隠れてていいよ

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Angel Beats!6話のクライマックスは間違いなく直井の回想

直井さんの回想がいらないという意見が散見されますが、とんでもない。キャラクターに感情移入するためには、そのキャラクターが何を思っているのか、何を感じて生きているのか、何を思って行動しているのか…そういった事を知る必要があると私は思います。校庭で音無が直井に抱きつき、回想が始まります。この回想シーンからEDまでの流れが6話で一番良かったです。
直井役の声優さんは、つい最近アニソン三昧の司会を務めておられました緒方恵美さん。回想シーンは、エヴァのシンジ君を想像してしまいました。境遇もそうですし、轆轤が何度も繰り返される映像も。緒方さんの声も相まって、この直井というキャラが最高に引き立つ回想だったなと思います。
さて、前置きが長かったですが、天使ちゃんについて見ていきましょう。行動原理というお話をしましたが、そういう意味では直井よりも天使ちゃんの方が気になるわけですね。一体、天使とは何なのか、何が目的なのか。麻婆豆腐が好きで、そのためなら校則さえも忘れることができる、ただの少女なのか。大分にその問題に迫ってきた最近ですが、まだまだ分からないことが多すぎますね。そういった考察については他の人に任せることにします。
AパートからBパートの前半にかけては、まさに天使ちゃんのための天使ちゃんによる天使ちゃんの活躍でした。印象に残ったシーンが幾つもありました。
まず、音無に麻婆豆腐を食べに行こうと誘われるシーン。後から描写されますが、天使ちゃんが好きなのは、辛いものではなくて麻婆豆腐。だから、誘われるシーンで、トントンとペンで机を叩くのを止めるのは麻婆豆腐という言葉を聞いたとき。その後一直線に食堂へ向かおうとする天使ちゃんマジ天使。麻婆豆腐を「うまいわ」と評するのもグッド。
次に、天使ちゃんと音無が独房のような反省室に閉じ込められるシーン。「眠いわ」と言い放ち、ベッドの上で座って寝ようとする天使ちゃん。スカートの裾をそっと直す仕草に始まり、細かい描写が丁寧になされていたので好感を持てました。
そして、「だって、攻撃目的には作っていないから。所詮は自衛用だもの」という言葉から始まる、天使ちゃんの掘り下げ。音無の、天使ちゃんの周りから人が消えていく想像は、とても悲しいものでした。
音無はとてもいい子です。他人のために泣ける、というのはとても凄いことだと思います。また、ゆりを成仏させようとする直井に、「駄目だ。そんなまがい物の記憶で消すな」と心の底からの叫びを訴える音無。少なくとも、音無は直井の過去の事を知らないはずなのに、それなのに直井を抱きしめて「お前の人生だって、本物だったはずだろ」「俺が抱いているのはお前だ、お前以外いない。お前だけだよ」と言える音無が凄い。素晴らしい。
直井の回想がいらない?そんなわけがない。6話のクライマックスは間違いなくこの回想を含めたシーン。音無が「駄目だ」と直井を殴ってからEDまでの約4分半に、ものすごく密度の濃い物語がある。展覧会で入賞を果たした際の、「なんだ、お前泣いているのか?」−「よかった。厳しい父について、これからも修行を続けていこう。そして、日本一の陶芸家になろう」の一連のセリフ。その時の直井父と直井の心情について考えを巡らせるだけで幸せになれます。