瑞希と絵名、ふたりとも人生のどん底ともいえる辛かったときに奏の曲に出会い救われた、そんなニーゴとの出会いが描かれるのが本ストーリーでした。
瑞希の過去が徐々に描かれ始めたことが嬉しいのと、絵名と瑞希のカップリングはこのころから最高だったんだなとニンマリしてしまいました。
キーストーリーを読み進めるのみの情報だと、瑞希の過去はまだ具体的には描かれていないと思うのですが、段々と全貌は見えてきたような気はしました。
自分がこうありたいと思ったことが周りからは疎まれてしまう構図、それはずっと分かっていましたが、今回はリボンというアイテムが中心に描かれていたと思います。
瑞希の過去の髪型がショートカットであることやボクという一人称から、男らしい格好であったりとか振る舞いをすることが瑞希の在り方だと思っていたことがありました。
ただ冷静になって考えるとむしろ逆で、ずっと女の子らしくいたい、自分の好きなものを好きだと身に着けたりすること、そういったことが瑞希の在りたいことなのかなとあらためて思いました。
今回のストーリーでは直接的に「リボンを身に着けなくなった」と言及されたり、また姉が作る服などのファッションの要素を盛り込むなどかなりわかりやすく描いてくれていたように思います。
とはいえそれだけの理由で、周りからあそこまで距離を置かれるようになるのかといわれるとそうではないような気がしていて。
思うにそれはきっかけであって、瑞希が瑞希であろうと強く訴えかけるその姿勢が反感を買ってしまう、大きめの事件が学校で起きたのではと推察しています。
結果として「あいつには関わらないほういい」という空気ができてしまい、学生特有の腫れ物からは距離を置く、そんな形につながっていった……流れなのかなぁと妄想しています。
絵名にしろ瑞希にしろ、これまで否定され続けていたものが受け入れられたり、論を交わすことでお互いが理解しようとしたり……環境が人を救っていく過程が描かれているのが読んでいてスッキリします。
瑞希はニーゴの環境を壊したくないからこそ絵名に本心を伝えられないと「ボクのあしあと キミのゆくさき」にて想いを吐露していましたが、今回の過去でそれが補強されたように思います。
壊したくないからこそ今のままでいたい、そんな不器用な瑞希を今後も応援していきたいと思いました。