隠れてていいよ

主にアニメや漫画の感想を書いています

ハナコはまだ平凡な女の子にはなりきれていないけど…… ブルーアーカイブ『隠されし遺産を求めて~トリニティの課外活動~』を読んで

イベント名
隠されし遺産を求めて~トリニティの課外活動~
開催時期
2023/7/24~8/9
主役
スターフッド、補習授業部
PV
www.youtube.com


夏は水着イベント祭りで、プレイする側も笑顔になります。
ブルアカはイベントストーリーの出来が本当に良いと思っていて、「今回のイベントはいいや~」とならないところが嬉しい悲鳴です。

今回のイベントストーリーはウイとヒナタが主役! と思いきや、実はハナコだったというのが裏テーマだったと思うわけですが、個人的にはグッと来るところがたくさんありましてですね。
まずはハナコのことについて語り、その後いつも通りキャプチャを交えながら感想を述べたいと思います。

ハナコの策略、または勇気

本編でも語られているとおり、期待をかけられ続けていたハナコは逃れるように自分を覆い隠し、身を潜めました。
補習授業部の面々と出会い、徐々に解凍されていると思うものの、どこか演技じみたその立ち居振る舞いは見ていて辛くなるときもあります。
絆ストーリーを見ていても普通のことをしたい気持ちがあるように思いますが、理由付けがないと実行に移せない、そういう女の子だと思います。

そういったバックグランドを理解しつつ、今回のイベントでグッときたシーンが下記です。


たまには肩の荷を下ろして、みんなと笑って楽しい時間を過ごしたいと思っても、おかしくないでしょう?

素敵な文章です。
まず、語尾がとても好きです。良いでしょうか? ではないです。良いじゃないですか! でもないです。
「おかしくないでしょう?」と、私だってそれぐらいのことをしても許されますよね、と本当に優しく、先生に説明しつつも自分に言い聞かせるように心情を吐露している。
そういう気持ちが、この一文で伝わってくるんです。



2人のためというのは……自分に対する言い訳です。
その実、心では誰よりもこんな時間を望んでいた。
……みんなと海に行きたかった。
ふふっ。ただ、それだけのお話です。


時折、夏の思い出のシーンが挟まれながら心情が吐露されるこのシーン、マジでゾワゾワします。
「……みんなと海に行きたかった。」のところなんかは、ちょっときつすぎてですね。
「ふふっ。ただ、それだけのお話です。」という言葉を付け足してくれたとしても、本当にきつくて。
よく言ってくれたと思う、ハナコは。




心臓を鷲掴みにされている感じになるんです、分かりますかこれ。
取り戻せない青春があるんです、ハナコには。

ただの女の子のハナコは、みんなと遊ぶことさえこれまでできなかったんです。




私も、年相応の女の子ですから。
周囲からどう思われているのかは別として、心は一人の平凡な少女。


常に前に進み続けなければならなかったハナコは、耐えられませんでした。平凡であることを周囲が許さないことに。
天才キャラは普通が許されない、この設定はありきたりである一方で、一人ひとりのキャラクターの根底には辛さが横たわっているのだと改めて思い知らされました。


まだ完全に素を出せているとは思いませんし、今後も多かれ少なかれ仮面をかぶり続けると思います。
ただ先生がいうように、ハナコは一歩進んだように思います。
日常の中で一人の平凡な少女として、心だけではなく体験として、少しでもできるようになっていったら良いなと心から願っています。

過去の青春をやり直すことはできないかもしれないけれども、これからの未来を、自分のやりたいことをやることはできると思います。

自分も、学生時代は青春なんてものが1ミリもなくて、「心臓を鷲掴みにされる」ような気持ちになることが今でもあります。
ハナコと同じように……なんていうのはおこがましいですが、ハナコには本当に感情移入してしまいました。

私は「二度とやり直せない青春」に弱いのです。学生時代をテーマとして作品で、文化祭とかで盛り上がっているシーンを見ると胸が締め付けられそうになります。
だからこそ、ハナコのように、こちら側(というとおこがましいですが)の視点で言葉を紡いでくれるのは心が救われます。

先生もGJ

このように最終的には本心を語ってくれたハナコですが、このやり取りに進むまでも一筋縄ではありませんでした。
先生がハナコを信じて、真摯に向き合ったからこそだと思います。そのあたりも書かせてください。


私、思っていたよりも先生に信頼されているのでしょうか?

ほんと、こういう言い方をするんですよハナコは。こうやってすぐに煙に巻こうとする。
ただ、今回は先生も折れなかった。



"でも、一人で抱えずに話してくれると嬉しいな。"
"……それとも、私じゃ頼りないかな?"

これはGJといわざるを得ない。良いときの先生ですね、はい。
ハナコは頼られる側の人間であるがゆえに、「頼っていいよ」と言われると揺らぐのだと思います。
先生がどこまで考えてこの言葉を発したかは分かりませんが、完璧な聞き出し方だったと思います。



これでバトンは私に渡ったのでしょうか?

今回のイベントでのハナコのセリフ回しが全体的に好きなのですが、ここも本当に好きで。
先生とのやり取りの末、本心を話さざるを得ない状況になってしまったハナコが先生に対してそう伝えるときの言葉です。

「……夏ですからね。」と理由付けをしないといけなかったり、謎掛けのようにして一度先生に考えさせてから答えをいう形で本心を伝える……まだまだ素直になりきれていないところなのですが、それでも、それでもちゃんと先生を信頼して言葉を紡いでくれたことは本当に嬉しかったです。
久々に先生らしい仕事をしましたよ、先生。

太古の時代から、エロゲの主人公にイライラするというのは様式美なのですが、ブルアカの先生は比較的良いムーブをすると個人的には思っています。
それは「先生」であることが、根底にあるからなんだろうなと改めて思います。


こんな素敵なお話が読めるのが、本イベントの8話『調査ポイントC「レモン農園」』です。
すでに読んだ方も、改めて読み返してみると色々発見があると思いますのでぜひ、再読してみてください。

エピローグは誰がために

本当に良かったのですか? あのタイムカプセルは貴重な発見ですよね。
ウイさんなら、持ち帰って研究するものだと思いましたが……

15話『心境の変化』が最終話でありエピローグの立ち位置ですが、この中でタイムカプセルを元のままにしておいたことが語られます。
このあたりのやり取りは、ウイが物事をどう考えているかを感じ取れるシーンだと捉えるのが普通ではあるものの、ハナコが裏テーマであることを考えると深読みしたくなることがあります。



そういった意思のもと残された物もありますが……思い出として、その値に自分たちの足跡を残したいという、純粋な気持ちもあるはずです。

たとえ誰の目に触れなかったとしても、大切な思い出を形として残したかった。


ハナコが吐露したように、みんなと笑って楽しい時間を過ごしたことがハナコにとって大切な思い出になったと思っています。
その思い出を、ギュッと閉じ込めて残しておきたかったという想いが込められているのではと個人的には受け取りました。

ハナコはタイムカプセルの話を持ち出して、いつものとおりすべての答えを知っている顔でウイに質問なんて投げかけるのですが、ウイが「思い出を足跡として残してくれたこと」に対してのお礼もあるのだと思いました。
考えすぎかもしれませんが、でもこの考え方は自分は気に入っています。


エピローグではさらに、嘘に対する考え方がヒナタから語られますがこれもハナコに対する暗喩なんだと思っています。


自分の心に聞いてみて、恥ずべきものでなければ赦されるとされています。
大切なのは、心。常に自分自身と向き合うのが大切なのだと……。

ハナコは今、嘘の仮面をかぶり続けています。
ハナコが本当の意味で自分と向き合えたとき、はじめて平凡な女の子になれるのではと思います。





ウイのアガガ顔が好き

ハナコについてはここまでです。
ここからはいつもどおり、ストーリーの中で気になったシーンのキャプチャを貼りながら感想を述べていきます。
ハナコで満足した方はこれ以上読まなくても大丈夫ですが、ぜひ引き続き見ていただけると嬉しいです。




ふふっ、通りすがりの通行人Aです?

おまえのような通行人がいるか! とツッコミを入れたくなる定番のハナコさんの水着姿は、実家のような安心感がありますね。
思えば、ハナコが水着姿をして奇抜な人を演じているのは、自分の姿を覆っておきたいという想いがあったように思いますが、その目論見は達せられていたように思います。さすがです。



エッチなのはダメ、禁止! 絶対に許さないから…!

コハルは本当に、エッチなのはダメキャラとしては至高だと思います。



ぎええええっ!

ウイさんのこの目、めっちゃ好きなんですよ。これは最開眼verって感じですが、ここに至る前のアガガ顔もめっちゃ好きです。




これです、この顔もめっちゃ好き。




しばらくの間、離れて歩いてもらっても……良いでしょうか?
そうですね、2mくらい……

ナチュラルボーン人を傷つけるウイさん、良いですね。ヒナタさんはマジで焦ってましたよ。





い、いや! いやいやいやいやいやいや!!! 違うから、信じて!!!
本当に違うって、そうじゃないの!

違うってば! 違うの!! 違うから!!!
そういうんじゃないから!!!

コハルの猫目が可愛いのはそうなのですが、弁明のために真っ赤になって説明するシチュエーションはコハルに映える。
目と口がちゃんと広がっていて、より必死になっていっていることが伝わる立ち絵が用意されているのが本当に分かっているなと思います。
何度も繰り返し言っていますが、こういう細かいところがブルアカを好きになるポイントです。




「歴史」とは、言葉を語らずとも……いえ、語れずとも、時間を超えて対話ができるんです。

ウイさんはサラッとかっこいいこというので好きです。





最開眼ver Part2。ほんと好きです、この目。




時間差で、ニコーってなるこのシーン大好きです。ウイはいじられキャラですし、ハナコとヒナタは見守り隊ですね。


終わりに

最初はこんなに長く記事を書くつもりはなかったのですが、記事を書く中で改めて読み直しているうちにハナコのことを書きたくなったのでした。
イベントストーリーの中にこんなに重要な内容をさらっと入れてくるあたりが流石だと思いますし、同時に過去のイベントストーリーは何ひとつ無視できないなと改めて思いました。

これからも復刻イベントすべて読んで記事にしていくつもりなので、ぜひお楽しみに。


過去に書いたイベント感想記事: