C - 動画配信サービス「フジテレビ On Demand」 特別無料配信1話より引用
カードバトル的な要素と、金融取引が絶妙に絡み合うサスペンス。
監督は、「怪 〜ayakashi〜」「モノノ怪」などで有名な中村健治さん。クオリティは文句なし。
緻密に練られた世界観。話が進むごとに、理解が深まっていく。
是非、ご覧になってみてください。
アニメ「C」を、3話まで一気見しました。なぜもっと早く消化しなかったのか、と思うほど面白かったです。魅力を感じる点は幾つかありますが、とりわけ強調したいのは「恐ろしいほど緻密に設定されている世界観」です。
設定がしっかりしているからこそ、安心して、どっぷりと内容に感情移入できるのだと思っています。
本記事では、主に「C」の世界観を掘り下げていきます。
本論に入る前に、Wikipediaからあらすじを引用していますので、よろしければ御覧ください。
2011年。日本はミダス銀行による資金運用の成功によって経済状態は回復するも、市民たちにその恩恵が反映されることはなく、不安な時代が続いていた。
余賀公磨は、都内の大学に通う19歳。家族の境遇から公務員を目指し、ごく普通の家庭を持つことを夢見ていた。そんなある日、真坂木(まさかき)と自称する男が彼の前に現れ、公麿の将来を担保に、金を融資すると言う。公麿は、資産運用をアセットと呼ばれるモンスター同士による戦い(ディール)によって行う、金融街での戦いに巻き込まれるようになる。
C(アニメ) - Wikipedia
ちなみに、主人公の名前は「余賀公磨(よが きみまろ)」です。
金融取引をゲームとして表現している
この作品は、「金融取引」をゲームで表現している、という性質があります。これには2つの意味があって、以下のようです。
- 現実の私たちの世界の金融取引をゲームで表現していると言う意味。
- アニメ内において、ゲーム世界と現実世界がリンクしているという意味。
なお、ゲーム世界を金融街世界と読み替えてもらっても結構です。
金融取引をゲームで表現している
このアニメでは、「ディール」「アントレプレナー」「フレーション」「アセット」といった特徴的なワードが使用されますが、これらはオリジナル用語であると同時に、現実のM&Aなどの金融取引・資産運用で使われる言葉と大きく関係しています。幾つか、簡単に説明してみましょう。
例えば「アントレプレナー」という用語は、アニメでは「金融街に招待された者たちのこと」を指しますが、これは現実世界でいう「起業家(アントレプレナー)」から取られています。
余談ですが、このアントレプレナーという言葉、堀江貴文さんの実刑判決が決まった日に行われた「上告棄却緊急記者会見」の中で氏が使っており、印象に残っていました。厳密には「シリアルアントレプレナー」、連続して起業し続ける人という意味の言葉です。アニメに今後「シリアルアントレ」なんて出てきたら面白いですね。
- 参考動画(YouTube):【ほぼノーカット】堀江貴文被告上告棄却緊急記者会見(1:10:45) 言葉自体は1:12:54前後から)
また「アセット」とは現実世界では「資産」を意味しますが、これがアニメでは擬人化されており、金融街の住人のパートナーとなっています。詳しくは後述しますが、アセットは一体につき固有の『株』を10株保有しているという設定があります。
ちなみに、主人公のアセットはこんな可愛い子です。以下、キャラクター画像は、公式ウェブサイトより引用しています。
「フレーション」は、アントレプレナーが資金を投入することでアセットが使える魔法のことを指します。
私は金融用語に明るくないのでピンと来ませんでしたが、Wikipediaによると、アセット固有のフレーション(魔法)名にはM&A用語が使われているそうです。
例えば上画像「真朱」のフレーション名は「スコーチド・アース・ディフェンス」と言いますが、M&A用語の一つだそうです。意味を以下に引用しています。
敵対的買収にあった際に、買収者が経営支配権を取得する前に重要な事業資産や営業権、技術特許等を売却し、会社を利用価値の無いものにしてしまう戦略。 Scorched-earth Defense。軍事用語で焦土戦術、敵に利用されないように退却時に作物・施設・街などをすべて焼き払う作戦。
用語集:スコーチド・アース・ディフェンス|中央三井キャピタル株式会社(CMC)
などなど、「ニヤリ」とできるような設定が多いようです。
ゲーム世界と現実世界がリンクしている
さて後者、アニメ内において「ゲーム世界と現実世界がリンクしている」ことについてはどうでしょうか。この設定の一番の肝は、「ゲーム世界で行われた金の取引が、現実世界に影響を与えるという面白さ」だと私は思っています。
例えば、このゲームで手に入れたお金は現実世界でも使用することができたり、自分が運用している資金が無くなる、つまり「破産」してしまうと、担保にしていた「自分の将来」が失われたりするそうです。
「リンクしている」ことは、このアニメの面白さの一つであると思います。
緻密に練られた設定
ここまで色々と説明してきましたが、なぜ私がここまで詳しいのか疑問に思った方もいるかも知れません。実はそれには答えがあります。
現在公式ウェブサイトでは「special contents」と題して、理解を深めてもらうための様々な情報が公開されています。FLASHゲーム的な作りになっており、コンテンツを閲覧すると画面に表示された資産が増えてゆく設定になっています。以下、「special contents」内から引用。
「資産額」によって発生するイベントもありますので、アニメへの理解を深める意味でも、是非ご覧になっては如何でしょうか。もの凄く細かい設定資料まで載っています。例えば以下の画像は、その一つを切り取ったものです。
拝金主義
主人公は「安定した、人並みの生活が出来る程度の金がほしい」という願望を持っており、公務員試験の勉強をしています。そんな中、この不思議なゲームに誘われ「お金の魔力」に取り憑かれそうになります。
主人公に特に影響を与えているのが、「金はあればあるほどいい」、まるで拝金主義のようなことを言い出す、キーパーソン「三國壮一郎(みくに そういちろう)」
このアニメを見始めたとき、堀江貴文さんの著作「拝金」を思い出しました。というのも、「金があれば、できることが多い」という点に段々と気付いていく過程、これがシンクロしているように感じました。
アニメの主人公である公磨(きみまろ)は、マネーゲームをする目的をまだ見出していないようですが(4話では見つけるらしい?)、これから「自分の叶えたいもののために」お金を無限に積み上げていこうとするのではないか? と推測しています。
公式グッズがイカス
ご存じの方もおられると思いますが、ノイタミナ枠では「C」に限らず、オリジナルグッズを公式販売しています。
幾つか提携ショップがあるそうなんですが、現在フジテレビe!ショップで販売されている、オンデマンド・ネーム入りミダスカードがイカしています。ミダスカードとはアニメ内に登場するアイテムで、「金融街」においてディール(戦い)をする権利を持ったものに与えられるものです。以下、画像を引用します。
この画像以外にも2種類あります。自分のネームも入れることができるそうです。
こういう、粋なグッズは本当に素晴らしいですね。4話を見終わってから、どの種類にするか決めて注文しようと思います。
もちろんカード以外にも、「ストラップ」や「トートバッグ」など販売されています。ストラップは「真朱」だけが売切れていて、笑ってしまいました。