隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

映画『インセプション』 ファーストインプレッション

面白すぎる。
感情はあまり理論的に言語化しないほうが良いと思っているのですが、それでもこの気持ちだけは残しておきたくて筆を執ります。


強烈なネタバレを含みますので、未見の方は絶対に読まないでください。


ファーストインプレッション

最後の最後の最後の1秒、いや0.1秒、0.01秒……そこまで願った映画は久々かもしれない。
凄まじいオチを持ってくる映画はこれまでもたくさん見てきたけれども、久々に目が話せなくて最後の最後まで願ってしまった。

映画を通して、夢の中の夢、の中の夢、の中の夢……それを理解しようとずっと追い続ける。
何重にも張り巡らされた表現方法を頭の中で解きほぐしながら、今は一体何層目で、時間の流れはどのくらい違っていて、虚無に落ちるとどうなるんだったかと考えながら、時間軸と現実軸を上手く照らし合わせながら考え続けて考え続けて、それがずっと続いて。

ひたすら考え続けていて、モルという存在の危うさ、コブという男の危うさ、それをずっと胸の奥底に抱えながら不安を抱えながら進まなくてはならなくて、
ハラハラもするのだけれども、見ている自分たちの方もこれは夢なんだろうかと思うぐらいに没頭して、没頭して入り込んで。
階層を戻っていって、冒頭に繋がって、ずっと顔を見れなかった子供、名前を読んでついに顔を見れた。

顔はちゃんとあるのだろうかと怖かった。何か能面のようなものになっているのではと思った。
でも、回り続けたままだった。分からない、数秒後には止まっているのかもしれない。そうやってふわっと終わった。

最高過ぎる。ザ・映画体験です。映画の面白さって色々あって、自分はどちらかというと全体を通したストーリー展開とかのほうが好きで、最後にオチが合ったとしてもそれはプラスアルファの楽しませる要素で……だけどこの作品は最後の回り続けることが全てだったように思う。

止まってほしいと強く願ったけれど、止まるかどうか分からないこと……終わり方としては完璧だと思った。
物語ではきれいな終わりを描かないほうが好きで、例えば村上春樹さんの長編シリーズのように、解釈の余地を残す。

この作品は、最後だけではなくとにかく全てにおいて解釈の余地を残してくれていて、それが見ながらでも感じられて最高の映画体験だった。

なんというか、最初から最後までひたすら考え続けた2時間半弱だった。考え続けて、自分の中でこうあってほしいという思いが生まれて、
物語が物理的にもストーリー的にも階層を重ねていくに連れてどんどん頭がおかしくなるような感覚になって、でも現実ではないという事実を受け入れられないという呪縛が合って。

モルは現実であることを受け入れられなくて現実で死んでしまったけど、コブは子供と会えたことを夢だとは受け入れられないと思うので、永遠に夢の中で死ねない人生を歩むことになるのかなと思った。
これも1つの解釈なのだけれども、こういう解釈も許してくれる作品の懐の深さに感謝。

終わりに

他にも色々書きたいことはあるのですが、ファーストインプレッションとしてはこのあたりにしておきます。
何度も見たいと思わせられる映画なので、次に見たときにはもう少し掘り下げて、一歩引いた形の考察をできればと思います。