隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

漫画『宝石の国』6巻 気持ちを揺り動かされたシーンを語る

さて、7巻を読み進める前の最後の仕上げとして恒例の記事を書きたいと思います。
5巻までの同様の記事は以下のようになっていますので、興味のある方は是非目を通していただけたら幸いです。

5巻までの同様の記事:
thun2.hatenablog.jp
thun2.hatenablog.jp
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thun2.hatenablog.jp
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表紙

相変わらず表紙がきれいです。
髪色が色とりどりで、真ん中のフォスを取り囲むように左回りにゴースト(カンゴーム)・ペリドット・スフェンと並んでいて神々しさがあります(宝石の名前、合ってますよね)。

フォスの下半身

油断したフォスが胴体から真っ二つに切られてしまい下半身だけが横たわり、月人がそれを触ろうとするコマがゾクゾクします。
自分の意志で動かせない自分のもう一方が、嫌悪感があるものに触れられそうになるというシチュエーションが良すぎで、変な気持ちになります。
エロさとグロさと気持ち悪さが混ざりあった感じ。割合的にはエロさというか、妖艶さが勝っているのがすごい。

気持ち悪さと妖艶さが混じり合った雰囲気、分かるでしょうか(6巻pp11より引用)

第弐話 見知らぬ、天井

フォスが寝台で目を覚まし、その度にカンゴームにぶん殴られる、シリアスな笑いのシーン。
単純な天丼とは言えスピード感が合ってめちゃ面白い。6巻ではこれ以後も寝台で目が覚めるシーンがあって、シュールです。pp34より。

「手足に加え正気までなくしたら今以上に何もできない」

初見感想でも確か引用した覚えがあるのですが、カンゴームによる容赦ない正論による暴力。でもフォスには響かないように見える。
あまりにも自覚しすぎているから。pp66より。

「つらくはないが 祈り飽きた」

ゴーストとラピス・ラズリ二人を奪われてつらい状況なのに、フォスのことも大目に見てくれる状況に対してカンゴームからの返答の言葉です。

ときどきこうして、宝石たちの時間の概念が長いことを思い出す台詞を入れてくるのが憎いですね。
飽きたと書いているけれど決して祈ることをやめていないことが行間から読み取れ、非常に悲しくなるシーンです。pp68,69より。

ハイになってきたー

ハイになっていることが一発で分かる(6巻pp75より引用)

コミカルなコマをちゃんとコミカルに描けるって本当にすごいことですよね。
言葉使いと表情、受け取った側のコメントまで完璧です。

さらっとルチル

pp85より、ルチルがカンゴームに対して言葉をかけてあげるシーン。

「はしゃいでますがずいぶん落ち着いたように見えます あなたにだいぶ怒られて気持ちの整理がついたんでしょう ようやく強い身体に強い気持ちが宿ったようです」

このセリフ、端的に状況を示していてとても綺麗で好きなセリフです。
今更ながらですが「強い身体に強い気持ちが宿った」というセリフはとても重要ですね。
最近宝石のアイデンティティについての考察記事を書きましたが、その考察の際にはこのセリフを読み飛ばしていた気がします。
物理的な宝石があるだけではダメで、そこに強い意志が伴ってこそ宝石なのだと思います。

「悲しむのも忘れるのも自然でいなさい」

pp101より、昔失ってしまったパートナーのことを思い出す時間が減っていることは薄情か、そんな問いをスフェンが先生に投げた時の返答。
私は、想いは無理に忘れる必要はないという考え方がとても好きで大事にしていますが、漫画や小説などで同じような考え方に出会うとシンパシーを感じます。

何度かブログでも取り上げていますが、このブログ名でもある「隠れてていいよ」もそういった意味が込められています。
参考:
thun2.hatenablog.jp

破断面からもぎ取る作戦

新手の月人が、宝石たちの身体をこそぎとるシーンなのですが、徐々に体の一部を削っていくさまがとてもエロくて良きです。
芸術的なエロさというか、フェティシズムを感じるというか。

フェティシズムを感じる(6巻pp127より引用)


この1コマはあくまで露骨にそれが描かれたシーンで、この前後で削り取られていく一連のシーンが素晴らしいです。

ラピス・ラズリ

第6巻最終ページのコマで、ラピス・ラズリの頭部がお目見えしました。
フォスの頭部が失われたことと同じくらい第6巻では一番の衝撃だと言わざるをえないシーンで、とても刺激が強いシーンのはずなのにラピス・ラズリの顔が穏やかな表情であるため、とても違和感のある奇妙な1コマになっています。

第7巻は、この6巻の引きがあるからこそ超楽しみでして、考察も一通り終わったのでいよいよ7巻に手を出していきたいとおもいます。

終わりに

というわけで、かなり巻数も進んできました。
とはいえ宝石の国の世界観はまだまだ未知なところも多くて、まだまだ考えることが多くて、作品を目一杯楽しめています。
力のある作品は読んでいて本当に楽しいです。

次回は7巻の初見感想になると思いますので、今しばらくお待ち下さい。
宝石の国は読むのに体力がいるので、読むタイミングが難しいのです。