始めるならお正月休み最後のこの3連休しか無いと思い、プロジェクトセカイをインストールして始めました。
正式には『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』という、スマートフォン向けアプリです。
前から少し興味はあったのですが、いつもながら新しいものを始めることに対して億劫だったのです。
しかし思い切ってインストールしてみたら、なんのことはありませんでした、面白い。
ただ現状は、音ゲー部分ではなくストーリーの面白さに惹かれています。
今回の記事では、最初に選んだユニットである「25時、ナイトコードで。」のメインストーリーの1つ目を読了しましたので、初見感想を残しておこうと思います。
物悲しい感じ
最初どのユニットを選ぼうかなと思ったときに、自分好みの絵柄や女の子がいる所がよいなと思いました。
また、キラキラした感じよりは鬱屈したストーリーのほうが好みなので……という視点で選ぶと一瞬で「25時、ナイトコードで。」に決まりました。
分かってもらえると思います、ええ。
まず最初に、メインストーリー1つ目の感想を一言で言うならば「めっちゃ良かったし、エモかった」でした。
全体的にみんな問題を抱えていて、それぞれがまだ学生(と思われる)中で、将来のことを含めて苦しめられている様が描かれるのが心地よかったです。
大なり小なり「才能」というキーワードに悩まされているのもポイントで、持たざるものが持つものに対して悩むのも好きだし、持っているがゆえに雁字搦めになるのも好きです。
後者はすなわち奏でありまふゆのことです。
何でもこなせてしまうがゆえに、周りの期待に応えることが生きる目的となってしまい、生きる意味を感じなくなってしまったまふゆ。
無自覚に作曲の才能を持っていたが故に、喜ばせるために父親に聞かせていた音楽が、取り返しがつかなくなってから苦しめていたことに気づく奏。
奏とまふゆはもちろん別の人生を歩んでいたわけなのですが、ふとしたことから繋がりができて、まるで最初から出会うことが約束されていたかのようにパズルのピースが合う、そういう心地よさがありました。
曲を作り続けなければの呪いを背負っている奏は、まふゆと出会わなくても、その業を背負い続けていたと思います。
それが、まふゆと出会ったことで、まふゆのためにも曲を作り続けることになりました。
まふゆが満足するまで作り続けるよ(意訳)、の言葉はとても刺さりました。プロポーズみたいなもんですよ。
まふゆも、まだ完全に暗黒面から抜け出せたようには見えませんが、まずは戻ってこれそうなことは喜ばしいことで、ホッとしました。
これから「25時、ナイトコードで。」がどの程度深く描かれるのかが楽しみでもあり怖くもあるのですが、幸先は良さそう。
でも、賭けてもよいのですが、この子たちは一波乱どころか苦難しか待ち構えていなさそう。
メインストーリーの1つ目からこういう誰も救われなさそうな話を持ってきている時点で。ただ、救われない話もめっちゃ好きなんですよね。
希望だけではやはり楽しくない。OWNな曲も聞きたい、そういう感じなのだと思います。
心動かされたシーン
ここからは、読んでいて心動かされたシーンのキャプチャを貼りながら感想を書いていきたいと思います。
「わたしが、お父さんから音楽を奪ったんだ……」
多感な時期に、自分が良かれと思っていたことが親を苦しめていたと知る……結構ハードな設定を初っ端から持ってきてくれるのが良き。
この1枚絵でもう、このストーリーは自分好みなんだろうなと思いました。
バーチャル・シンガー ミク
プロセカのことを全然知らなかったので、バーチャル・シンガーとかの設定を全然知らなかったので、ちょっと変わったミクさんが出てきたときちょっとワクワクしました。
オッドアイのミクさんかわいい。
呪縛
自分でも認めているように「作り続けること」が奏の呪縛となっているのだけれども、読了後でもその呪縛は解けないし敢えて背負おうとしているところが好きです。
ただ、まふゆと出会ったことで呪縛は幾ばくか緩まったようには思う。
『“25時、ナイトコードで。”』
実際に会話として使っている言葉が、そのままサークル名になっているのがイケすぎてる。
細かい演出が好き
話そうと思ったらミュートだった、という当たり前の日常を当たり前のように描くっていうのが良すぎ。
これをお約束演出として受け取れる時代がちゃんと来ていることに、なんか感動しました。おっさんかもしれません。
エゴが見え隠れする
(私の曲で、誰かを救えてるなら……。
誰かに、寄り添えてるなら……)
「誰か」という不特定多数を表す言葉が使われていることに引っかかりがあったのですが、いい意味でも悪い意味でもエゴが見え隠れしているセリフだったのだなぁと読み終わってから思います。
えななんは良い子
【えななん】『うん、なんていうか、Kの曲を初めて聴いた時と同じような感じがしたの。
言葉にできないことを全部形にしてくれる、みたいな……』
自分に自信がないからなのか、良いものを褒めるときのえななんは率直に感想を述べるのが好きです。
特に、まふゆに対する想いが強く感じられて、この二人が絡むシーンはかなり好きです。
天才だから?
天性の感性、なんですかね。
その後、セカイの中で再度話したときに、根拠は? ってまふゆが聞きますが、感覚的に間違いなくまふゆの曲だと言い切る【K】がすごくいい。
【K】っておそらくは天才なんだと思うのですが、あまり嫌味なく描かれているのが好きで、そう感じる理由はエゴだと思っています。
スカしていないというか、気取っていないというか、ただただ天才が自分のやりたいことをただただやっている、そういう感じ。
えななんだけは「なんで私だけ!」って悩みそうな感じもあるのが怖いのですが。
まふゆに対してはその一端が垣間見えるシーンがありましたが、一時的なところで落ち着くのか、今後のニーゴの活動に支障をきたすることになるのか。
怖いですね。
気がした
これも呪いの言葉というか、奏は「救われた」という言葉に執着しているので「気がしたんだ」の部分が最初聞こえないふりというか、聞こえなかったんですよね。
悲しいし辛いと思ったところでした。最終的には「気がした」の部分に気がつくわけなんですが、奏も本当に人生をかけて今作曲をし続けているんだなと、そういうふうに強く感じたシーンでした。
時間間隔
奏「でも、まだ1時間も経ってないはず。
……この場所にいると時間間隔が狂う感じがするけど」
すごい細かなセリフなんですけど、この感性に奏が凡人ではないと感じます。
普通の人って、普通じゃない状況に陥ると時間なんて考える余裕って生まれないと思うのですよね。
なのに、こういうふうに平然と冷静に考えている思考力がすごい。
そういう意味でいうと瑞希もたいがいすごい人で、えななんがそうじゃないことを対比させていて悲しくもなる。
今後えななん掘り下げストーリーが間違いなく来ると思うのですが、その際に報われてほしい……。
みんな普通でみんな変
???「どうして、私だけが変だなんて言えるの?」
このあたりが第1章のストーリーだけにとどまらない、ニーゴのメンバーの抱えている闇というか、辛さというか。
解決するものというよりは、寄り添っていくものになるんだろうな。
大なり小なり辛いことを抱えて毎日生きていて、外側から見れば普通だけれども、自分から見ればとても悩んでいることだったりする。
特にこの年代の女の子たちを描くときのテーマとしては重くなりがちなもので、今後のストーリーが楽しみです。
制服かわいい
奏の中学時代の制服がかわいいなと思いつつ、内容は非常にシリアスなシーンというギャップ。
お母さんは、お父さんが作った曲を大好きだったという。それを見ていた奏が、音楽で人を救えるんだと思うことは必然。
悪意なく、人を傷つけてしまうシチュエーションは本当に心が痛いのですが、お父さんはまだ回復する見込みはあるとのことなので期待をしたい。
エモい
ミク「この歌は、最初からこのセカイにあって、わたしは知っていた。
わたしは、それを歌っていただけ」奏「……わたしの曲が、最初からこのセカイに?」
ミク「そう。最初から」
奏「…………」
ミク「あの子の想いでできたこのセカイは、何もなくて、真っ白」
ミク「それでも、この曲だけはあった」
ミク「だから……奏の作った曲は、
あの子の想いに届いていたんじゃないかな」
まふゆを救ったかもしれない曲、それが、まふゆが作り出したなにもないセカイには最初から存在していたという。
完全に救うには足りていなかったかもしれない、だけども琴線には確かに触れた。だから、ミクは奏に「届いていたんじゃないかな」と言う。
そして、同じように苦しんでいる奏だからこそ、同じ気持ちがあったからこそ唯一届いたのではと言う。
必ず救えるとは限らないし、ミクも言い切らない。だけど、きっと奏はまふゆを見つけられると言う。
見つけてあげられるとしたら、奏の曲しか無いと。
なんというか本当に優しい言葉で、セカイでの奏とミクのこの会話はBGMも相まって感動しました。
ニーゴの第1章のストーリーは、まふゆを見つけることがキーになっているわけなんですけど、「想い」の強さがそれを可能にするという物語の作り方が本当に好きです。
いや、ほんと素晴らしい。
Amiaがいい
ニーゴの中で、瑞希の性格や考え方は他のメンバーをめちゃくちゃ助けているように思います。
良くも悪くも一番大人の考え方をせざるを得ない状況に陥っていて、知らぬ間に俯瞰して見る癖がついているように思います。
まだ詳しくは描かれていないものの、Amiaもなかなか解決が難しいかもしれない問題を抱えているようなので、これからのストーリーに大いに期待したいと思います。
エゴでできてる
(……わたしの曲は、エゴでできてる。
『自分の曲で誰かを幸せにしたい』っていう、わたしのエゴで)
自覚的エゴ作曲たまりませんね。
呪縛ですよ。前に進み続けなければ死んでしまいます。
呪いだから解ける可能性はあるのかもしれませんが、すべての人を幸せにすることはできないと思うので、一生背負って行くのでしょう。
覚悟持ちすぎ。
えななんも天使
もう知らない! みたいな態度を取っておいてちゃんと曲ができたら居るっていうえななん天使かも。
作り続ける
やっぱり、気持ちですよね。気持ちが世界を救う。想いが世界を救う。
こういう、感情をぶつけるシーンが本当に好きなんです。
ずっと作り続けるからな、救えるまでやり続けるからな、覚悟しろよ……そういう脅しみたいな助け方、まじで良すぎ。
サボってたら言ってくれよな、という追い打ち付き。
これにはまふゆも、受け止めるしか無い。
こんなに想ってくれる人が居てよかったねっていう……ほんとう見つけてくれてありがとうだと思う。
エゴだよ、は最高すぎる。押し付け、まさにエゴ。
どうせ曲を作り続けるから、雪の分が増えたってなんでもないよ、ってめちゃくちゃ言ってやがる……って感じですよもう。
悔やむと書いてミライ
この曲のタイトル、神すぎて始めて見たとき泣きそうになりましたよ。
ずっとずっと探していたまふゆは、本当は「見つけてほしかった」んだって。
なんとまぁ、きれいすぎる。
不条理な御託で刺してくれたら
いいのにな いいのにな
「悔やむと書いてミライ」の歌詞はかなり刺さるんですけど、自分では何もできない本当は死にたいだけども死にきれない、という想いが歌詞から読み取れるのが本当に好き。
不条理な御託という、自分ではどうにもならないような突然のなにかがやってきて、突然死なせてくれたらいいのになという願望になっている。
いつかゴミに出したのに
袖口に隠していた生涯
燃やせぬまま灰になれずにいたんだ
でもそういう場合は、絶対に向こうからは来ない、だから悩み続けなければならない。
死にたいけど、死ねない。地獄のような中で生き続けなければならない。
「悔やむと書いてミライ」の歌詞の解釈はいろいろありそうなのですが、個人的には「ミライ」というのは今ではなくこれからの先のことだと思っているので、前向きに捉えています。
悔やむというのは後悔のように、過去の出来事に対して行う行為なので、ずっと死にたいと感じていたこれまでの人生を悔やみながらも生き続けていくというミライなんだと思っています。
瘡蓋(かさぶた)ができないので、きっと痛いまま傷つくのだろうけれども、その痛みも含めてミライなんだろうと。
癒えない 見えない傷ほど
きっと瘡蓋だって出来やしないと
ボクは知っていた
悔やむと書いてミライ
???→まふゆ
自己紹介して初めて「まふゆ」という名前が表示される演出、流れは分かっていてもエモい。
なんか、ホッとしましたね。
注文を決められないシーンを見て一瞬ドキッとしましたが、大丈夫、少しずつ自分のやりたいことを自分で主張できるようになっていけば良いと思う。
聴いてもらえなかったけど、聴いてもらえた
セカイでまふゆにスマホを投げ捨てられてしまったため、せっかく作った曲はもう聴いてもらえないんだろうなと思っていました。
なのになのに、まふゆはちゃんと聴いてくれたんですよ。嘘でしょって思いましたよ。
聴いたよってメッセージを聞いたときの奏の「……聴いてくれたんだ」の嬉しさの声よ。
しかも『見つけてくれて、ありがとう』ですよ。やばすぎ。
それで、ミクが「見つけてもらえて――よかったね」ですよ。
なんなのもう。文句つけようがない。ミクの少し機械的な声での「見つけてもらえて――よかったね」も最高。
エモすぎるの一言。
終わり良ければ全て良しの反対というか。終わりはこれしかなかったのではという気持ち。
ほんと、見つけてくれてありがとうですよ。
終わりに
いやー、「25時、ナイトコードで。」面白すぎました。まだまだストーリーは続くようなので、じっくり読んでいきたいと思います。