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テニミュ4thシーズン「青学vs不動峰」感想 圧倒的原作リスペクト

忘れないうちに感想だけ書いておこうかと。

ネットで見ていたものが目の前に

ニコニコ動画における空耳といえばテニミュと言っても過言ではない、当時ネットミームとなったミュージカルテニスの王子様
後に、権利者側からお目こぼししてもらえていたことが分かり、改めて感謝と反省をしたりしました。
news.livedoor.com


そんなテニミュ、これまで見に行ったことがありませんでしたが、7月30日から始まった大阪公演を見に行く機会に恵まれたので、感想を残しておきたいと思います。
www.tennimu.com

圧倒的原作リスペクト

色々話したい内容はあるのですが、何が一番良かったかと言われると、漫画テニスの王子様という偉大なる原作へのリスペクトでしょうか。
それは、ストーリーもそうだし、演じていらっしゃる俳優さんのキャラ作り、演技、そういった細部にいたる部分までこだわりと愛を感じました。



絶対に外せないストーリー

タイトルの通り、地区予選での「青学vs不動峰」が本ミュージカルのハイライトになります。
原作ではこの不動峰戦までは、越前リョーマ及び青学メンバーの紹介を兼ねているまさに導入部分と言っても過言ではありません。

ミュージカルを見ながら感じたのは、原作連載当時に漫画は読み返しまくっていたので(今でもたまに読み返しますが)、「あぁ、あのシーンだ!」「そう、この名言」とか、ちゃんと覚えているんです。
この「覚えている」というレベルが人によっては違うと思うのですが、自分はそれなりに漫画を読み返していたのでコマレベルで印象に残るシーンも結構あります(テニプリ好きな人は多分同意いただけると思います)。
そういった印象に残るシーンには思い入れがあるので、どれも飛ばさないでほしいと思うわけです。

実際どうだったかというと、見事にきちんと丁寧に1イベントごとを追っているのです。
冒頭一番印象に残るは当然ウエスタングリップの握り方。テニプリ最初の、リョーマの引き立て役となった偉大なキャラクター佐々部の登場です。

「ライン際で足止めされちゃ前に出れねぇよ!!!」「グリップの握りが甘い…まだまだだね」、ツイストサーブのお披露目、ツイストサーブにビビって目をつぶってしまった佐々部に対して「バーカ」と言いながら下打ちでサーブを打つ、実は左利きでした……名言・名シーンが目白押しの第1話です。

こうしてみると、この1話って相当優れてますね。リョーマの凄さを見せるのはもちろんのこと、ヒール役の佐々部を倒してスカッとさせる爽快感……これから始まるリョーマ伝説を目の当たりにしたい! と強く読者に思わせる最高の1話です。許斐先生天才すぎる。
ミュージカルにおいて第1話で唯一カットされたのは、セルフジャッジによる不正シーンぐらいでしょうか。それぐらい完璧に再現されてました。

今この記事を書くにあたって1話から読み返しているので、全てのシーンがどうだったかを書くことは簡単なのですが、きりがないため特に印象に残ったシーンを切り出していきます。

・堀尾
同級生の筆頭といえば間違いなく堀尾。登場シーンの再現も完璧。

・相撲部に案内する桃城
細かいシーンだけどカットされていなかったのは感激。

・2年生が堀尾たちをカモるシーンでの、リョーマがフェンスの向こう側から覗くシーン
ちゃんと舞台でもフェンス側の向こう側にいる演出だったので素晴らしいと思いました。

・「100球当てれば100万くれんの!?」
缶がちゃんと飛び跳ねる演出なのが素晴らしい。

・「かよわい新入生をカモっちゃー いけねーなあいけねーよ!」
桃城先輩のこれ。言い方も多分完璧。こういう細かい点からリスペクトを感じる。


駄目ですね、まだ1巻の途中も途中なのに終りが見えないので、もっと絞って書いていきます。


・手塚部長に校庭20週の罰を与えられるシーン
走っている描写、改めてコミックを読むと、扉絵前の1カットのみなんですよね(この扉絵じゃない方のコマってなんていうんでしたっけ)。
ミュージカルでは、淡々とストーリーが進む裏でリョーマをちゃんと走らせてたんですよ。こういう描写めっちゃ良いです。

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罰として校庭を走るシーン
電子書籍版『テニスの王子様 1』130ページより引用

・「もうちょっと見てみる事にした」「そう言うと思った」
個人的に不二の好きなシーン。不二っぽさが出てて好きです。あの独特の間も再現されててよかった。

・古びたラケットで、体全体を利用してスピンを掛けるシーン
いいですね、こういうかっこいいシーンを、舞台ではキュピーンって感じで特別感出して演出するんですが、そういう演出大好きです。舞台ならでは。
漫画のコマでは残像的に表現するシーンを、音とシュバーンって感じの動きで表現してました。


・「オレが疲れているのは認めよう」
海堂先輩の地味に好きなセリフ。漫画で印象に残っていたセリフだっただけに舞台でも印象に残った。

・「ボール2個分… 届かない」
あまりにも有名な乾先輩の名言。データテニスが映像的に映える感じで表現されていたのが良かったです。

・「理屈じゃない!!」
またまた乾先輩のあまりにも有名なセリフ。まずこれは外さないだろうという確信はあったので、セリフのタイミングで同時に心の中で叫んでました。
後にある応援合戦でもこのセリフが使われていてくすっときました。

・自転車二人乗り
むしろカットされずに再現されて良かった! ちゃんと本物の自転車に乗っていたのが好印象。

・そういえば波動球
「ああ だが 壊れたモノはもう一つあるぞ」なんてセリフはこんな序盤からあったのですねと改めて認識しましたテニプリの怖さ。
波動球の怖さが演出で際立っていました。

・リズムに乗るぜ
不動峰の神尾と、この後紹介する伊武といえば不動峰でも特に好きな二人。
神尾の「リズムに乗るぜ」は最高すぎます。思い出補正もあってずっと喜んでました。

・伊武深司戦最初のツイストサーブ
「ねぇ審判の人… コールまだ?」部分もちゃんとやってくれて感激しました。
審判の人のあっけにとられてからのコールの演技も地味に良かった。こういうところを見ると本当にリスペクトしてくれていると感じる。

・伊武深司
「…なんだよ1年はもっと苦労すべきだろ」「いいよなぁちょっとムカつくよなぁ ぶっ倒そ…」
あー、このボソボソ話す感じを完全再現、俳優さんマジですごい。多分今回のミュージカルで一番感動したと言っても過言ではない。すんまそん。

・伊武戦マッチポイント
最後の決まり方、ボールが逆回転に跳ねて伊武の方に向かってくる、そしてそれを受け止める伊武で試合が終わるシーン。
このシーン原作で何故かめっちゃ好きで、印象に残りすぎているシーンなんです。最初に言った、コマレベルで印象に残っているシーンの1つです。

で、このコマをですね、ミュージカルで完全に再現してくれて鳥肌が立ちましたマジで。
ガッって受け止める伊武のシーンが一瞬止まって見えてですね、まさに漫画のシーンをそのまま見ているようで、いや漫画を実写で再現したらどうなるかを完璧にやってくれたというかですね。
思わず心の中で「おおおおお」って叫んでしまいました。
鬼気迫る顔でボールをガッと受け止める、まさにその1コマが完全に再現されてました。

全5巻を3時間ちょっとで

後から確認したところ、ちょうどコミックスでいう5巻分をやったわけです。満足感がすごいです。
省略されたシーンも本当にごく一部で、それ以外はほぼそのまま再現されていて、漫画をそのまま読み返しているような感じ。
加えてミュージカルなので歌と表現があるわけで、見ていて全く飽きない。

またミュージカルならではのアドリブとかも随所にありまして、それも飽きさせないことに一役買っていました。
月間プロテニスの井上さん早着替えが一番印象に残りましたね。こういったアドリブシーンはやりすぎるとしらけたりすることもあるのですが、いい塩梅だったと思います。

女性キャラ不在

見ている途中から気づきましたが、ミュージカルでは女性キャラクターは基本的に登場しないか、もしくはそもそも存在しない形で構成されていました。
記憶が正しければ一応名前として登場したのは竜崎先生だけで、竜崎桜乃、月間プロテニスの新人編集さん、橘妹は存在すらカットされていました。

また竜崎先生も名前だけで、例えばリョーマの目の上が切れてしまって止血するシーンは不二に置き換えられていたり、海堂にアドバイスするシーンは手塚に置き換えられていたりと再構成されていました。
このあたりは仕方がない部分はあるものの、竜崎先生役くらいはあっても良いんじゃないかと思ったりしてしまいました。
多分これは、自分がテニミュを「テニスの王子様」としてしっかり見たい、というような期待があったからなのではと思います。
どちらかというと、不快感を感じさせないような原作改変をしてくれたその手腕のほうが評価したいくらいです。

応援合戦、でも

まさかの自己紹介ラップがあったんだと感激しました。本編とは離れた、こういう趣向はめっちゃ面白い。
本来ならばお客さんが声を出して各キャラクター・学校を応援できるような内容だったぽいのですが、
コロナのせいでジェスチャーだけでやってね、というような感じに演出を変えられていたのだと思います。

それでも十分に盛り上がりました。
不動峰でさえこの盛り上がりだたのだから(不動峰に失礼すぎる)、跡部様率いる氷帝学園とかだったらどんな盛り上がりになるんだろうとか想像していました。


終わりに

コロナの影響もあり、今からチケットを手に入れることはかなり難しいかもしれませんが、もし機会があれば是非鑑賞をお勧めいたします。
特に、これまでテニミュは知ってたけど見たことがなかった、原作はめっちゃ好きだみたいな私みたいな層でもめちゃくちゃ楽しめます。