隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

隠れオタクでやってこれたのはネットのおかげだった

「あの時代」のオタク差別の風景と「脱オタ」について



オタクで在り続けられたのは、ネットがあったからに他なりません。


振り返ってみると、オタク差別の厳しかった風景を記憶しているのは、90年代〜05年にアニメやゲーム等を熱烈に追いかけ、趣味生活を隠さなければならなかった(恥じなければならなかった)オタクと、その周辺世代ぐらいと思われる。1970〜85年頃に生まれたオタクが直撃世代で、それよりも年上のおたくや年若いオタクには、あまりピンと来にくい話かもしれない。

「あの時代」のオタク差別の風景と「脱オタ」について

私がオタクという冥府魔道に落ちたのは高校生でした。05年は過ぎていましたが、しかしそれでも「オタク差別」の空気感を感じるには充分すぎる時代であったことを肌感覚で記憶しています。
「深夜アニメ」とか「声優」というワードは禁忌でした。忌み嫌われていました。そのワードを出した瞬間「おいおい」みたいな空気になりました。クラスに一人はいるオープンなオタクが私のクラスにも居ましたが、その友達がそういった話題を出すと皆の顔がひきつっていたのを今でも良く覚えています。「あれはちょっと気持ち悪いよね」などという会話が当たり前のように繰り広げられ盛り上がっていました。高校生に入って直ぐガチガチなオタクになったわけではなかった私でしたが、そういった「オタクが気持ち悪いもの」という意識はなかったものの、「よしよし、話を聞いてやろう」みたいな上から目線感が無かったかといえば嘘になります。「俺はオタクっていうのを理解しようとしているんだぞ。オタクの話をきいてやるぞ」という中二病満載な感覚、理解してもらえるでしょうか。

そんな私もオタクになっていました。深夜アニメを始めアニメにどっぷりとハマりこんだのです。しかし私は、高校生を始めとして、社会人となった今でも自分がオタクであるということを他人に言ったことがありません。
特に高校生のときは、そんなことを言ってしまったら皆から嫌われてしまうだろうという思いが強く、絶対に口にだすことはできませんでした。かくして、隠れオタクが誕生しました。

リアルの友達とは一切オタクの会話はしませんでした。では私のオタク熱がどこで発散されたかというと、それはネットでした。とあるオンラインゲームのチャットにハマり、実際に出会ったことがない年上の人と毎晩毎晩ひたすらチャットしていました。仲が良くなった人とは、今はなきMSNメッセンジャーに出張し、そこでも毎日のようにチャットしていました。ネットにはオタクが多かったです。これはものすごい偏見かもしれないけれども、あの時代に個人でPCを所有していて且つネットワーク回線が繋ぎ放題で、しかもマイナーなオンラインゲームを購入している人なんて十中八九何かしらのオタクだったのではないかと思います。

隠れオタクという名の通り、二面性を持っていました。学校では優等生、ネットでは「萌え〜」とか「ハァハァ」とか毎晩数えきれないほどタイピングしていました。

隠れオタクだとバレないためのカムフラージュ方法・議論の切り抜け方は人一倍うまくなりました。いつどこで隠れオタクとバレるかわからないわけですから、シミュレーションも入念にやっていました。誘導尋問されていないかと常に神経を張り巡らせ、ボロを出さないように無意識の内にウソをつけるようになりました。こういう質問をされたらこう返したら当たり障りなく切り抜けられるな、などとずっと考えていました。嘘のように聞こえるかもしれませんが、オタバレすることは死にも等しいことなので、それぐらいずっと気を張っていなければならなかったのです。


当時は、オタクであり続けられたことを当たり前のように感じていましたが、今思えば、私が隠れオタクでやってこれたのはネットのおかげだったと思います。現実でオタクというものを抑えこんでいられたのは、ネットで知り合った沢山の人のおかげだと思っています。


大学生時代、友達の会話の中で普通に「声優」の話題が出てきた時は、本当に驚きました。あぁ、声優の話題を出していいんだ、って。声優が少年誌のグラビアを飾るようになったりして、普通に会話に出しても問題が無いようになりました。すごいことだと思いました。すごいことだと思いました。大事なことなので二回言いました。今や、小学生でも進撃の巨人を見ています。


だからこそ今でも、ちょっとこじらせたようなオタクなわけなんですよ。「世のオタクはねー」などと主語を大きくして喋られるととにかく反発したくなるんですよ。だって、ずっと耐えてきましたから。大きく括られるのが嫌なんですよ。感情論ですが。


オチ無し。こんな記事書いている暇があったら冬コミの本作りやアイカツのライブレポ後編書かないといけないんですが、仕方ないね。書きたくなったんだから。