なんだろうなぁ……『君と僕。』という作品は確かに好きな作品で、多分今後も素敵な話が沢山あるんだろうなぁと思っていて、1話の次回予告で2話は茉咲ちゃんメイン回だと理解できてワクテカしていて、そして2話を見たら……もう泣きたくなるほど心が、感動してしまいました。
かくも、男女の不器用な心情の描写というものは心動かされるのか。ラブコメとはほんの少し違う、すれ違いの描き方。
あまりに繊細に描かれており、一つ一つの繊細さが心にグッとくる。
- 脚本
- 平林佐和子
- 絵コンテ・演出
- 太田知章
- 作画監督
- 加藤万由子 松下郁子
画像は、TVアニメ「君と僕。」オフィシャルサイトより引用
2話では幾つかの「もの」がキーとなっています。
まず大きく1点目は、学校において、茉咲ちゃんが傘を誰かに持って行かれてしまい、要くんが気をきかせて、茉咲ちゃんと相合傘で帰ることになるが、恋人同士だと噂がたってしまう。「傘」のこと。それに関連して「雨」のこと。そして「恋人」ということ。
そして2点目は、季節はまもなくクリスマス、相変わらず千鶴くんは女性関係の話題が好き。そんな中、ふと立ち寄ったショッピングモールで、茉咲ちゃんに似合いそうなリボンを見かける。「クリスマスだから」という風潮に流されて、つい茉咲ちゃんのために買ってしまった。その「プレゼント」、「リボン」のこと。
2話のストーリーの中でこれらキーワードが、丁寧に描写されています。もっと正確にいうと、これらのキーワードが、二人、つまり千鶴くんと茉咲ちゃん二人の人間関係の描写を圧倒的に引き立てているということです。
個別に挙げだすと切りが無いので是非2話を見て欲しいのですが、中でも、ショッピングモールで出会った後、ふたりとも傘を忘れてしまって、パン屋の前でで雨宿りをするシーン……この場面の二人のやり取り、こころの通わせ方、不器用さは、感動感動、大感動。冗談抜きで私は震えてしまいました。
茉咲ちゃんは、店の前の雨よけからポタポタと不規則に落ちてくる雨を、右手の人差し指の爪に当てる遊びで時間つぶしを始めます。無表情でその作業を行う茉咲ちゃん、そんな茉咲ちゃんを横目で見つめる千鶴くん。
ふと、タイミングがずれて、茉咲ちゃんの人差し指に水が当たる。その時、「きゃっ」と茉咲ちゃんは無意識に声を出す。それに反応してしまう千鶴くん。
まず、この感情の揺れ動きが素晴らしい。茉咲ちゃんが気になる千鶴くん、雨宿り中もずっと茉咲ちゃんを見ている。ぼーっと茉咲ちゃんのことを考えていたところに、「きゃっ」という声、それに反応して赤くなる千鶴くん。文章にすると陳腐かもしれませんが、映像と音楽と演出を見て下さい、あまりの繊細さに感動しますよ。
2点目は、演出の部分。茉咲ちゃんが爪に水を当てる遊びを始めてから「きゃっ」と声を出すまでの間のカメラワークが素晴らしい。
まず、茉咲ちゃんの方向から見て千鶴くんがどういう視線を茉咲ちゃんに送っているのかの「千鶴くんのカット」が入ります。そして次に、千鶴くんが実際茉咲ちゃんをどう見ているのか、という千鶴ちゃん目線の「茉咲ちゃん」が描かれます。これによって、客観的・主観的に千鶴くんの感情を体験することができます。
これがもう、すごいのなんの。
僅か十数秒という短い時間なのですが、この時間の中に圧倒的な感情が演出されている、込められている。
挙げだすと切りがない
2話は特に、このシーン意外にも、思わず「すげぇ」と唸ってしまうようなイベントが多いです。
プレゼントを買う茉咲ちゃんだとか、茉咲ちゃんのプレゼントが開封されそうになるところを助ける千鶴くんだとか、プレゼントをちゃんと渡せるように茉咲ちゃんを誘導する千鶴くんだとか……もう思い出すだけで、感動してしまうほどに、丁寧に且つ大胆に人間関係を描く。
『君と僕。』という作品は、人間関係の描写を描くのが一級だということは分かっていましたし、そういう作品であるとずっと言ってきましたが、こうも素晴らしい話をやられると、土下座するレベル。
2011年、年間の話数単位ベスト10にも推薦した、1期7話の「りんごのとなり」を超えたかもしれません(関連:話数単位で選べ! 2011年、心に残ったアニメ10選)。
さて、本作品はニコニコ動画でも配信されています。現在1話が配信中で、あと3日後くらいには2話も配信される予定です。
確かに「2期」ではあるんですが、2期だからと言って見逃すと、もしかしたら損をするかもしれない……と言うところまで素晴らしい、という言葉で締めたいと思います。
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