隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

漫画『宝石の国』2巻で気に入ったシーンの感想をいろいろ述べる

タイトルの通り、漫画『宝石の国』の2巻の中で気に入ったシーンを上げながら、感想をいろいろ述べたいと思います。
なお2巻のネタバレを含みますので、その展、ご留意ください。

1感については以下の記事を書いていますので、よければ参照ください。
thun2.hatenablog.jp


表紙

2巻は海が重要なポイントとなるということで、表紙は海の中という感じでしょう。
相変わらず装丁が素晴らしく、裏面まですべて海で埋め尽くされており、宝石のキラキラと海の綺麗さが相まって感動的ですらあります。

登場人物紹介

2巻にして登場人物紹介を差し込んでくれるのは嬉しい仕様ですね。
キャラクターがなかなか覚えられなかったので、個人的なメモに色々整理しながら読んでいるのですが、公式での紹介ページも合わせて読むと理解が深まります。

先生の横で寝ているダイヤを恨めしそうに、いや嫉妬の目で見ているだろうボルツが可愛すぎます。

ボルツの髪

PP10より、ボルツが「僕が」と返答するシーンの、ボルツの髪の描かれ方というか立ち姿が素敵すぎますね。
ボルツのこの分かれたような髪型は特徴的であることは言うまでもないのですが、それが地面にふさっと垂れ下がりながらも、そればかりに目がいかない構図が良いです。

この1コマの満足度が高すぎる(2巻pp10より引用)

走り去る彼女たち

キラキラ宝石を輝かせながら、疾走感を持ってフォスの前を通り過ぎる彼女たちのシーンがめっちゃ好きなんです。

圧倒的疾走感(2巻pp13より引用)

パラパラ漫画ではないのですが、彼女たちの走り去る感じのイメージが付きやすいような絵になっているのが疾走感の理由の1つだとは思うのですが、それにしてはサッサって走り去っている感じが本当に素敵で。
フォスのみがウェントリコススと話せるが故に、独り言をつぶやくかわいそうな子という認識を持たれて同情されるシーンなわけですが、速さが相まって気を使われている感が一層引き立つ名シーンだと思っています。

「なんでかはわかんないけど 誰でもよかったとは思いたくないんだ」

pp16より。
「思わないんだ」じゃなくて「思いたくないんだ」というところがフォスの気持ちを表しすぎていて尊い
フォスは、自分がやりたいからシンシャの役に立ちたいと思って動いているわけで、見返りを求めているわけではないのです。
それなのに、なお自分ばかりが助けられているという状況に腹も立つわけです。
今後シンシャと絡みがもっと増えていくとは思うのですが、もはや今の状態でも私はお腹いっぱいなのに、どうしたら良いのでしょうか。

シンシャを思う気持ちと、複雑な事情

pp21より。
フォスが先生と話す機会があった際に、シンシャのことについて相談するシーン。
しかしこの相談は、先生を持ってしても解決ができていないものであり、会話内容は思わしくありません。

その会話の冒頭で「先生 シンシャのことですが」とフォスが先生に語りかけるコマにおける描写が、フォスのシンシャに対する強い思いと、
しかし先生の辛い回答の対比を綺麗に表しており、なんでコマがこんなに語るんだろうと思うわけです。

先生のほうが偉い立場なわけで、先生が奥に描かれ、その下にひざまずくような視点でフォスが手前に描かれる。
奥からは光が差し込み先生の神々しさを引き立たせるとともに、顔の表情を光が見えなくしており、暗い表情を思わせる。

あぁ、先生から良い言葉が語られないんだろうなというのを本当に綺麗に表しているのです。

「ただ息をしてやり過ごすには あの子は優しく聡明過ぎる」

pp25より。それな、ほんとに。久々にこの構文を使わせてください、シンシャたんマジシンシャたん。
周りに迷惑をかけたくないがゆえに自分から皆から離れるようにしている、本当に心優しい子ですよ……。

本人が決めたことを尊重してあげたいという先生の優しい思いは、先生本人が言う通り最適解ではないのだろうけれども、フォスがその辛さに気づいてしまったのですから大変です。
もうフォスは止められないでしょう。頑張れフォス、シンシャを救ってくれ。

自己肯定感の低さ

pp29-30より。
「海は禁止されてるけど… ま どうせ役立たずだし 賭けてもいいか」というセリフからは、フォスの自身に対する自己肯定感の低さが分かります。
彼女は、300年近く何も役割を与えられず過ごしてきたわけです。
3597歳生きているイエローダイヤモンドが「なんで戦ってるのかも思い出せないな……」と言っているので、数千年単位の年月は相当に長いものとも思われます。
その10分の1の300年の年月は短いのか長いのか、どちらだと思いますか。

例えば100歳に換算すると、10分の1は10歳なのでなんてこと無いようなきがするのですが、仮に1000歳換算だと100歳になるわけで、人間の平均的な一生よりも長い感覚です。
長生きな彼女たちなので価値観も当然違ってくるのでしょうが、しかし年月の長さ自体は変わらないわけで、その間ずっと役割もなくただ生きているだけとなったら、流石に自己肯定感は下がるような気がするのです。

そんな彼女が博物誌の編纂という初めての役割を与えられ、そこでシンシャと出会い、自分からではあるものの求められる存在になろうとしているわけで、そりゃ頑張りたくもなる。
でもなかなか結果が出ず、それどころかシンシャからは助けられてばかり。
そりゃ「賭けてもいいか」って言いたくなる。無謀じゃないよフォス、気持ちは分かる。

ユークレースの絵画

pp34より。
雲、草原をバックにした裸のユークレース綺麗すぎん?

「王も大事だよ」

やーさーしーすーぎー、フォス。pp47より。
もうこの辺は完全に誘われているわけですが、仕方ないよね。

海の中

の描写圧倒的すぎません? 見開き開放でバーンっと来るこの感じ、たまりませんね。pp48,49より。

胸は水袋

「生殖と死を細やかに繰り返しながら知を重ね紡ぐ特性」を受け継いだのがアドミラビリスなので、やはり胸という存在は彼女たちにしか無いものなのだろうか。
pp60より。

シンシャの嫌そうな顔

pp84より。最高。
嫌そうというか嬉しそうな顔というか。めっちゃ情報待ってましたって顔がたまりませんね。ダイヤ、ナイス。

そしてpp85の「頼んでないし!」は、狙いすぎているしあざとすぎるわけですが、それでもなお言いたい、最高であると。
シンシャはいわゆる「ツンデレ」には属するとは思うのですが、割ともうデレているので真のツンデレかと言われると違うと思うのですが、
でもですよ、それを無視できるほどの愛情表現があると思うのです、フォスに対しての。

王に想いは伝わったのか

pp88より。
次はシンシャを差し出すか、と言った王に必死に抗議するフォス。
ガシャと音がするほど体を前のめらせて必死に目で訴えるフォス、それを見た王は、描写を信じるならば、これ以上はできないと思ったと思います。
これは、所々で王がフォスに対して情を持っていたからだと思います。大事なものは大事にする、という考え方を聞いたときの王の顔とかはとてもきれいです(pp61)。

王の表情、良すぎんか

pp102より。
フォスを溶かさず抱き上げる一連のシーンの王の表情が、本当に綺麗で、つい直前までフォスを売ろうとした(いや売った)ものと同じと思えないくらいです。
「わたしたちも変わらねば月人と同じね」のセリフに集約されるとは言え、フォスとの出会いは本当に王に大きな影響を与えたのだと分かります。
フォスではなく王のお話とも言えますね。

シンシャへの返答

「海に 君に似合う仕事はなかった ごめん」。pp104-106より。
謝るなよフォス(T_T) という感じの思いです。
そんなぼろぼろになった体で、記憶もかなり失われている中で、シンシャに対する想いは何一つ失われていなかったというのは尊いけど悲しすぎる。
ここの一連のやり取り、きつすぎて何度読んでも悲しくなるのですが、しかしあまりに綺麗すぎて何度も読みたくなるんですよね。
「帰還」というサブタイトルが最後に表示されるのもまた、一層にこの物悲しさを引き立たせる。

普通、帰還という言葉はポジティブに捉えられることが多いし、実際フォスが帰ってこれたのは良いことなのですが、
フォスにとっては悲しい帰還となってしまったのでした。

フォスマジ天使

フォスマジ天使(2巻pp117より引用)

このコマ綺麗すぎて、泣きそうになりますよ。
絶望とも少し違うというか、シンシャを今度は助けるために何とかしなければと思っているようで。
記憶をなくしているというのもあるかもしれないですが、純粋な混じりけのないフォスという感じ。美しすぎます。

アゲートをつけた足がフェチすぎる

フォスに対しては不謹慎なのでしょうか、アゲートをくっつけたときの姿がエロすぎます。
艶かしすぎるんです。これは良くない。本当に。pp130より。

「足 替えたらさ~ 全然速く動いて 思った所で止まれないんだよ! どうしよ~!」

可愛すぎる。記憶がちょっと抜けてしまったことにより、こういう原始的フォスが登場しやすいのだろうか。pp151より。

「なにとぞ……」

なにとぞフォス(2巻pp159より引用)

相変わらずこのふにゃふにゃイラストフォスが好きです。目が特に好きです。

終わりに

2巻も最高に楽しかったのですが、カロリーが高すぎてなかなか3巻に手がつけられません。
そろそろ読み始められそうなので、今度は3巻以降の考察をお待ち下さい。