いわゆる周りが持て囃すタイプで、そこはちょっと辟易します。
「主人公、あなたは本当にすごいのよ!」といういわゆる主人公持ち上げテンプレは常に気に入らないというわけではないのですが、本作品に関してはその「すごさ」に対する説明が割と単調(例えば「この年齢でそれだけの魔法技術が高いことはすごいことだ」という説明で終わってしまう。魔法全体の世界観の説明がないので納得しづらい、など)なので、流石に何度もやられると辛いものがあります。
最新4話だと、主人公が掃除をしている間に見守ってくれている各冒険者の反応とかが良い例で、「凄そうなラベリングされた人たちが褒めることで間接的に主人公を上げる」というテンプレ手法が利用されているわけなのですが、この人達は基本的には4話で初登場した感じなので感情移入も何もなく、違和感しか覚えないわけです。そのあたりがもう少しバランス良くなってくれたら、気楽に見れる作品としてはもっと良くなるんだろうなという感覚です。