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teramat.hatenablog.com
上記事をリスペクトして。
「批評」って言葉を聞くだけでアレルギーが出そうになる方向けに、アニメの感想を書く方法を書いみようと思いました。
もう10年以上アニメの感想を書いているはずなのに、未だに「批評」というものに対して深く入り込もうとしないことがバレるので嫌だったのですが、こう、やっぱり鼻につくじゃないですか。誰かが書いた文章がなんか気に入らなかったり、思うところがあるからこんな記事書いちゃうんですよね。
今回は分かりやすくするために、アニメの話数単位での感想を例に上げてみます。
この方法で書いた感想記事もアップしているので、この記事を読んでいただいてからそちらを読むと何かが分かるかもしれません(分からないかもしれません)。
先に結論を書いておくと、感想の書き方なんて自由なので、この方法でなければならないなんて絶対に思わないてください。
そういう意味でこんな記事なんて書きたくなかったのですが、冒頭に書いたような気持ちになってしまったので仕方ないね。
「量産」なんて言葉も使いたくないです。
目次
1. まずは感想を書く対象を決めよう
もし今見ているアニメがあるのならば、それで良いでしょう。無ければ無理にひねり出す必要はありません。
感想を書きたくなる作品に出会うと、自然と、一行でも書きたくなるものです。Twitterにつぶやくのだって立派な感想ですし。
とはいえある程度まとまった感想を書きたいなと思ったら、アニメを見る時に手元に何かしらメモを残せるようにしておきましょう。
自分の気持ちが高ぶったり、思わず突っ込んでしまったり、笑ったり怒ったりしたシーンがあったら、書き留めておきます。
シーンを詳細に描写しても良いですが、とりあえず自分の思ったことをそのまま書きましょう。
メモはTwitterでつぶやいたものでも構いません。アニメ実況しているのであれば、それがまさにあなたの感情高ぶりメモになるでしょう。
具体例:『ゾンビランドサガ リベンジ』1話「グッドモーニングリターンズ SAGA」
あいちゃーん
シュールな感じめっちゃ好き
ベントー的な感じもある
1期の1話を超えられるか川口ひろし
しょぼぼぼぼーん
ゾンビとしてバレなくても、アイドルとしてばれないのか?あいちゃんはやっぱりパソコン
ちゃんちゃんって終わればOK
でも、これを引きずって2話以降やるのはきつくない?
はい、というわけで、みたいな感じでOKかも?
Cでもってきたか?
2. 「絶対にこれだけは外せない、言いたいこと」を決めよう
先程書いたメモを、そのまま書いても伝わらないです。メモですから。
なのでここからはそれを文章に起こしてある程度まとめていく作業が必要です。
その時、ざっくりとで良いので書こうと思っている感想の骨組みを考えます。
といっても難しく考える必要はなくて、まずは「絶対にこれだけは外せない、言いたいこと」を決めちゃいます。
この「絶対に言いたいこと」は、できれば1つ、多くても2つくらいまでにしておくことが望ましいです。
というのも、強い思いを持ったものが複数あると言いたいことが薄まってしまうからです。
3つ以上になるときは、記事を分けることも念頭に置きましょう。
言いたいことが決まれば、次は構成です。
構成テンプレート
今回は典型的な、1つもしくは2つあるケースのテンプレートを例示します。
■ 1つだった場合
1. はじめに
2. 前緩衝材(※)
3. 絶対に話したいこと
4. 後緩衝材(※)
5. 終わりに
具体例:
前後緩衝材を置かなかったパターン: アニメ『神達に拾われた男』 リョウマのエリアリアに対する恋愛感情はガチなのか - 隠れてていいよ
前緩衝材だけ置いたパターン: 西尾維新『デリバリールーム』 所感 - 隠れてていいよ
後緩衝材だけ置いたパターン: ライトノベル『りゅうおうのおしごと!』 クズ竜王、ここに極まれり - 隠れてていいよ
■ 2つだった場合
1. はじめに
2. 絶対に話したいこと1
3. 絶対に話したいこと2
4. 終わりに
具体例:
アニメ『魔王学院の不適合者』 ラノベ原作のアニメ化としては近年まれに見る素晴らしさだった - 隠れてていいよ
漫画『片喰と黄金』感想 人との出会いが次の出会いのきっかけになる - 隠れてていいよ
※
「絶対に話したいこと」が比較的ポジティブかネガティブか、によって構成を変えたほうがうまくいくことがあります。
・比較的ポジティブ
前向きな話は読んでいて悪い気分にはならないので、緩衝材は設けず伝えたいことだけ書いても良いでしょう。
・比較的ネガティブ
後ろ向きな話は逆に読みたくなくなることもあるので、前に緩衝材を挟んでも良いでしょう。
ただし、とにかく伝えたい内容を最初に持ってきたいという強い意志があるのであればもちろん不要です。
また読後感を悪くしすぎないために、場合によっては後緩衝材も挟みましょう。
今回の私のケースでは「お涙頂戴復活劇は斜め上ではなかった」を、絶対に言いたいこととして1つ決めました。
3. 絶対に話したいことをベースに、サブ的な内容を膨らませる
私が選んだ「絶対に話したいこと」は比較的ネガティブなため、前後緩衝材を入れることにします。
今回は以下のようにすることを決めました。
・前緩衝材 -> 社歌
・後緩衝材 -> 空に向かってカメラが上がる最後のシーン
よって構成は以下のようになります。
1. はじめに(作品のざっくりとした紹介含む)
2. 前緩衝材(社歌)
3. 絶対に話したいこと(お涙頂戴復活劇は斜め上ではなかった)
4. 後緩衝材(空に向かってカメラが上がる最後のシーン)
5. 終わりに
ここまでできたら、後は実際に書いていきましょう。
このテンプレートはあくまでテンプレートなので、書いているうちにより良い物が出てきたら変えていっても問題ありません。
ただ、軸があるのと無いのとでは書く安心感が違いますので、執筆速度にも寄与します。
4. タイトルを考えよう
記事を書き終わったら、最後にタイトルを確定させます。
タイトルは最初に決めてもよいのですが、内容が途中で変わることはざらなので、
「絶対に言いたいこと」を書いている途中ぐらいに仮決めした後、完成後に文章を推敲している最中ぐらいに確定させるようにしています。
後は何度も推敲です。
5. 完成
そうやって完成した記事が以下となります。
thun2.hatenablog.jp
こういう説明を聞いた後だと、なんか作られた感のある文章に見えるかもしれませんが、書いた内容自体に嘘はないのでご安心ください。
こういうことを考えながら書いたらこんな記事になるんだなって思ってもらえたらと。
FAQ: 仮想敵を作る必要はありますか?
必ずしも必要ありません。ただ、誰かの記事を読んで納得できなかったから自分で反論してやるぜ、みたいなパターンとかはその限りではありません。
その場合、仮想ではなくもう敵な気がしないでもありませんが、昨日の敵は今日の友(一方的な敵は友になるのかどうかはまた別の話)。
後、仮想敵を作り出すと疲れるのと、一度味をしめるとそれしかできなくなる恐れがあります。
とは言え仮想敵を作りそれに反論するような内容は、議論が戦わされるので読んでいる方としては面白いです。
あぁ、この人ちゃんと考えているんだなって思っちゃいます。
健全にやっているうちは全く問題ないと思います。
そもそも仮想敵なんてものは人を想像しますが、実際には考え方みたいなものなので。
自分の考え方を展開するための下地として利用していることが多いわけです。
FAQ: 多くの人の目を引くように、タイトルや内容は誇張して、センセーショナルな感じにしたほうが良いですか?
タイトルはセンセーショナルな、記事の内容とは多少かけ離れている方がPVは稼ぎやすいと思います。
もちろん戦略的なタイトル決めは、本だろうがネット記事だろうがとても重要なことだと思います。
だから、自由にタイトルをつければ良いと思います。
ただ「この記事を読んだ人を後悔させたくない」という気持ちは忘れないほうが良いと思います。
内容も同様です。
昔、お互いのブログ記事を評価しようみたいな企画に参加させてもらった時に、某ニュースサイトの中の人から感想を頂いたことがあるんですが、私の記事には「特徴がない」と言われたことを覚えています。
特筆するべきところがないから、取り上げにくい、と。
それを聞いた時、ショックを受けました。ただ、一方で事実だと冷静に受け止めていました。
今回の、私の感想の書き方みたいなものを見てそう思った方もいらっしゃるでしょう。ヌルい、と。
仮想敵がないわけではありません。例えば、今回書いた記事なら「ゾンビランドサガの2期は無条件に受け入れられるものだ」みたいなものです。
それに対して「私はちょっとそうは思わなかった」という反論を行っているわけですが、明確に仮想敵を記載していませんし、反論しているわけではありません。
ただ、自分の思ったことを書いているだけなので。
しかし結果的にできあがった文章は「ゾンビランドサガ2期1話を、ちょっとイマイチだったなぁって言っているだけ」なんです、ものすごく冷静に捉えればですが。
多くの人に取り上げてもらえれば自分の伝えたいことやアニメの良さを伝えられるから、多少煽ったり嘘をついてでも、タイトルや内容をもっと刺激的なものにしたほうが良いと思ったことはありましたが、それは自分の性格に合っていなかったのでやめました。
そもそも本質的には、刺激的な内容ではなくても良い文章は取り上げられるし、多くの人の目にとまるのだと思います。
だから、結論的にはやはり自分の文章力がまだまだ足りていないのです。ただの遊びでやっていると思われても仕方がないわけです。
結局、批評的な文章にずっと馴染めてこなかった理由は、そのあたりにあると思っています。
自分にはできないことをやっている、そういうところに惹かれたのだろうと。
FAQ: 発想を飛躍させないんですか?
させたいです。時々、信じられないほどのアイディアが、アニメを見ていて生まれることがあります。
素晴らしい批評は、「そんな考え方があったのか」という、その作品に対する理解度を段違いに上げてくれます。
初めて出した同人誌の冒頭で、以下のような記載をしていましたが、この気持ちは今も変わりません。
素晴らしい批評・評論に出会うと素直に「すごい」と声に出していまいます。一体どの部分を「すごい」と思うのかというと、それは「補助線」を引いてもらえる点です。補助線とは、物事の理解を助ける考え方、別視点などと定義しています。作品を理解しようとする時、自分では絶対に考えつかなかったような補助線を示してくれる、これが批評・評論の素晴らしい点だと私は思っています。
とは言え同時に、以下のようなことも書いていて、この気持ちも本当です。
(略)
だけどネットの世界には、誤解を恐れず言えば、反論の余地を残さないような文章が溢れている、「批評・評論っぽい」文章が多い……上から目線に聞こえるかもしれませんが、私にとってはそう感じるものが多かったのです。
(略)
アニメってこんなにも面白くて楽しめるものなのに、なぜ皆は、わざわざ難しい言葉を使って理解を妨げるようなことをしているのか、なぜもっとアニメの純粋な楽しさ、感じたことを他人に伝えようとしたいのか、という気持ちが次第に膨れ上がっていったのです。
この同人誌を出したのが約10年前です。
この10年、ほんと成長してないなと改めて思いました。良くも悪くも。
ちなみにアニメの批評を書く人の中で、冒頭紹介した記事のてらまっとさんはリアルで数回お会いしたことがありますが、段違いで発想のセンスがある方でした(謎の上から目線)。
数えられるほどぐらいしかお会いしたことが無いのにそう思うのですから、当時からとんでもなくすごい人だと思っていました。でも、てらまっとさんに関わらずアニメ批評関連の同人誌なども目を通すことが少なくなったので、語る資格もありません。
もし次にコミケが開催されることがあれば、久々に参加しても良いかなと思ったりしました。