ロウきゅーぶ! の原作1巻を読んでからしばらく立ちますが、ようやく2巻を読み終えました。
1巻の感想については、ロウきゅーぶ! 原作を読んだら更にハマった! アニメと原作の照らし合わせ、という記事で取り扱っていますのでよろしければどうぞ。
さて度々ですが、@iwriさんのツイートを引用します。
@thun2 ロウきゅーぶはロリにみせかけて、実は友情・努力・勝利なスポコン原則を抑えているという謎作品。
2011-07-07 22:57:29 via sobees to @thun2
このツイートの内容は、原作を読み進めるにつれて「うんうん」と納得感が増してくる、ロウきゅーぶ! という作品を綺麗に体現しているなと思います。
改めてそう感じさせてくれた2巻の感想を本記事では取り扱っています。当然ながら2巻の内容のネタバレが含まれますのでご注意ください。
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ロウきゅーぶ! はスポ根
各キャラの心の葛藤に心動かされました。1巻でもそうでしたが、2巻でも同様でした。
どうしてこんなにも心動かされるのかなと考えた時、最も簡単な答えは「スポ根だから」なんです。スポ根ものってどうしても大げさに心情が描かれますよね。そして臭いほどのイベントがある。それがとても心地よいことに改めて気付かされたのです。
みなさん、スポ根作品に最近どれだけ触れていますか? アニメ・漫画・ライトノベル・映画…最近私が触れたフィクション作品を遡ってみましたが、スポ根ものに触れていないことに気づいたのです。
触れていなかったから新鮮味がある、というだけではなく、そもそもスポ根ものは心動かされるものであったということを再確認しているのです。
ではロウきゅーぶ! がスポ根ものなのかどうかという点が気になるわけですが、それは私がこれまでの記事で何度も書いているように間違いなくスポ根です。もちろんスポ根の定義は広いので、
- 鬼コーチが出てきたり、
- 血ヘドが出るくらいの努力描写があるか、
と言われればありません。
ですが、@iwriさんの言葉を借りるならば、「友情・努力・勝利なスポコン原則を抑えている」ことに間違いがないのです。
真帆と夏陽の対立
2巻表紙は上画像にもあるように三沢真帆。2巻の表紙が真帆なのは、各キャラ持ち回りという理由だけでなく、真帆が活躍するからだと考えられます。
2巻の主役が誰かと聞かれたら、今挙げた真帆と、男子バスケ部主将の竹中夏陽と答えます。2巻はこの二人の対立を中心に話が進むからです。
対立、と書きましたが言い換えると「素直になれない」なのです。表面上ではお互い悪意をぶつけているのですが、心の奥底では「仲直りしたい、仲良くしたい」という気持ちが存在するのです。だけど、子供ゆえ小学生ゆえ、素直になれず、ケンカという行動に表現されるわけです。
二人の心情、正直言ってイライラします。思わず読みながら「何でお互い自己中心的なんだよ。そして自己中心的だという描写を文章で表しすぎだろ」と突っ込んでいました。見事にスポ根描写に、そして作者の思惑にハマっているわけなんですね。どういうことか?
つまり、このイライラは最後には解消されてしまうということなんです。それは「勝利」というものによってです。
これがスポ根の、ロウきゅーぶ! のいい意味でいやらしいところで、最後には溜飲が下がってしまうのです、下がらざるをえないのです。
「日常 → 問題発生 → 努力・根性・心の葛藤 → 勝負に勝利 → 大団円」というスタンダードな流れが待ち受けていると分かっていつつも、心がその時々で上下するのです。それを可能にするのが、先にも述べましたが、むず痒くなるようなスポ根描写、心情描写なのです。
これは是非、本を手にとってご自身で確かめて欲しい。
昴の成長
ロウきゅーぶ! という作品は少年少女の葛藤だけでなく、主人公である昴の心の成長も描かれます。
1巻では「自分がバスケとどう向き合うか」に、2巻では「少年少女をどうやって未来へ導くか」に重点が置かれました。この事実だけでも昴の心が成長していることが分かりますし、2巻では明らかに「昴と誰か」の絡みの描写が増えていることに気づきます。
特に2巻では、男同士の友情が熱いです。もちろん昴と夏陽のことです。素直になれない夏陽を如何にして説得するか…時には男同士でしか分かり合えないことを、時には大人だからこそ分かる視点からアプローチする昴には燃えました。夏陽は夏陽で、小学生の男の子らしい反応をしてくれるのでこれまた心が温まりました。
子供たちも成長するのですが、昴も少しずつ心が成長していくのです。