隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

『風立ちぬ』への想い

「設計家は夢に形を与えるのだ」
スタジオジブリによる長編アニメーション『風立ちぬ』の主人公である堀越二郎は、少年時代に夢を見る。イタリアの設計家カプローニ博士に、近眼の者は飛行機設計家にはなれないのかと問う。カプローニは答える。「私は飛行機の操縦ができない」と。そして伝える、「設計家は夢に形を与えるのだ」と。二郎に強い勇気を与える言葉である。
二郎だけではない。私は、創らねば、と奮起させられた。


かように物語というのは強いメッセージを視聴者に与えうる。見ている者それぞれに感じることは違うが、時に生き方にさえ影響を与える。『風立ちぬ』は娯楽作品とは言えないが、幾度となく見返させてくれる力を持っている。見るたびに心を動かされ考えさせられる。


青年二郎の声を当てている庵野秀明さんの声が棒読みだとか、場面切り替えが早すぎてついていけないとか、唐突に終わるとか……そういった作品の表面だけを見ているような言葉は、脊髄反射で言っているだけなのだろうか、それとも熟考した上の言葉なのだろうか。
それら言葉に私が嫌悪感を持つのは、作品・作り手に対する敬意を欠いていると感じるからである。安全圏から罵倒したいだけで、リスペクトの気持ちを1ミリも持っていないと感じるからである。


宮崎駿監督の引退作『風立ちぬ』は見るに値する作品である。ただし、娯楽作品ではない。是非一度、見てほしい。