タイトルが内容をそのまま表しているようにも思うし、もっと深い意味で難しい話であったとも思うし……というわけで「シークレット・ディスタンス」につづいてニーゴのキーストーリーを読了しました。
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ストーリーの構造自体はわかりやすい内容でした。
前回「シークレット・ディスタンス」にて瑞希の様子がいつもどおりではないことに気づいた絵名が、瑞希のことを想うも、瑞希は心をまだ完全には開いてくれない……そういったお話でした。
一方で、瑞希がまだ心をひらいてくれないということが描かれたわけではなく、根気よく付き合っていくという絵名の覚悟が見れたこと、同時に瑞希も前に進もうとしている姿が描かれた前向きなお話だったと思います。
瑞希はそういう性格なのか過去がそうさせたのかまではわかりませんが、空気を読むのがとてつもなくうまいと思います。
周りが考えている思惑を敏感に察知することができていて、うまく立ち回ろうとする癖があるように思います。
まだ描かれぬ瑞希の過去にて相当な悪意に当てられたと推察できる瑞希ですが、その経験が、過度な気遣いという形で行動に現れているように思います。
同時に、自分の領域には入らせないぞという強い意志を感じます。壁を悟らせないように振る舞おうとするのもありありとわかることが、一層辛さを感じるところではあります。
「KAMIKOU FESTIVAL! 」では友達の機微を察して一人姿を消したり、本作では絵名の真意に気づいたうえで気づかないふりをしたり。
しかしいずれも、本当に正しいことなのかはわかりません。本人にとってはそれが最善だと感じてやっていることだと思いますし。
そういった瑞希の境遇がずっと改善しないかといわれると、そうではない、ということが描かれた本作でもあったと思います。
絵名
絵名の性格について、本作では少し踏み込んだ描写がされたかなと思います。
これまでも絵名は、思ったことをバシッと言う性格だということは読み取れていましたが、愛莉との過去描写も補強されることで、それが絵名のアイデンティティだということが描かれました。
悪くいえばおせっかい、だけども自分が譲れないものを放ってはいけない、そういう性格。
そしてその性格は、意図せず他人を救うこともたくさんあったと。
瑞希も当然、絵名のその気持ちや性格には気づいていて、そこが好きだともいうのですがあえて公言することで壁を作るというテクニックを使っているように思いました。
でも、一緒にどうしたら良くなるか考えてくれてさ。
そういうところが、絵名のいいところだって思ってるんだよね
こういうふうにいうことで、これ以上は踏み込まないでね、だってもう分かっているからね、と遠回しに牽制しているんですよね。
これは自分も、意図は違えど現実でこういう壁の作り方をすることがあるのでめっちゃ分かってしまうんです。
たとえば瑞希の例とは少し違いますが、誰かと話しているときに第三者の噂話のような、悪口に近いことを言われそうになったとします。
そんな話は当然聞きたくないので「その人って◯◯って感じだから、きっと△△のような感じでいつも話されると思ってるんですよねー」とあえてこっちからラベル付けするかのような発言をしてあげて、相手を納得させて話を切らせるようなテクニックです。そうしないと、その人が満足するまでずっと話題が途切れないのでさっさと切りをつけちゃおうとするわけです。
話を戻しますと、愛莉からすればそういうことを瑞希から聞かされてしまうと、壁を作っているなと察知できるので、それ以上の踏み込みはやっても仕方がないかもという気持ちにさせられるわけです。
瑞希のその思いは愛莉には通じたようですし、愛莉も気を使える子なので、踏み込みすぎない姿勢を見せていたように思います。
そうやって壁を作る瑞希だけれども、絵名は、反対にもっとちゃんと瑞希を知りたいと感じるようになりました。
『私ね、今日出かけてみて、
やっぱりちゃんと、瑞希の悩みを知りたいと思ったんだ』
個人的には、ここが本作の一番のエモポイントだったなと思います。
ただただ決意したわけじゃなくて、改めて瑞希の人となりを知ったことで、よりその意志が固まったというその流れが素敵なんです。
類がいうような、大事な”仲間”を助けようと必死になっていた瑞希の顔は、瑞希にとってはとても珍しい顔だったのだろうし、素だったのだと思います。
その表情をはじめとした、瑞希の一挙手一投足が絵名の気持ちを奮い立たせるほどには、強い気持ちが現れていたのだということ……。
「絵名達が無事だったんだから、ボクはそれで十分だよ」の一枚絵とともにピアノのしっとりとした劇伴はやばすぎてですね。
そこからエピローグへとつながるストーリーシーンは、いい意味で鳥肌が立つほどに素晴らしい演出と構成だったと思います。
(やっぱり見てないフリは、できないよ)
(私の、大事な友達だから)
この最後の絵名のセリフは、マジでぐっと来てしまって涙ぐんでしまいました。
なんかいろんな感情がごちゃまぜになってしまったというか。
ニーゴのメンバーってネットで知り合っているので、お互い顔も知らなかった関係性だったんですよね。
それがまふゆのことで色々あったりではじめてのオフ会をしたりで、ネットでの人格を超えたリアルの付き合いが発生するようになっていったわけです。
ネットの付き合いのみだからといって関係性が築けないかといわれると反対で、むしろネットという薄い壁があるからこそ、よりあけすけに話せることもあったりするわけで。
そうやって関係値が積み重なった中でリアルで会うと、まるでこれまで何度も会っていたかのような安心感を生むことも普通にあるんですよね(このあたりは私の経験談でもありますが)。
ミステリーツアーのときの瑞希の不安な顔を見てしまった絵名が、瑞希のために何かをしたい、助けられることなら助けたい……そういうふうな気持ちになることがとてもエモいのです。
こういう、ネットでの関係性が「友達」という概念に発展するという根底が当たり前に描かれるのが、良い世の中になったなと感じるところだと私は思います。
ネットという世界はSNSを始めとしてリアルとの融合が当たり前になってきている時代ですが、その当たり前が当たり前になっている、という事実が古い人間からすると感無量的なところがあるのです。
thun2.hatenablog.jp
ストーリー振り返り
いつもながら、スクショを撮ってしまったシーンをいくつか振り返ってみます。
主題絵
この一枚絵を見ただけで、この話は絶対におもしろいだろうなという確信がありました。
絵がきれいなのはもちろんなのですが、前作シークレット・ディスタンスから連なる話が描かれるんだなという期待と、この二人の関係性に何かしら進展があるんだなという気持ちと……。
いやー、主題となる絵はとても大事なんだと改めて感じました。
んなわけあるか
冒頭さっそくの、絵名の熱い思いが良かった。自分は、こういう人間臭いセリフがめっちゃ好きなんです。
愛莉!
絵名と愛莉にそれなりの関係値があったことを、ここではじめて知りました。
このあたり後追いしているゆえの、時系列の難しさかもと。
別の感想記事も書いた気がしますが、別の側面からキャラクターが描写されるとそのキャラクターをより深く理解することができるので良きです。
愛莉がお弁当作りが得意という設定も、私が読み進めているモモジャンの進行度では描かれていなかった部分なので、新鮮でした。
リアクション
前に別の記事でも書いたのですが、絵名のリアクションめっちゃ好きなんですよね。迫真なんです。
アイカツ! アイカツ!
いえいえ、元来アイドルの崖登りは必修科目なんですよ。怖い時代です。
あと、「モアモアジャーンプ!!!!」って掛け声もめっちゃいい。アイドルらしい。
一例:『アイカツ!』 第9話「MOVE ON NOW!」
thun2.hatenablog.jp
壁
まだ明確には描かれていないけれども、瑞希にとって友達や仲間というキーワードはとてもセンシティブだと推察されるので、そんな瑞希が仲間のためにと強い気持ちを見せるこの一連のシーンはとても感動しました。
愛莉強い
愛莉のこの励まし方、天才的すぎると思いました。
辛かったときのこと、乗り換えたときのことを思い出すという手法自体は真新しいものではないとは思います。
ただ、遭難しかけていて、崖の下で不安な状態、愛莉自身も不安に違いないそんな状況で絵名を励ませることもすごいし、同時に一見はてなとなるようなことばで励ませる愛莉がすごい。
自分には一生かけてもできないと思いました。
放っておけない
(瑞希が私に話したくないって思ってても、
やっぱり、あんな顔見ちゃったら、放っておけないよ)
激しく同意。
何度も何度も書くのですが、本作はこういった絵名の人間臭いところがたくさん描かれるので本当に好きだし涙腺が緩む。
アフターライブ「シャルル」
アフターライブがシャルルだったわけですが、まさかここだったんだ! という驚きがありました。
といいますのも、一応プロセカはちゃんと音ゲーもちょこちょこやっていまして、ニーゴの曲はなるべくキーストーリー描き下ろし曲を避けてプレイをしているんですね(キーストーリーと合わせて聞きたいので)。
すると、ボカロ曲など当たり障りのないものを選んでプレイすることも多いのですが、そのひとつがこのシャルルでした。
それがですよ、まさかここまで書いたようなエモエモな二人の関係性のストーリーのあとに歌われていたなんてという衝撃ですよ。
マジでゾワゾワしちゃいまして、MVも何度も何度も見てしまいました。
サビの、頭を悩ませるような振り付けが何度見ても好きですね。
また、youtubeのMVとゲームでのアフターライブでの衣装が違うのですが、どっちもいいんですよね。
喪服のような黒服はニーゴのイメージと最高にあっているのですが、アフターライブ時の華やかな衣装でのシャルルもギャップがあって好きなんですよねー……。
アフターライブ「Color of Drops」
今回のアフターライブは豪華で、モモジャンもありました。もちろん、モモジャンも最高だったのですよ。
MCも地味に面白く、山には当分行きたくないわね……という愛莉の言葉がすごく身にしみました。
あと、みのりが定期的に可愛いポーズを取っているのが印象的でした。萌え萌えキュンなハートマークポーズは、アイドルらしくて良すぎ。
終わりに
ニーゴのストーリ、面白すぎません? たぶん次もニーゴを読むと思います、すいません。
他のユニットも読み進めたいのですが、感想書きながらだと限界があります。頑張ります。