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漫画『宝石の国』3巻で感情が動かされたシーンを語る

最近読み始めた宝石の国もいよいよ3巻となりました。
これまでと同様に、3巻で感情が動かされたシーンについて書いていきたいと思います。

3巻までのネタバレを含みますので、ご注意ください。


2巻までの同様の記事:
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初陣扉絵

ロールシャッハテストなシルエットで登場する月人。
流氷は「見る者の不安を反射して増幅させる性質を持つ」とのことでしたが、月人は宝石たちの心理を探ろうとしているのではと考えさせられます。

パアン

PP13より、アメシストが月人に粉々に砕かれるシーンの「パアン」という音の文字表現が素晴らしいです。
尖ったやりのようなものが無数についた月人の攻撃と、細く尖った「パアン」という文字がリンクしているようです。

音の文字をコマ外まではみ出させることでまさにやりのように表現しているのだと思うのですが、その表現を大切にするために、
いつもコマ外に記載のあるページ数もカットされていました。
無情にもアメシストがサクッと砕かれるさまがこれでもかと表現されている凄まじく密度が濃いページです。

コマをぶち破る「パアン」という文字(2巻pp13より引用)

この数ページ後、pp16で、アメシストたちが完全に挟み込まれて「パキイ」と割られるシーンも非常に物悲しく絶望的です。
フォスが何もできず立ちすくんでしまうのも分かる。これはマジで怖い。
魔法少女まどかマギカの「ワルプルギスの夜」のような印象もあります。

月人旧式は怖いというよりは優しいイメージさえ受けることもあったのに、新式は生理的に受け付けないような気持ち悪さが全面に出ているように思います。

「いま 話せることなんか……」

あるよ! というか、話しておきたかった。記憶がいつ戻るか分からない状態になってしまうのはこの後の話ですが、
この時に話せておけば何かが違ったのかもしれない。流氷には吸い込まれなかったのかもしれない。

手も失わなければ強くなれなかったのかもしれないのですが、シンシャのことを忘れてしまうきっかけとなったことは事実で、
失わないほうが良かったのだと思いたいのです。

「におもきまずー!」

全部ひらがなでこの表記をするのがフォスっぽくて素敵。pp34より。

悲しげシンシャ

pp38より、冬眠に入る前に1コマだけ入るシンシャの様子が儚い。
冬眠は白を基調に描かれているのに、シンシャのこのコマがその白の中にぽつんと現れるのがとても良いです。

眠れないフォス

pp41より、眠れないフォスの描写が実はあるのですが、いかにも寝れないを体現していて好きなコマです。

「キュッ」

少し前にも紹介した通り、擬音を、コマを使って上手く表現するのが凄まじく上手いですよね。コマを割りつつ、おそらく土煙だと思いますが、音をかぶせてくるのが凄い。

躍動感あふれるキュッ(3巻pp47より引用)

決意

「やだ けどやる!」というシンプルな言葉及び顔の表情で、その言葉通り嫌だけどやります! という覚悟が伝わってくるのが凄い。pp49より。

流氷がぶつかり合う振動

pp57より、不快な轟音の表現描写が凄まじい。
1回目読んだときは、フォスの脚が描かれていることに一瞬気づきませんでした。
それぐらい凄まじさを表している。好きな1ページです。

苦しい言葉

「できることならせいいっぱいやるよ」「できることしかできないままだな」
何気ない、そしてもしかしたら良くあるやり取りなのかもしれませんが、コマ割りの仕方も相まってとても胸に来るシーンです。
そして自分にも刺さるシーンです。年齢を重ねるに連れ新しいことをやることに億劫になってきていますが、まだまだ負けずに色々と頑張っていきたいです。pp63より。

「もうだめだ」「また弱音か」

流れるようなツッコミ、最高です。pp67より。

「見る者の不安を反射して増幅させる性質を持つ」

これはあくまで流氷に対する先生の見解ですが、この世界の物質は色んな性質を持っていて、特徴があるという示唆なんだと思います。pp70より。

「シンシャが」

まさに、不安を反射して増幅させたのがこのシーンだと思います。なぜ流氷に一人で行かせたんだ先生。
「私の注意が足りなかった所為だ」とか言っている場合じゃないぞ。pp74より。

「海のどこかで僕の手もあがっていることでしょう」

お手上げ状態を表しすぎて、何度読んでも笑いがこらえられません。pp91より。

釣り針

pp122より。お前たちを壊しますよ、という意思が感じられすぎる月人の1コマがとても嫌悪感があります。

動け動け動け

「さっさとしろクズ!」は、何度読んでもゾクゾクする。
この辺のフォスの感情は多分ぐちゃぐちゃ。そしてこのあたりで、シンシャへの思いが完全に忘れ去られた気がします。pp144より。

辛すぎ

pp176付近のシーン。アンタークチサイトの幻影を見てしまうフォスの一連のシーンは辛すぎ。
人の心の辛さ、思い出して辛くなる・何もできなかった自分を攻める、そんな描写をこんなにきれいに描けるなんて、本当に凄い。

「シンシャって だれだっけ」

もう何も言うことがないのですが、3巻はやっぱりすべてがここに繋げるための準備だったとしか思えません。
アンタークチサイトももちろん悲しい出来事だし重要なポイントなのですが、やっぱりシンシャ、シンシャです。
フォス……もう何度読んでも泣きそうなのでやめてください。

終わりに

3巻は、めっちゃめっちゃ面白いんですが、めっちゃめっちゃしんどくて、めっちゃめっちゃ辛いです。
4巻以降に希望はあるのか。

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