本屋をぶらついていた時に目が入って、とりあえず買ってみた作品でしたが、気づいたら最新14巻まで購入そして読了していました。
多少ネタバレを含む感想となりますので、内容を知りたくない方はお気をつけください。
「誰がヒロインなのか」
ある作品に触れたときに、その作品では誰がヒロインなのか、ということを無意識に考えます。
自分の中のヒロインと、作中でのそのキャラクターの扱いが一致したときにはホッとするというか、安心します。
主人公との絡みだとか、過去の掘り下げだとか、そういった部分で優遇されるのがヒロインなわけです。
本作品のヒロインは一体誰なのか。私の中ではテスフィアにほかなりません。
画像は公式サイトより引用。以後も原則同サイトから引用
主人公アルスに突っかかってくる、ちょっと抜けていてバカっぽく貴族的な高貴さを持ち合わせては居ないけれども貴族故のしがらみに囚われている女の子。
最初は主人公のことを認めていないけれども、実力を知るにつれてどんどん興味を持ち出すという典型的なヒロインのタイプ。
アルスが軍を退役したいがために学園に籍を置くというストーリー展開のため、学園がメイン舞台となっているわけですが、そうなると学園にいるキャラクターがヒロインになるのはほぼ必定。
テスフィアの友人であるアリスもヒロイン候補ではありますが、あくまでテスフィアの友達であり、ヒロインまでは昇華されない。
だから、テスフィアがヒロインだし、ヒロイン展開していくのでしょうって思うわけですよ。
しかしですよ、問題はロキというキャラクターです。本記事で最も取り上げたい内容です。
結論から言うと、どうやら作者的にはロキをヒロインとしたいように見えます。
つまり作者とのヒロイン観に相違があります。結果、時々イライラします。
ロキとアルスのやり取りがテスフィアのそれと比較して多いですし、ロキがアルスに対して好意を持っているという描写が露骨に挟み込まれたり、また絶対量としても多いと思われます。
ロキがヒロインかどうかは最終的には作者がどう描きたいのかなのでツッコミは野暮なのですが、個人的にはロキがヒロインたる設定の落とし込みがされているかどうかと言われると、ちょっとだけもにょります。
そもそもロキがアルスのパートナーとなりたかった理由についての掘り下げは、原作1巻のpp252-263で語られています。
禁忌を利用してまでアルスと手合わせし、禁忌のせいで命を落としそうになり、アルスにそれを救われるというマッチポンプにも感じる流れがあり、
その中で上記に記載のロキの回想が挟まれるという、ハッキリ言ってこの掘り下げだけでヒロイン顔されるのは気に食わないのです。
ロキが悪いだけではないのです、テスフィアがヒロイン然としていないのが悪いのです……いや、テスフィアをヒロインとして描いてくれないのが辛いのです。
既に14巻まで発売されているのに、アルスとテスフィアの距離感はほとんど縮まっていないように思います。
アルスとフェーヴェル家の距離感はめっちゃ縮まっているのですが、テスフィアはなんかまだ1巻の登場時とさほど変わらないくらいの距離感に感じてしまいます。
これが本当にもどかしいのです。こんなにポテンシャルを持っているキャラクターなのに、調理が悪すぎると感じるのです。
ツンデレだったらツン期が長いのは許せますが、テスフィアはどちらかというと単に相手のことを理解できてなかったりするときにツンツンしているだけなので、アルスの実力が分かった瞬間から普通の態度に戻るのですよね。
だから、ずっと普通なんですよ良くも悪くも。
もちろんアルスを意識するシーンとかは多少あるんですが、全然なんですよ。なんかとりあえずそういう描写入れておきました感が拭えない。
とまぁこんなふうに自分のヒロイン観とあっていないのです、がなぜか読み続けてしまっています。
結局自分が好きな設定が一番好き
本作品はアルスが軍を退役し学園でゆっくりするつもりが、いろんな面倒事に巻き込まれて行くというのが基本骨子となっています。
最初は学園内で繰り広げられる話が、徐々に外界と呼ばれる魔物が救うエリアの厄介事に広がっていき、そこに元首と呼ばれる各国のお偉いさんが関わってきて、
国同士のパワーバランスの話に及んだり、アルスでさえ理解が及ばないような魔法や魔物も出てくる……というようなよくある流れ。
基本的にはアルスのスーパー強さによって解決していく勧善懲悪の話で、スッキリする展開になります。
自分は魔法という設定がすごく好きです。魔法を扱える強い人達が頑張ったり、辛い過去があり、それを乗り越えたり。
そんなテンプレ的な展開がめっちゃ好きで。
なので本作品も自分は、そういった設定の上澄み部分とキャラクターの可愛さ部分のみを徹底的にフィルターして楽しんでいる感じがあります。
説明帳のト書き部分は、常にではないですがちょっと鼻につく感じの文章なので、人によっては結構イライラするかもしれません。自分はサラッと読む程度に留めています。
作品に対して若干失礼な向き合い方かもしれませんが、作品を楽しむという点においては間違いなく楽しんでいますので許していただきたい。
終わりに
他にもいくつか書きたいことがあるのですが、とりあえず感想を残しておきたかったのでこのあたりで。
設定＋キャラクターとしては良い作品です。
