隠れてていいよ

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瑞希と同じくらいニーゴのメンバーも瑞希を見てくれている――キーストーリー「シークレット・ディスタンス」初見感想

ニーゴのキーストーリー「シークレット・ディスタンス」を読了しました。

ここ最近はモモジャンに激ハマりしていたのですが、直近のイベントで奏のストーリーがあったことで、読みすすめないと最新のイベントが永遠に読めないことに気づき久々にニーゴのストーリーに手を出したのでした。

過去のニーゴの記事:
25時、ナイトコードで。 カテゴリーの記事一覧 - 隠れてていいよ


今回のキーストーリーは瑞希の問題が掘り下げられましたが、解決というよりは問題の種が蒔かれてしまったと捉えることもできます。
瑞希の不安なことが、今後たくさん描かれるんだろうと思うと胸が痛くなりました。

これまで描かれた内容から推察するに、瑞希の一人称がボクであることからも、女の子らしく自己表現することよりもボクとして自分を表現していくことが瑞希にとってのやりたいことなんだと思います。
やりたいことが世間の「普通」とイコールになることが必ずしもなく、仲間はずれにされて周りから距離をどんどんと離され結果として今の瑞希になってしまったのだと。


イベント「KAMIKOU FESTIVAL!」を見る限りにおいては、必ずしも敵ばかりではなく瑞希の辛かった境遇に寄り添ってくれた人もいたようですが本質的にはそれだけが救いにはならないのだろうという思いもあり。


今回のキーストーリーで瑞希はようやく自覚的に、みんなと一緒に過ごすことがとてつもなく楽しいし、楽しい仲間と過ごすことで景色の見え方が変わることに気づいたと思います。

同時に、自分のことを全然伝えていないことにも。

(みんなと見てるからだ)


みんなと遠い場所まで出かけてミステリーツアーをやりながらも、最後に見た大きな桜でそれに気づくという構図は悲しくもあるし少し前進したとも思うし……やりきれない気持ちになりました。


瑞希が、ニーゴのメンバーを気遣う描写がこれまでもかなり多かったことは、キーストーリーを読みすすめている方は分かっていたかと思います。
その心配の仕方は、瑞希の性格かなと思っていたしそれも事実だと思う一方で、過去と同じように周りから距離を離されたくないという無意識からの防衛本能も含まれていたのだと思いました。

相手を気遣うことが保身や保険になっていて、無自覚に行っている状態がニーゴでも続いているようなそういう感じ。


ミステリーツアーの内容を検討する際に瑞希がト書きではなくセリフで、一人で独り言のように喋るシーンがあって違和感があったのですが、瑞希の無自覚に良い人を演じているところっていうか距離をおいているところっていうか、そういう違和感を読者に伝えるために意図して表現しているんだろうなと個人的には感じました。


ただ、ミステリーツアーを実施しようと思ったきっかけが、文化祭でのお化け屋敷のときに「みんなだったらどういう反応するかな~」という素直な気持ちから出てきていたことはエモかった。
瑞希にとってニーゴのメンバーはかけがえのない仲間であると思いますが、ニーゴのメンバーもみんな瑞希のことを同じぐらい大切だと思っていると私は信じているので、勇気を出して気持ちを伝えて、進んでいってもらいたいと強く思いました。


最後、瑞希の違和感に絵名が気づくという構図も素敵でした。
瑞希の過去の掘り下げと同時に、絵名を始めとしたニーゴのメンバーがお互いのことをよく知っていって、本当の意味で心を許せる友達・仲間として歩んでいってくれたら嬉しいなと。彼女たちならきっとできる。

頑張れ瑞希、頑張れニーゴ。


アイディスマイル

『アイディスマイル』
作詞:とあ
作曲:とあ

www.youtube.com


これまた良い曲すぎて。
自分が感じている内容が、なそのまま歌詞になっているようで、何度聞いても感動する。

交わる 線と線
着飾る 大好きな アレコレソレ
そう いつだって 譲れないアイデンティティ


曲名にもなっているとおり、自分の譲れないもの、それがなくなると自分ではなくなってしまうものそれがアイデンティティで、瑞希の抱えている問題の本質的な部分と推察されるもの。

アイデンティティを貫き通す力が瑞希にはあってしまったがゆえに周囲との軋轢が生まれたと推察され、距離感の取り方・詰め方・取られ方に答えを出せていないと考えているのですが、その気持ちが曲に現れていました。

手探り 手繰り寄せても
繰り返し 絡まるの 気持ちの糸


アイディスマイルがどんな笑顔なんだと考えたときに、なにかひとつの、正解の笑顔があるわけではないんだろうなとは思いました。
自分のエゴを貫き通す強い笑顔もあれば、理解されず周りの「普通」に押しつぶされそうになる取り繕われたような笑顔もあると思います。

本曲のMVで瑞希の表情はとても複雑に変化しており、そういった部分も表現されているのだと感じました。






ストーリー振り返り

スクショを撮ってしまったシーンを振り返ってみます。

ずばずばまふゆさん

えななんが「よくぞ聞いてくれた!」と話し始めようとした瞬間に突き崩すまふゆ。
天丼になりそうなこの感じ、好き。

心からと、無意識的にと

(前より楽しそうに絵が描けてるみたいで、
ホントによかったなぁ)


大丈夫だよ、奏。
何があったか知らないけど、ボクは奏の味方だから


心が洗われる。
と同時に、記事にも書いたとおり瑞希は無意識的に相手のことを慮ろうとしている節もある。

たまらない
やばすぎ

……作り続けるって言ったのに

本ストーリーは瑞希の掘り下げ回なのですが、それにしてもこのまふゆのセリフは印象に残りすぎました。
割と本気でスランプっぽい奏に対して容赦なく本質的な意見を表明するまふゆの図。

笑ってはいけないのかもしれないのですが、やはり笑うところな気はする。
見た瞬間顔がにやけるレベルには。

うっ……


奏の反応まで含めて、なんというか、素直に笑ってはいけないのだけれども微笑ましいで済ませられる感じというか。
まふゆがズバズバ感じたことを伝えるようになったことは周知の事実なので、そのフィルターのお陰で見ていられるという感じ。

えななんにも容赦ないまふゆ
笑顔



こういう何気ない、みんなとのやり取りのシーンがめっちゃ好きなんです。分かってもらえるでしょうか。


さすがまふゆ part2

奏が曲を作れるようになるなら、
行く場所はどこでもいいじゃない


はい、そのとおりでございます。



容赦ない進捗確認。たまりません。


驚き方
かわいい

この絵名の驚き方、めっちゃ好き。理屈じゃないです。

全っ然笑いごとじゃないんだけど!!


ほんとにねー


さすがまふゆ part3


それぞれのスポットでちゃんと確認していくまふゆさん神。
がんばれ奏、と応援しながら。

MEIKOさんの本質

つまり、まふゆにとって、あの3人はとても大切で、
欠かせない存在


ニーゴのストーリーはまふゆから始まったわけですけれども、時折そういう指摘が入るのが素敵だと思います。
お互いがお互いのことを知って、理解していく……ニーゴのストーリーのテーマは色々とあると思いますが、相互理解もそのひとつとなりそうですね。

サバサバしたというか、スッキリきっぱり筋道を示そうとする感じのMEIKOさん好きです。


根底にある不幸感


で、こういう形でちゃんとまふゆのこととかをさらっと挟んでくるところがおもしろいところであり辛いところであり。
まさかミステリーツアーの一要素をまふゆの気持ちにつなげるとは思いもよりませんでした。





ニーゴのストーリーってみなさんそう思われているかはわかりませんが少なくとも私は、不幸感っていうのか、幸せにはなれないのではっていう根底みたいなものがあると思っていて。

本気で幸せになれないのかはおいておいて、少なくともかさぶたができても痛みだけは伴い続けるような苦しい情勢が続くそんな匂いっていうか。

意図的にそういった雰囲気になるようにストーリー展開されているからだといわれればそのとおりなのですが、そのタイミングとか強弱がうまいといいますか。
みんな一緒にいられますようにと、願わずにはいられないというか。



でもやっぱり目下は、まふゆのことだと思うのです。
「こんなに綺麗に終われるなんて…………ずるい」なんて言わせちゃだめです。

このセリフは、まふゆなら言うだろうなという気持ちもありつつ、やっぱり言わせちゃだめだなと。


死にたい、死ねないというまふゆの根底にあるその気持ちがときどき垂れ流されるのが正直怖いと感じることがあります。
「悔やむと書いてミライ」の次の歌詞がまさに「綺麗に終われる」の対比といいますか、死に場所を探しているといいますか。

不条理な御託で刺してくれたら
いいのにな いいのにな

ほんわか part2

こんな日常が好きなんですよね。
みんなが当たり前の日常になったときのことを語るって、青春とも違う、なんだろう「あたりまえに生きている」というような、そういう気持ち。



本質的にはまふゆの問題は解決していないけれども、こういった前向きな言葉をまふゆから聞けることはうれしい。


瑞希の「シークレット・ディスタンス」


多分、トラウマという言葉で片付けるような簡単なことではない気はしているんです。
心の壁っていうか、信じていたものがなくなってしまう怖さのようなものに、ずっと追われ続けていて、近づけば食い殺されてしまう。
だから、距離を置いて逃げ続けなければならない。



(『お互いのこと、なんにも知らないからもっと知ろう』
なんて考えておいて――

ボクが一番、何も伝えられてないじゃないか……


自分の弱さを他人に話すことも怖いことなのに、今のニーゴの関係性が崩れてしまうのではないか、また信じていたものがなくなってしまうのではないか……いろんな感情がまぜこぜになっている瑞希が描かれた本キーストーリー。

冒頭にも書いたとおり瑞希が自覚的になれたことがひとつの前進だと思うものの、まだまだ多くの難しい問題が道には横たわっているのだろうと思います。


終わりに

ニーゴのストーリー、マジでめっちゃ好きなんですけど、読んじゃうとめっちゃ考えちゃうので大変なんですよね。
それがおもしろいからもちろん読むんですが、感情移入しすぎてしまうというか。
仕事がある日にはなかなか読めないので、どうしても読むペースが遅くなってしまいます。


とはいえ、どんどん続きが気になり始めたので、ニーゴの優先度が上がるかもしれません。難しい。
全部おもしろいプロセカのシナリオ。