『さよなら妖精』という米澤穂信さんの小説がある。
米澤穂信さんといえば、自分の中では古典部シリーズから知った人で、TVアニメ「氷菓」が2012年に放送されていたときにアニメから原作者を知った、そのような出会い方だった。
氷菓の原作である古典部シリーズを当時読了し、面白すぎると感じ、そのタイミングで同作者の『さよなら妖精』という小説を購入した。
購入のきっかけは正確には覚えていないが、米澤穂信さんの他の作品を読んでみたいと思ったときにネットで調べていたら、「この作品は読んでおいたほうがいい!」みたいな触れ込みを見たからだと思う。
しかし、2012年に購入して以来、いまだに読めていない。
2012年というと今から12年前。もはや一回りしているにも関わらず、いまだに1ページも読めていない。段ボールのどこかに、捨てられず積んであると思われる。
とある土曜日(つまり今日であるが)、一人で夕方から酒を飲んで、当分読まないだろう小説『戦闘員、派遣します!』を買って、しめにラーメンを食べた帰り道で突如思い出してブログを書きたくなるぐらいには「読んでいないこと」をずっと覚えている作品である。
本作品は第三者から「読むのはマスト」と言われたことからも記憶に強く残っている。
当時、シンシアニメというおもしろいアニメ評論サークル・論壇があった。非常に個性的なサークルでひょんなことから、寄稿させていただいたことがあった。
おそらく最後に寄稿させていただいたのは以下だったとように思う。
sincere-anime.hatenadiary.org
で、いつだったかは思い出せないけれども打ち上げというか飲み会というか、とりあえずオフ会に誘われたことがあり、たしか大阪だったように思うけれども参加した記憶がある。
いつ開催したとかは全く覚えていないけれど店の感じはなんとなく覚えていて、地下1階にある居酒屋のようなところで、日本酒を豊富に扱っている店だった。
確か、シンシアニメによく寄稿される方々がそれなりに集まっていた記憶があって、そのときに氷菓の話になって「氷菓の原作を読んだんですけど、めっちゃおもしろいですね」と自分から話題を振ったような覚えがある。
その時に、どなただったか名前を失念してしまったが「米澤穂信さんはマジですごい。氷菓を読んだのだったら、『さよなら妖精』は絶対に読んだほうがいい」と言われた。
誰にいつ言われたかも定かではないのに、そう言われたことだけは今でも鮮明に覚えていて、今でもその言葉が胸に刻まれていて「いつか読もう」とひたすらに覚え続けていることにつながっている。
オチもなんにもないのだけれども、道すがら「最近は小説全然読めてないな」と思ったときに、ふと思い出してしまったのである。
しかし、このように作品に対しての思いというのは人から言われたことが結構印象に残っていることがある。
シンシアニメさんに関わらず、当時ネットを通して出会った方々とのオフ会で話した作品語りは、印象に残っているものが今でも結構ある。
自分の想いを人に褒めていただいたこともあれば、絶対に自分では思いつかないような切り口でアニメを語る人もたくさんいた。
そういった一つ一つの思いが、今の自分の血肉になっていると感じる。