隠れてていいよ

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小説『エルデスト 宿命の赤き翼(上)―ドラゴンライダー〈2〉』 心に残るセリフが多すぎる

クリストファー・パオリーニというアメリカ出身の作家が生み出したファンタジー超大作、ドラゴンライダーシリーズを最近読み始めました。
第1巻については以下で感想を書きましたが、第2巻の上巻を読み終わりましたので感想を書いていこうと思います。

最近は仕事が忙しく、平日は読書をする時間を中々取れずでしたが何とか読み終わることができました。
自分を褒めてあげたいと思います。

なお、少々長いのでお時間ある時にぼちぼち読んでいただければと思います。

thun2.hatenablog.jp


さて「上巻」と書いた通りなんと本作品、2作目にして上下分冊なのです。
同じような長編ファンタジーであるハリー・ポッターも、第4巻『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』からは上下2冊となりましたがドラゴンライダーシリーズはなんと2巻から分冊。
1巻と同様にハードカバーで読んでいるのですが、500ページを超える分厚さの本が2冊は迫力があります。

細かな感想に入る前に、全体的な感想を軽く書いておこうと思います。

ドラゴンライダーシリーズはストーリーの展開が早いのですが、ちょっと平和なシーンがあったり、または盛り上がり直前の前哨戦的な話もあります。そういった部分も含めて一瞬で読み終わるほど物語が面白いです。

作者の文章力・表現力が為せる技で、前回の記事でも心に残ったセリフやト書きを引用したように言葉一つ一つの使い方や表現方法がとても綺麗で、読み進めていて飽きないどころか、くすりと笑ったり思わずメモしたりする文章が多いと感じます。

また本作品はドラゴンが登場するわけですが、主人公エラゴンがドラゴンのサフィラと交わす会話がコミカルで面白いです。エラゴンも成長しているものの思春期真っ盛りの子供で、それはサフィラも同じ。二人してしょうもない掛け合いをするのですよね。これが微笑ましい。でもサフィラのほうがちょっと大人かなと思います。

それに加えて、使命・運命・災難などに導かれつつ必死に前に進もうとするエラゴンを始めとした物語の人物と骨太ストーリーに心を打たれます。登場人物たちが考えていること・悩んでいること・苦痛……そういった心情がありありと想像できるほど表現力が具体的で豊かなのです。

と、これ以上書くと細部の話に入るのでこのあたりで止めて、詳細な感想に入っていきます。
念のためですがネタバレを含みますので、その点ご注意いただければと思います。

泣きっ面に蜂

第2巻のストーリーの肝はローラン、と言っても過言ではないでしょう。

アンジェラの予言にローランの裏切りが示唆されていて、当初はそんなことあるんだろうかと第1巻では考えていましたが、故郷が襲われる筋書き・展開は予想できたものだったのだと後から気づきました。
それは、ドラゴンライダーの存在はガルバトリックスにとって重要だと作品内で強く描かれ続けていたということです。

エラゴンも様々な危機に立ち向かいながら進んでいるとは言え、2巻上巻では比較的守られている存在だといえます。エルフの国エレズメーラを目指す間は護衛が付いていましたから、1巻でのエラゴンの辛さを考えると雲泥の差です。

反面、ローランは四面楚歌・泣きっ面に蜂・弱り目に祟り目・一難去ってまた一難……言葉を並べ始めるときりがないですがとにかく悪いことばかりで進んでいく悲しいストーリーです。どこかで反転するかなと思って根気よく読み進めていたら、村を出ていく強硬手段を取るしかなくなるという悲しい結末に落ち着いてしまいました。
ローランが裏切り者になる予言に信憑性を持たせるには、あまりにも過酷ではないでしょうか。

修行

一方でエラゴンは、オシャト・チャトウェイ――正式の名をオロミス――から修行を授かることとなります。
この手のファンタジーでは定番の、強いおじいさんキャラって感じのドラゴンライダーでございますが、いきなり修行に入るとか、それとなく偉そうな感じとかがまさに「キャラ」って感じで良いです。
人によっては鼻につくレベルの偉そうさがあるのですが、そういうもんだと思って納得しています。


オシャト・チャトウェイは置いておいてですね、新たなドラゴンの登場はワクワクしましたね。
2巻の表紙に、サフィラ以外のドラゴンの絵がありましたからまさかと思っていましたが、本当に登場するとはですよ。作中のエラゴンやサフィラと同じ反応ですよ。

サフィラもドラゴンとして日々成長しているとは言え、黄金のドラゴン、グレイダーと比較すると小さい。これは物理的にも精神的にもです。ドラゴンはここまで成長するのかとサフィラの将来が楽しみでもあり、グレイダーの荘厳さに目を奪われるばかりでもあります。

ナスアダの受難と祝福

オロミスと出会い、グレイダーとも出会い、今後ストーリーをどう盛り上げていくのかと思っていたら、まさかの呪い……偶然が必然に繋がるこういう展開大好きです。

ナスアダの未来に若干の光が見えたと思ったところにエルヴァの登場という、流れるようなジェットコースターストーリー展開に惚れ惚れします。これぞ小説、これぞファンタジーの王道といった感じで、上巻を読み終わった瞬間から下巻を読み始めたくなる面白さなんです。

この物語の結末はハッピーエンドで終わりそうな気がしているのですが、その終わりまでの道には血・死などという言葉ではおこがましいほどの辛い出来事が待ってそうだという確信しか無く、今から本当にワクワクしています。

印象に残ったシーン

第1巻と同様に、作中で印象に残ったセリフやト書きについて引用し、感想を述べていきたいと思います。
なお引用元は全て、 クリストファー・パオリーニ(2005),エルデスト 宿命の赤き翼(上),株式会社ソニー・マガジンズ からとなります。
引用時は「ppXXXより引用」というような記載をします。

忌まわしいのは

今、エラゴンはひとりマータグの死を悼んでいた。忌まわしい喪失感がじわじわとしのびよってくる。さらに忌まわしいのは、この何か月かで、そうした感情に慣れてしまったことだ。

pp29より引用

エラゴンが死に対してどういう思いを持っているのかは、1巻の頃から継続して描かれ続けています。一貫しているのは、慣れてきているけれども忘れたわけではないという描写です。麻痺してしまっても、感じていないわけではないんですよね。
エラゴンには、ずっとその気持ちを持ち続けてほしいと強く願っています。

知らないのであれば

〔アジハドは彼のことを自分の右腕と呼んでいた。残念ながら、わたしたちはジョーマンダーのこともヴァーデンのほかの幹部のことも、ほとんど知らない。ここへ来て日が浅い。だからわたしたちは、過去のあれこれではなく、感覚と印象だけで判断をくださなければならない〕

pp33より引用

文章が本当に綺麗だなと思います。
知らない以上は考えても正しい答えは出ない、であれば「感覚と印象だけで判断を」しないといけないというサフィラの言葉はストレートで気持ちよく、それでいて真理を言い当てているように思います。
物語的には、政治的なやりとりに否が応でも巻き込まれていくエラゴンの立場を端的に表したものとも言えるでしょう。

嘘をつかないこと

〔嘘つきの学者より、正直な愚者につくほうがいいってことだ〕 エラゴンはそう結論付けた。

pp51より引用

ナスアダに忠誠を誓うのが正しいことなのか自問自答するエラゴンが出した結論で、いたく共感してしまいました。
未来が分からないのであれば、自分も正直な愚者に付きたいと思うタイプです。嘘をつく事ほど大変なことはないし、嘘をつかれるほど辛いことはありません。

ちなみに嘘をつくことが大変というのはいろんな意味がありますが、自分的には「嘘をついたことを覚えておかなければならない」という点が最も重要だと考えています。
嘘をつくということは、その嘘を突き通さないといけないので頭のどこかで常に覚えておかないといけないのです。これは本当に大変です。
だから、正直者でいることが一番シンプルで楽なのです。

ものごとが正常にもどるまで

〔ものごとが正常にもどるまで、心おだやかでいられる者はだれひとりいない〕
〔完全に正常にもどるまでね〕

pp58より引用

烈火の如く怒ったと思ったら、最後には祈ってくれたアーリアの態度を見てのサフィラとの会話。
なんか心にしみます。
完全に正常に戻ることなんて人間できないと考えると、常に心穏やかでいられるものなど誰一人いないのではないだろうか。

「偉大さに敬意を表し」

墓の手前で足をとめ、エラゴンはアジハドを見おろした。生前よりずっとおだやかで、心安らかに見えた。死がアジハドの偉大さに敬意を表し、現世での苦労のあとをすっかりとりのぞいてしまったかのようだ。

pp104より引用


ジハドはとても優れた指導者であり同時に常に苦労をしていたことを表した表現です。安らかに眠っている様子をここまで綺麗に表現できるのはすごいと素直に思いました。
特に「偉大さに敬意を表し」という表現が好きで、その後の「とりのぞいてしまったかのようだ」という文章への流れ・つながりが完璧だと思っています。声に出して読みたい文章です。

いろんな風

彼は風が恋しかった――草地を駆けぬける風、雲をみだし、ふきとばしてしまう風、雨や嵐をもたらし、木々がたわむほど激しくふきつける風が恋しかった。

pp128より引用


これは個人的な感傷なのですが、雨や風など自然現象をいろんな形で表現する文章や映像が大好きなのですよね。

この文章を読んで思い出したのは、映画『フォレスト・ガンプ』での雨の表現でした。以下の記事に似たような話を書いていましたので引用します。

下山中に雨に降られてしまい濡れながら休憩所に駆け込んだわけですが、その最中、降ってくる雨が地面の枯葉とかをバッシバシと弾けさすわけです。また、木が生い茂っているところとそうでないところがあったので、同じ大雨でも体に当たる雨の量が全然違ったりしたわけです。フォレスト・ガンプという映画があるのですが、その映画の中で主人公がベトナムに従軍しているときに「いろんな雨があった」と語るシーンがあります。ちょっと詳細は忘れちゃいましたが、叩きつけるような雨、横殴りの雨、下からの雨……と様々の雨の描写があったわけなんですが、なぜかこの時その描写を思い出して笑ってしまいました。

そうだ、岩舟行こう――『秒速5センチメートル』第一話「桜花抄」聖地巡礼 - 隠れてていいよ


悪夢というレンズ

ローランは村の様子を見とどけると、自分の野営地へもどり、ごろりと横になった。そして朝から夜まで、悪夢というレンズを通してしか見えない、ぼんやりとした世の中をながめていた。

pp150より引用

敵の兵士が酔っ払った拍子にカーヴァホールの村に火を付け、燃え広がっていく様子を村の外から眺めることしかできなかったローランを描写した文章で、何もできない中、絶望に打ちひしがれている様子を短くも端的に描写しています。
何度も何度も同じことを言うのですが、短い文章のなかになぜここまで感情の機微を描けるんでしょうか。文章って本当に興味深いです。

落っこちそうな額ぶち

「どこかおかしい? おかしいのは世の中さ。落っこちそうな額ぶちみたいに、この世の中がかたむいちまったんだよ」

pp219より引用

久々に恋人のカトリーナと会えたローランでしたが、あまりの疲れと苦悩で、彼女の愛情に応える事ができない場面。
カトリーナが「どこかおかしいの?」と心配したことに対してのローランの返答が上記で「落っこちそうな額ぶちみたいに、この世の中がかたむいちまったんだよ」というセリフがたまりません。

世の中がおかしいからそれにつられて自分も狂わされていると思わざるをえない状況、それを額ぶちになぞらえるのがちょっとおかしくて、笑ってしまいました。シリアスな笑い的な。同時に「落っこちそうな額ぶち」という表現が想像できすぎて、秀逸だと思いました。

時間という漏斗

エラゴンは、情報が時間という漏斗を通るという概念そのものに、ひどく当惑させられた。

pp245より引用

自分の予知した未来はどうやれば変えられるのかは分からない、運命に手を加える方法は分かっていないということをアーリアから教えられたエラゴンが自問自答するシーン。

正しい情報を手に入れたくても、時間という漏斗を通すことで濾過されて元の情報が失われてしまう、そんなように捉えることができる。この捉え方が正しいかは分かりませんが、非常に哲学的だなと思います。時間という漏斗、という表現が気に入りました。

心は自由

エラゴンはすぐにこぎ方を覚えた。なれてくると、心は自由な空想へただよっていく。冷たい湖上を進みながら、彼はまぶたに浮かぶ幻想の世界に思いをはせた。

pp282より引用

エルダー湖と呼ばれる湖を渡る際に、エラゴンが船のこぎ方を教わるシーン。ある程度慣れてしまったことをやっている最中は、他のことをぼんやりと考えてしまう、というのがとても共感できて好きなので引用しました。

例えばサウナのように何もすることがない状態であれば無心になれる、というのはよく言われることですが、何かをやっているときでも無心になれるんですよね。分かります。

怒涛の

「わたしはね、ニワトリにエサをまくみたいに、若い娘に愛をばらまく男をさんざん見てきたの。娘たちは自分が特別に思われていると信じて、吐息を漏らし、感涙にむせぶのよ。なのに男にとっては、そんなのはただのお遊びでしかない。ローラン。あなたはいつだってりっぱにふるまってきた。でもね、どんなに分別ある人でも、男の性で、バカにも狡猾にもなりうるの。あなたはそうじゃない? カトリーナに必要なのは、愚か者やペテン師じゃない。愛でさえない。必要なのは、彼女をやしなっていける男よ。あなたに捨てられたら、カトリーナは村じゅうでいちばんみじめな女になる。人の厄介になって生きるしかない、村で最初の、たったひとりの物乞いになってしまうのよ。わたしの体に流れる血にかけて、そんなことはぜったいにさせない」

pp311より引用

恋人カトリーナと結婚することを、カトリーナの父親であるスローンに告げたローラン。反対されることを分かっていたので事前に入念な準備をしてから伝えるはずが、様々の問題が発生したことで、タイミングとしては最悪な状態で伝えることになり周りからは良くないように思われることになりました。

その中でも特に気にしていたエレインがローランに覚悟を問うシーンが上記のセリフで、長いながらも引用したかったのです。
それぐらい内容が濃く勢いがあり怒涛で、気持ちがこもっていて感情移入ができて、2巻上巻屈指の名台詞だと思っています。

カトリーナに必要なのは、愚か者やペテン師じゃない。愛でさえない。必要なのは、彼女をやしなっていける男よ。」あたりの勢いはすさまじく、まさに声に出して読みたいセリフです。
一連の流れを何度読み返しても全然苦じゃない、むしろ楽しくなってくるのですからすごいです。気持ちがこもっている、伝わってくるとはまさにこのことです。いや、ほんと素晴らしい。

エレイン再び

「ローラン、よく聞きなさい。家族の平安とは、一か月頭をさげ続けてもいいくらい価値あるものなのよ。わたしの経験でいえば、争いは、自分をみじめにするだけ」

pp313より引用

なんというかエレインさん無双といいますか、先ほど紹介した方も含めて23章は印象に残る場面が多いです。
「家族の平安とは、一か月頭をさげ続けてもいいくらい価値あるものなのよ」という言葉は、言われてみないと気づけないことだなと読んでいて思いました。
こういう考え方を持てるようになるには、とても経験が必要だと思います。

ひどい

「アジェートラム、きみは木々の葉の数ほど質問をする」

pp328より引用

第1巻の感想でもエラゴンはめっちゃ質問すると書いていましたが、正論ツッコミをされるシーンが出てくるとは思いませんでしたのでついつい紹介したくなりました。
とはいえ怒ってるわけではなく、「愉快そうな顔で」エルフがエラゴンに言うシーンです。

回りくどい表現で伝えるのは、文語ならではという感じがして好きです。

あなたの見方が変わるだけ

〔アーリアのことは?〕
〔アーリアのなに?〕
〔だから、本当はだれだったかってこと〕
〔彼女が変わるわけではない。あなたの見方が変わるだけ〕

pp387より引用

アーリアがエルフの女王の娘だと分かり、それまで教えてくれなかったことに対して苛立ちを覚えるエラゴンがサフィラにあたるシーン。そして笑いながら軽くあしらわれるシーン。
エラゴンはアーリアに嘘をつかれていたと感じているわけですが、まさにエラゴンがどう感じるかが変わっただけでアーリアは何も変わっていないのですよね。

こういう考え方って日常でもよくあると思っていて、あなたはその人の権威や立場・状況を見ているのか、その人そのものを見ているのか的な。
どちらか100%に振れている人は少ないと思うのです。多かれ少なかれどちらかにバランスしながらも混ざっていると思うのです。

ただし、気をつけないと相手を傷つけることにもなりかねないので、よく考えて行動していきたいと思う所存です。自戒を込めて。
あらためて、本から学ぶことは多い。

「悲観的な考え方は、肉体の傷より大きな傷となる」

エラゴン、そのように思いつめる心が自分を弱くしているのだ。そなたの気持ちはよく分かる。しかし、楽観的でいなければならぬ。悲観的な考え方は、肉体の傷より大きな傷となる。

pp441より引用

オロミス師匠の心に刻みたい言葉でございます。
シェイドによって何かを破壊されてしまい、解決策がわからず不安を覚えるエラゴンはつい弱さを口に出してしまいます。
口に出して聞いてもらいたいのは不安になっているから、そして不安になるのは悲観的になっているから。一瞬でオロミスには見抜かれてしまいます。

先程のセリフと合わせてですが、この考え方も日常に大いに活かせます。
というか、自分は悲観的なので身につまされる思いなのです。「悲観的な考え方は、肉体の傷より大きな傷となる」とか、読んでいて泣きそうになりました。
ほんと、精神的な傷は中々癒せないんですよ。軽いものから重いものまで。深く傷つくのです。

深すぎる

「愛する者ほど遠い存在に思えるものだ」

pp454より引用

本作品は、本当にいい言葉が多いなとブログを書きながら思います。
サフィラのことが分からない、と打ち明けるエラゴンに対してオロミスが助言するシーンで、短いながらも深い言葉です。さすが賢者。

ひげの表現

葉を半分飛ばされた木のような顔でいてもらってはこまるぞ。

pp456より引用

ひげを始めとして顔を剃っていなかったエラゴンに対するオロミスの言葉ですが、顔の状態に対しての形容詞としては見たことがない表現で面白く思わずメモしてしまいました。
現実でも使ってみたいセリフにランクインしそうな勢いです。

なお一度は言ってみたいセリフ第1位は「この中に殺人者がいるかもしれないのに一緒に居られるか! 俺は自分の部屋に戻るぞ!」です。
使い時が限定的すぎて難しいし、マジで死ぬと思うので言いたくないという二重の意味で難しいです。


続けて同章でサフィラもひげに対してコメントするのですが、それも面白いので合わせて引用させてください。

〔気をつけなさい。ひげを剃りすぎて首を切り落としてしまうくらいなら、毛の生えかわり時期のシカのようにむさくるしい顔でいたほうがいい〕

pp460より引用

ひげを剃るのをミスって血が滴り落ちるほどになったエラゴンに忠告するサフィラのセリフなのですが、この表現も独特でめっちゃ面白い。
木に例えたりシカに例えたりと、この豊かな表現は本当に心の底からすごいと思います。

終わりに

というわけで、紹介したいセリフやト書きがどんどん長くなってきている気がします。
本を読んでいて思わず笑ったり泣いたり感動したりするものってあると思うのですが、それをちゃんとメモして、更に文字に起こして感情を残しておくと後から見返した時にとても有意義なものになるのですよね。

これにはいろんな理由があるのですが、その中でも「人は忘れやすい」という理由があります。
作品が好きで好きで当時はとても大好きで死ぬほど覚えていたのに、時間が経ったことでちょっと忘れてしまう……そういうことってあると思います。

でも、別にその作品が嫌いになったわけじゃないしむしろ好きで、でももう一度作品を読み返さないと思い出せないという状態がもどかしいと思うことが過去何度もあったのです。

その意味でブログはとても便利で、過去の記事を読み返してニヤニヤしているときが結構あります。
継続してブログを書いている特権ですね。


と、話がそれてきましたがドラゴンライダーシリーズは強い力を持つ作品で書き出すといくらでも書けてしまうぐらいなのです。
記事を書き終わったのでようやく下巻に手を出すことができます。
下巻の感想がいつになるかは分かりませんが、気長にお待ち下さい。