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漫画『宝石の国』3巻 初見感想

2巻までおおむね整理ができたので、ついに3巻を読み始め、そして読み終わりました。
初めて読んだときのこの気持ちを書き残しておきたいと思います。

なお、3巻までのネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。


そうなることは分かっていた

持ち上げて落とすのはひどすぎる、そう思いたくなる3巻のラストでした。
体の一部を失うことで記憶を失う設定は、当然ながら大事なことを忘れてしまうという流れが待っているのは必定。
覚悟はしていたつもりでした。

ただ、2巻では足を無くし3分の1程度も削られたフォスが、シンシャのことは忘れていなかったのが本当に嬉しくて泣きそうになっていました。
2巻「帰還」における「海に 君に似合う仕事はなかった ごめん」の返答のことです。

だから、きっと私たち読者は、フォスはこの記憶だけは覚え続けるんだという希望も持っていたわけです。
だからこその、あぁ、だからこそのこれですよ。

アンタークチサイトを失ったことが、ひとつのきっかけになったのではと思います。
これまではシンシャのことをとにかく第一に考えてきたフォスが、おそらく初めてシンシャ以外のことを気にかけたのではと思うのです。
フォスはやはり、助けてもらうことに対してセンシティブです。
故に記憶はアンタークチサイトの比重が大きくなり、シンシャを覚えておく領域が無くなってしまったのだと思うのです。

彼女たちの記憶の構造が不明なので、永遠にシンシャの記憶が蘇らないかどうかは分かりません。
コンピュータのように、一時的にスワップされて優先度が変わっているだけで、また処理に余裕が出たらちゃんと戻ってくるのではないか。
そういう希望を私は持っているわけですが、それすらも裏切られそうで怖いという。

先生は強い、彼女たちは弱い

直接的にも間接的にも少しずつ説明はされていたように思いますが、彼女たちは一部を除いて戦闘に強いわけではないということです。
そもそも硬度や靭性で戦闘に向かない子もいるし、戦闘できても割れることは回避できない。

イエローダイヤモンドでさえ、月人の相手は基本的には先生に任せたりもするのです。
ボルツは多少例外ですが、ボルツでさえも体を溶かされてしまうことがありましたので、万能ではありません。

強そうに見えて彼女たちはとても儚い存在である、それこそ落としたら傷がついたり割れてしまう宝石のように、ということをこの3巻ではありありと感じることができます。
ルチルはそんな彼女たちを治してあげる役目があるわけで、最初は結構適当に見ていたというか、治しましょう治しましょうみたいな感じだったのですが、
冷静に考えると壊れるということはとても怖いことで、そして大事な仕事であったのだなと。

儚い

なんか、巻を追うごとに徐々に彼女たちが宝石であるということをまざまざと見せつけられるわけです。弱い存在なんですよ本当は。
月人が現れたときに、先生を呼ばなかった際には先生がめっちゃ怒るわけなのですが、あれは別にとりあえず怒っているとかではなくて、
本当に心配しているのですよね。
じゃあ常時先生が倒せよという理屈が発生しなくはないのですが、そこはまだ語られていませんが、できない理由もしくはやりにくい理由があるのだと推察します。
考えられる一番根拠がある仮説は、稼働時間と回復時間。

冬の時間だけは先生とアンタークチサイトが月人を処理するとのことですが、
晴れの日は3日に1回のペースが平均なのに、一冬では10日ほどしか晴れない。実質稼働日10日。
連続稼働の可能性があることも考えれば、先生としては連続稼働は余裕だけれども回復に時間がかかるのではないか(3日に1回のペースを対応していると回復が間に合わなくなってしまう)。

連続稼働しようが1回の稼働にかかるコストは変わらず回復コストも変わらないので、確実に連続稼働しても問題がないとき以外は連続稼働はしないのでは、と。
このあたりの設定は今後明かされていくと思いますが、今のところはそんなぐらいの考察で留めておきたいと思います。

終わりに

これから3巻を読み込んでいくわけですが、辛くて読み返すたびに泣きそうになりそうで怖いです。
フォス、フォス、フォス(T_T) みたいな感じです。

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