隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

異常こそ常識、『あの花』は異常こそが正常になっている

俺、ポクポクチーン、すっからさ。願い事あんだよな。なぁ俺のことも頼っちゃってくれよ。俺、お前のこと成仏させてやりてーんだよ。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。第5話「トンネル」より、ぽっぽの言葉

以前、「あの花」の幼馴染達は、めんまに執着しすぎで気持ちが悪い、という記事で幼馴染達の気持ち悪さについて書きました。超要約すると「なぜ超平和バスターズの面々は、めんまにここまで執着しているのか」ということです。
なぜ「執着しているように感じるのか」という点について、上記事に頂いたトラックバックを読んで、なるほどと思った部分がありました。

彼らが、小学生の頃の思い出にあれほど拘ることに違和感を覚えるのは、私たち自身が既に小学生であった自分を忘れつつあるからではないだろうか。

消したい過去 消えない記憶 「あの花」の執着 - 五十鈴の音 :アニメとかマンガとか


過去を忘れられない、自分たち(視聴者)に原因があるのではないかという指摘です。これについてはずっと考えていました。確かに納得は出来るのですが「これだ!」という答えではない気がしていました。


そんな中、5話を視聴したのですが違和感の正体に少し近づいた気がしたのでそれを書こうと思います。キーパーソンはぽっぽでした。

ぽっぽは視聴者の代弁者

一連のめんま騒動に対して、ぽっぽだけは普通の反応をしています。トラックバック記事から表現を借りると、現にぽっぽは、ぽっぽだけは、一連の騒動をあっけらかんと積極的に楽しもうとしている。のです。


興味深いことに、平和バスターズの他の面々がめんまに異常に執着しているために、ぽっぽが浮いて見えるという逆転現象が起こっているのです。本来はぽっぽが普通でぽっぽ以外が異常であるはずなのに。

つまり異常こそ正常、平和バスターズの中では異常こそが正常になっているのです。

アカギ―闇に降り立った天才 (第10巻) (近代麻雀コミックス)

アカギ―闇に降り立った天才 (第10巻) より引用

ここに至り……仰木もさすがに気づく…! 異常こそ常識だと……! この鷲巣麻雀の特殊ルールや 命懸けの麻雀なんてことが そもそも常軌を逸しているのであって 非日常… ならば この異様な世界では 異常こそが正常…… 正しい感性なのだ………!



記事冒頭に書いたぽっぽのセリフを含めた一連のシーンに違和感を持ちませんでしたか? まるでじんたんが正しくてぽっぽが間違っているように見えませんか?


だって、ぽっぽのこの一連の言動ってもの凄く普通じゃないですか。別にめんまを侮辱しようだとか馬鹿にしようだとか、そんなことはこれっぽっちも思っていませんよ。その証拠に、ぽっぽはこの一連のセリフを言う際に一度も笑っていませんし謝っていません。自分は正しいと思って、ただ正しい行動をとっているのです。純粋に、成仏させたいと感じているだけなんですよ、めんまの役に立ちたいと思っているだけなんですよ。
だけど、じんたんに「やめてやってくんねーか。頼むから、やめてやってくれ」とマジレスされるんですよ。



ここなんですよ、ここに「幼馴染達は執着しすぎ」の原因があるように思うのです。
整理すると、「なぜ超平和バスターズの面々は、めんまにここまで執着しているのか」という問いは「なぜ、皆異常な行動をとっているのにそれが正常であるかのように感じるのか?」という問題に言い換えられるのではないでしょうか

そしてこの問題に対する答えはこうです。つまり、ぽっぽは視聴者の代弁者なんです。だけど作中ではその代弁者であるぽっぽが浮いて見える、浮いて見えるような演出がされている、ということです。
本来は、ぽっぽを除く幼馴染達の行動は異常だと感じるはずなのに、そう感じさせない演出・ストーリー作りに違和感を持つのではないか、ということです。

終わりに

ゆきあつのコスプレとか、あなるのホテル一歩手前とか、もちろんそれらも興味深い内容なのですが、5話はそれ以上に本作品の異常さがよく分かる内容だったと思います。